第伍話
機能回復訓練に行ったのは炭治郎と伊之助
善逸は少々遅れて参加予定
善「あの…白夜さん」
「うん?どうしたの?善逸」
善「炭治郎たち、機能回復訓練から帰ってくるとゲッソリして何があったか教えてくれないんです!機能回復訓練ってそんなに辛いんですかぁ!?」
「うーん…オレは別に辛いと思わないけど、炭治郎たちにはちと辛かったかな?」
善「俺もう不安で不安で仕方ないんですー!!!」
「善逸なら大丈夫でしょ」
善「なんでそんな簡単にっ!!」
えー、だってねぇ?
「そういや善逸って、女の子好きなんだよね?」
善「そりゃ女の子は男と違って可愛いし優しいし柔らかいし好きですよ」
「なら問題ないよ」
善「どういうこと!?」
ふふ、善逸面白いな、顔が
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ア「善逸さんは今日から訓練ですので、ご説明させていただきますね」
蝶屋敷の使用人、アオイちゃんが善逸のために説明を始めた
ア「まずあちら。寝たきりで硬くなった体をあの子たちがほぐします」
三人の女の子が待機している
ア「それから反射訓練。湯飲みの中には薬湯が入っています。お互いに薬湯をかけ合うのですが、湯飲みを持ち上げる前に相手から湯飲みを押さえられた場合は湯飲みを動かせません」
要は相手より早く湯飲みを持ち上げればいい
ア「最後は全身訓練です。端的に言えば鬼ごっこですね。私アオイとあちらのカナヲがお相手です」
善「…すみません。ちょっといいですか?」
ア「何か分からないことでも?」
善「いやちょっと。来い、二人とも」
炭「?」
伊「行かねーよ」
善「いいから来いって言ってんだろうがァ!!!」
善逸が炭治郎と伊之助を連れて外へ出ていった
「いやぁ、青春だねー」
善逸の怒ってる声が聞こえてくる
どうやら、女の子とのきゃっきゃうふふな訓練をしているくせにゲッソリになってる炭治郎と伊之助が許せないらしい
それから、三人の訓練の日々が始まったのだが
「カナヲに勝てなくて戦意損失してんのね」
炭「はい…毎日誘ってはいるんですけど」
アオイには勝てたものの、カナヲとの反射訓練と鬼ごっこは全く勝てず、善逸と伊之助は諦めてしまったのか、訓練に出なくなったらしい
「まったく、あいつらは。堪え性がないな。それで、炭治郎は何してたの?」
炭「全集中常中の訓練です。柱の皆さんやカナヲはできるらしくて…」
「あぁ、なるほど。確かに強くなりたいなら必須だね」
炭「白夜さんもできるんですよね?」
「できるよー。確かオレは最終選別の時には会得してたかな」
炭「え…!?だって、全集中常中ってかなり辛いですよ!?」
「そうだね。最初は大変だったけど、今じゃ息するのと同じような感覚だし、慣れれば何ともなくなるよ」
炭「そ、そうなんですか…」
「そうそう。炭治郎もきっとできるようになるよ。あ、良かったら稽古つけようか。久しぶりに」
炭「いいんですか!?」
「って言っても機能回復訓練と同じ、鬼ごっこだけど。まだケガが完全に治ってるわけじゃないから刀稽古は止めといたほうがいいし」
炭「はい!よろしくお願いします!」
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「ほらほら、遅いよ炭治郎ー!」
炭「白夜さんがっ、速すぎるんです!カナヲより速いですっ!」
「オレの速さに慣れれば、カナヲの速さもマシになるよ。追い付けなくても全力で追ってこい!」
炭「はいっ!」
「全集中常中も意識して!」
炭「は、はい!」
炭(速すぎる…っ!カナヲよりももっと…!これが柱の力なのか…!そんでもって全集中常中しながら白夜さん追うの辛いっ!)
炭「はぁ…はぁ…」
「はい水どうぞ」
炭「あ、ありがとうございます…白夜さん、あれだけ動いて汗一つかいてませんね…」
「あはは。まぁオレにしてみれば歩いてるようなもんだからね」
炭「………。」
また炭治郎が声にならない驚き顔をしている
「そういや聞きたかったんだけどさ、鱗滝先生の訓練で、最後に岩を斬れっていうお題あったでしょ?」
炭「はい、ありました」
「炭治郎が鬼殺隊にいるってことは、あの岩を斬ったってことだよね。大変だったと思うけど、どうやって斬ったの?」
炭「…実はあの山で、錆兔という少年と、真菰という女の子に会いました」
え……
錆兔と、真菰だって…?
「…どういう、こと?あの二人は…」
炭「…はい。最終選別の時に、二人とも亡くなっていることを知りました。だけど、俺は本当に二人に会ったんです。錆兔に稽古をつけてもらって、真菰に悪いところを教えてもらいました。二人のおかげで、俺は岩を斬れたんです」
「…そっか。きっと、二人の思いを、炭治郎に託したかったのかもしれないね」
錆兔、真菰…
炭治郎を助けてくれて、ありがとう…
どうかこれからも、炭治郎と、そして、義勇のことを見守ってあげてね…
(…オレも会いたいな、二人に)