第伍話
「まずは傷の手当てしなくちゃね」
義「このくらい自分で…」
「オレがやりたいの」
義「…なら、光の呼吸で治してくれ」
義勇からそんなことを言われるとは思わず、少し驚いた
「確かにそのほうが早く治るか」
義「…いや、それもあるが、」
「?」
義「…白夜の光の呼吸は、温かくて、とても心地がいい」
「え、そうなの?」
義「あぁ。安心する」
癒し効果なんてあったかな?と思いつつ、それで義勇が喜ぶのであれば、いくらでも使ってあげる
「分かった。それじゃあ使うよ」
オレはそっと刀を抜く
「光の呼吸 陸の型 優光の包容」
淡い光が義勇に降り注ぐ
「どう?」
義「あぁ、もう治った」
「いやいや、深い傷は治せないよ」
義「本当に治っている。ほら、見てみろ」
そう言って義勇は少し隊服をはだけさせる
その仕草にドキッとしたのは義勇には内緒にしておこう…
「あれ、ほんとだ。深い傷だったのに、治ってる…なんで?」
義「白夜がさらに強くなったからだろう」
「いや全然そんな感じしてないけどね。もしかしたら、生命力とか治す力によって人それぞれなのかも」
そういやオレがこの型を使ってきた相手はほとんど階級が低い者ばかりだった気がする
義勇は柱になるほどの強さを持っているから、治す力も増したのかもね
「ともかく、傷が治って良かった。でも今日は疲れてるだろうしゆっくり休むんだよ?」
義「…あぁ、分かった」
「あぁそうだ。炭治郎がね、お礼言ってたよ。禰豆子のために命を懸けてくれてありがとうございましたって」
義「…そうか」
ちゃんと伝えたよ、炭治郎
義「…白夜」
「ん?」
義「明日の予定を聞いてもいいか」
「明日?明日はね、任務一つこなしてから、琥珀の命の恩人にお礼を言いに行こうと思ってるんだ。たまたま任務の場所とかなり近くてさ」
義「…俺も一緒に行きたいと言ったら、迷惑だろうか?」
え…?
義勇が一緒に?
「それは全然構わないけど、休まなくてもいいの?」
義「白夜と一緒にいるほうが楽だ」
それは一体どういう…?
すると突然義勇の烏が飛んできた
『白夜ト共ニ任務ニアタレ…!』
なんつータイミングの良さ!!
「あはは…お館様は何でもお見通しってわけね」
義「…そうだな」
あれ、義勇嬉しそうな顔してる
「あっ、義勇、羽織り破れてるよ?」
義「…気付かなかった」
「オレが直してあげるよ」
義「すまない。助かる」
「いえいえ」
それにしても義勇がここまでボロボロになるなんて
手強い鬼だったんだろうな…
裁縫道具を借りて、オレは破れを直していく
義「…白夜」
「んー?」
義「隣にいても、いいか?」
「…ふふ、いいよ」
義勇はそっと、オレの隣に腰かけた
そしてすぐに義勇は目を閉じて、オレの肩にもたれかかり
「…寝てる?」
スースーと寝息が聞こえた
「…しょうがないなぁ」
白夜は笑みを浮かべ、羽織りを直していく
「よし、できた。我ながら完璧では!?」
そして肩にもたれて寝ている義勇を再び眺めた
「…お疲れ様。よく頑張ったね、義勇」
(や、やばい。動いたら義勇起きるよね!?動けない…)