第陸話
その後、無事に藤の家紋の家を見つけ、お邪魔させてもらうことになった
「…見事に部屋一緒になったね」
お世話してくれたおばあさんは、オレと義勇を見て、『部屋は一緒にしましょうね』とニコニコしながら言ってた
何かを察したのかな…
義「俺はそのほうが嬉しい」
「そ、そっか。オレも」
今日は夜も遅いので、お風呂は朝入ることにした
おばあさんの好意なのか、布団がぴっちり隣同士に敷かれていた
「…ふふ。またこうして義勇と一緒に寝られると思うと嬉しくて、つい頬が緩むなぁ」
義「白夜の笑った顔、いいと思う。俺は好きだ」
「えっ…や、やだなぁ、もう、照れるでしょ」
義「俺は意識して笑うと気持ち悪くなるらしい」
「え?そうかなぁ?オレといる時に笑う義勇は、すごく優しく笑ってる感じだよ?気持ち悪いなんて思ったことない」
義「…そうか。それはきっと、隣にいるのが白夜だからかもしれない」
そう言って義勇は、自分の手をオレの緩んだ頬に添える
オレはその手を握った
「…義勇、オレは何があっても、義勇の味方でいるからね」
義「それは、俺も同じだ。俺はずっとお前の味方でいる。お前を守る」
そして、義勇から口付けを落とす
「…んっ」
義「…白夜、もっと触れたい」
「…いいよ、こっちにおいで」
義勇はオレの布団の中へ
「…ふふ、さすがに二人で入ると狭いな」
義「だが、白夜の体温を感じられていい」
…なんだか恥ずかしいなぁ
義「…白夜」
「ん?」
義「…すまない、我慢できそうに、ないっ…」
義勇のものが大きく膨らんでいた
「義勇…。しょうがないなぁ。その代わり、優しくしてね。こういうことするの久しぶりだから」
義「……」
「なんて顔してるの。子供の頃の話だよ。義勇にも話したでしょ?」
義「…すまない。嫌なことを思い出させてしまったかと思って」
「今さら思い出したところで何とも思わないよ。だって、こうして義勇と繋がることができる、こんな幸せなことなんて他にないんだから」
義「…白夜。俺が、白夜の嫌な記憶を塗り替える…」
義勇はオレの体へ馬乗りになった
「…うん。塗り替えて、過去を、忘れさせて」
そして、義勇と口付けを交わす
「…んっ、ぎゆぅ…」
義「…白夜」
二人はその後、何度も重なり合い、一つになった
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「……義勇の寝顔、可愛いなぁ」
何度繋がりあったか忘れてしまうほど、熱い時間だった
さすがに疲れて、お互い寝てしまっていたのだが、ふとオレは目を覚ました
「…義勇。もしオレが、鬼になってしまったら…その時は…」
義「…その時は、白夜を人間に戻す方法を探す」
「っ!!」
眠っていると思っていたため、義勇が言った言葉に驚きを隠せなかった
「…義勇、起きてたの」
義「今さっき」
「…そう」
寝ていると思ったから言えた先ほどの言葉
"鬼になってしまったら…"
言おう言おうと思って、なかなか言えなかった
義「言っただろう。俺も、白夜の味方だと」
「義勇…」
義「…白夜、できることならお前とずっとこうしていたい…」
義勇はぎゅっとオレを抱き締めた
「………」
オレもだよ、義勇
だけどそれは、鬼がいない平和な世界でしか、きっと叶えられない
鬼がいる限り、オレたちはそれぞれの場所で戦い続けなければいけないんだ
柱であれば特に
…それは分かってる
だから神様…
今だけ
今だけは、この幸せな時間をオレにください…
(…朝になったら、義勇とはしばらく会えなくなるから。幸せな時間を感じさせて…)