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第伍話


炭「白夜さん」

「ん?」


今日も今日とて鬼ごっこ
今は休憩中だ


炭「冨岡さんのこと、どのくらい知ってますか?」

「え?義勇のこと?そうだなぁ、どのくらいって言われると分からないけど、義勇が先生のところに来た時からの仲だからね」

炭「じゃあ白夜さんは冨岡さんの兄弟子でもあるんですね」

「そうそう。川の字みたいに一緒に並んで寝てたよ」

炭「…想像できない」

「ふふ」


今の義勇だと想像しにくいかな


炭「那田蜘蛛山で冨岡さんに助けてもらった時、水の呼吸の拾壱ノ型を使ってたんですけど、俺初めて聞いて…」

「ああ、そりゃそうだよ。拾壱ノ型は義勇が編み出した義勇だけの型だからね」

炭「そうだったんですか…冨岡さん、めちゃくちゃ強かったです」

「…そっか。いいよね、拾壱ノ型、凪!オレすごく好きでさ!澄み渡る水の綺麗で静かなあの感じが」

炭「白夜さんは、冨岡さんのことがとても好きなんですね」


笑顔で炭治郎が言った


「…え?そう見える?」

炭「見えるというか、そういう匂いがしました」

「…あぁ、そうだ、炭治郎も先生と同じだった」


嗅覚すごいんだよね、ほんと


炭「俺、まだ冨岡さんにお礼言えてないんです。白夜さんや鱗滝さんと同じように、禰豆子のために命を懸けてくれてたこと」

「義勇は自分の責任を全うしようとしてるんだよ。一番最初に禰豆子を見逃したのは自分だから」

炭「…でも」

「なら、オレから言っておくよ。次いつ義勇に会えるか分からないでしょ?」

炭「いいんですか!?」

「いいよ。義勇にはよく会うから」


というより、会いに行ってると言ったほうが合ってるな


炭「ありがとうございます!」

「どういたしまして。炭治郎、油断しちゃダメだよ。全集中の呼吸忘れてる」

炭「はっ…!しまった…!!」


可愛いなぁ、炭治郎




カァカァ


炭「あれ、白夜さんの鎹烏ですか?」

「…いや、あれは義勇の烏だ。文持ってるな」


足についている文を取り、中身を確認すると、ただ一言だけ






"白夜 会いたい"
冨岡義勇





と書かれていた


「……」


文を見て何も発しない白夜に、炭治郎が声をかけた


炭「…白夜さん?どうかしました?」


「…いや、」



ごめん炭治郎
今オレ猛烈に嬉しすぎて顔がほんとやばいの
ニヤけが止まらなくて



炭(白夜さんから嬉しいという感じの匂いがする…いい知らせだったのかな?)


「炭治郎悪い。鬼ごっこはここまででいい?行くところができたんだ」

炭「大丈夫です!むしろたくさんお付き合い頂いてありがとうございます!」

「どういたしまして。カナヲとの訓練と全集中常中の訓練頑張ってね」

炭「はい!」




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というわけで、オレは義勇の屋敷へやってきた


「義勇、白夜だけどー」


叫ぶとすぐに扉が開いた


義「…急に呼んでしまってすまない」

「いいよ。義勇から会いたいなんて文くれることめったにないからね」

義「…確かにそうかもしれない」

「というか、服汚れてるしボロボロだけどどうしたの?」

義「今しがた任務から戻ってきたばかりでな。不注意で色々へまをした」

「そうなの?珍しいね、義勇がへまするなんて」

義「…少々厄介な血鬼術を使う鬼だった」

「厄介な血鬼術?」


義勇が言うのだから、相当厄介だったに違いない



義「…血鬼術にかかった者の大事な人が、ボロボロの姿で目の前に現れて惑わす。そういう術だ」

「…大事な、人」

義「…俺の目の前に現れたのは、今にも死にそうな、白夜だった」

「………」

義「白夜ではないと分かってはいても、心が辛く苦しかった」

「義勇…」

義「だから、一秒でも早く元気な白夜に会いたかった」


気付いたらオレは義勇をぎゅっと抱き締めていた


義「…白夜」

「…義勇。オレはここにいるよ。大丈夫」

義「…あったかい」


義勇の手がぎゅっとオレの背中を掴む


よほど辛かったのだろう
なかなか離れようとはしない義勇だった




「…義勇?そろそろ屋敷の中に入ってもいい?」

義「…あぁ、すまない。外は冷えるしな。入ってくれ」



何故かオレと手を繋ぎ、中へ引っ張られる


「義勇さん?どうして手を繋いでるんでしょう?」


義「…すまない。俺の前からどこにも消えないようにと願っていたら無意識に…。すぐに手を離す」

「い、いや待って!離さなくてもいいよ!義勇が安心するなら、いくらでも繋いでるよ」

義「…そうか、なら、このままでいたい」







(義勇の手、おっきいなぁ)
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