第漆話
お風呂から上がり、おばあさんが用意してくれた朝食を義勇と食べている時だ
じっと、オレのことを見つめている義勇が気になって仕方ない
「…えと、義勇?オレの顔に何かついてる?」
義「いや…ずっと思っていたんだが、言えていなかったことがある」
「うん?」
義「白夜の髪は、とても綺麗だ」
「…っ!」
え…髪…って、この銀髪の…
「そんなこと、初めて言われた…」
義「そうなのか。お前の周りのやつは見る目がないな」
「…小さいころ、家族で暮らしてた時さ…村外れに住んでたんだけど、村の人たちからこの髪を気味悪がられて…それで、あんまりいい思い出ないんだよね。両親二人とも黒髪だったから、まさか兄妹揃って銀髪で生まれるなんて思わないし」
義「…そうか」
「それこそ、人の顔を被った鬼なんじゃないかーって、石投げられたりもしたな」
義「…誰だそいつ。今すぐ滅殺して…」
「こらこら。いいんだよ、別に。だって、今義勇がこの髪を褒めてくれたから。だから、もうそれだけで自分の髪が好きになったよ」
義「…なら、いいんだが。白夜を気味悪がるやつは鬼殺隊の中にはいない。むしろ、尊敬しているだろう。だから、安心するといい」
「…うん、ありがとう」
あぁ…好きだなぁ
義勇のそういうところも、全部好き
離れたく、ないなぁ…っ
義「…っ!白夜…!?どうした…!」
「えっ…?」
義「…涙が」
涙…?
「あれ…ほんとだ。なんでかなぁ…止めたいのに、止まらない…」
義「白夜…」
「ごめん…気にしないで……、っ!?」
気付いたら、目の前には義勇がいて、
口付けされていた
「…んっ…あ…っ」
義「…落ち着いたか」
そして、義勇の口が離れたころには、涙が収まっていた
「…あ、ありがと……」
義「気にするな。したくなったから、しただけだ」
あぁ…顔が熱い……
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『カァ!カァ!白夜!任務!任務!!』
「…カラス」
ちょうど、隊服に着替えたタイミングでカラスがやってきた
『義勇…任務ジャ……アレ…コノ髪ハ、義勇ノ髪ジャナイ…』
そしてもう一羽の烏が、オレの頭に乗っている
「…この烏は、義勇のだよね…?」
義「…そうだ。おい寛三郎…俺はこっちだ」
『ダガ、コノモノカラ義勇ノニオイガ…』
「…っΣ!!」
昨夜の濃厚な交わりをすれば、匂いが移るのも道理である
「え、えと…寛三郎…?オレは白夜です…」
『白夜…?』
「はいぃ…」
『…ソウカ、ソレハスマナカッタ…』
そう言って寛三郎は、義勇の頭へ
「…義勇の烏、ご老体なんだね…」
義「あぁ…いつも戦いの時は近くにいないか確認しないとハラハラする」
あぁ…だろうね…
『白夜!白夜ハオレサマノモノダ!』
「はいはい。カラスは元気で何よりだよ」
『白夜!西へ向カエ!』
「いつも思うけど、ちょっと曖昧すぎない?せめて町の名前とかさ…」
『西ダ西!!』
「はいはい…分かった分かった」
そして、オレと義勇は支度を済ませる
「それじゃ義勇、また会おうね」
義「…あぁ。白夜、死ぬな、絶対に」
「努力する。義勇の家に行く時は、文を送るから」
義「あぁ、分かった」
「…またね、義勇」
オレはそっと、義勇のオデコに口付けをし、西へと足を向けた
((…今度は、いつ会えるだろうか))