第肆話
「急にごめんね、義勇。どうしても琥珀を義勇に会わせたくて」
義「いや、俺はむしろ嬉しい。妹に、俺とのことを打ち明けてくれたこと」
「義勇…なら、良かった」
義「…白夜」
「ん?」
突然目の前に義勇が
「んっ…」
義勇の唇がオレの唇に触れた
「…義勇、またお前はこんな外で口付けして…」
義「…したくなった」
「……ばか」
そんなこと言われたらこれ以上怒れないじゃん
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再び蝶屋敷に戻ってきた白夜
「やぁ」
炭「お帰りなさい!白夜さん!」
「ただいま。そういや気になってたんだけど、善逸ちっさくない?手足」
善「今頃ですか!?」
いやぁ、そういう子なのかなぁって
違うのか
善「鬼蜘蛛の毒で手足短くなっちゃったんです!!危うく蜘蛛にされるところだったんですからぁ!!」
「そりゃ災難だったね。ある意味善逸が一番重症だな」
善「ほんとそうなんですよぉ!薬は苦いし、まともに歩けないしで最悪なんですから!!」
善逸って、声デカいな
そういう子なのかなぁ
「善逸って声でかいけど、それも蜘蛛になりかけた後遺症?」
善「いえこれは元からです」
「あぁ…そう」
飽きないな、この子
炭「あの、白夜さん!」
「おう、どうした炭治郎」
炭「どうしたら白夜さんみたいに強くなれますか!」
善逸とどうでもいいような軽い話してたから、急にド真面目な質問来て頭が追いつかないよ
「あぁ、そういやお館様に、まずは十二鬼月を倒そうねって言われてたっけ」
炭「はい!」
「うーん、そうだなぁ、強くなるのに近道はないよ。ひたすら経験と努力!それが一番だと思うけど」
炭「…そう、ですよね」
「でも、それを手伝うくらいなら、オレも協力してあげられるよ」
炭「ほんとですか!?ありがとうございます!」
恐らく怪我がだいぶ治ってきたら、機能回復訓練が行われるはずだ
それの手伝いなら、オレもやってあげられる
「でも、まずは怪我をしっかり治すこと!今炭治郎にできるのはそれだけだよ」
炭「はい!」
元気があっていい返事だなぁ
それからオレは任務に出かけては、終わると炭治郎たちの見舞いに行った
日に日に元気になっていく炭治郎たちを見るのは嬉しいものだ
善「ねぇ白夜さん!!俺、朝に薬飲んでましたよね!?」
「え?えーっと…どうだったかな?」
善「思い出してぇーっ!!白夜さん柱でしょ!?柱の力で思い出してー!」
「いやいや、柱だから記憶力いいとかないからね?」
善「お願いだよぉ…!白夜さんの記憶力にかかってるんだぁー…」
「うーんと、確か…あぁ、そういや飲んでた飲んでた!」
善「ホントですか!?ありがとうございますぅー!!」
「ちょっと善逸!泣きつくな、汚いだろ」
こういうやりとりがよく行われている
炭「白夜さん!今日はどんな鬼がいたんですか?」
うってかわり、真面目な炭治郎はオレがどんな鬼と遭遇したかをよく聞いていた
ずっと寝てばかりいるから退屈らしい
「今日はね…」
オレは聞かれるたびに炭治郎に話して聞かせた
キラキラした目で聞いてくれるもんだから、オレもまんざらじゃなかったんだけど
伊之助もだいぶ話してくれるようになったのは嬉しい
初めはなぜか謝り倒してたけど、何度か話しかけると普通に会話してくれた
そして分かったこと
伊之助はかなり名前を覚えるのが苦手だということ
毎回オレのことを違った名前で呼ぶ
これはオレに限ったことでもなくて、炭治郎や善逸のことも間違えて呼ぶことが多かった
伊「おい白馬!今日こそ俺と勝負しろぉ!」
「白夜ね。ダメだよ、まだ傷が治ってないんだから」
伊「治ったら勝負してくれるのか?」
「うーん。まぁ素手ならいいよ」
伊「よし。ちゃっちゃと治してやるぜ!」
善逸が言っていた通りほんとに野生児
でも憎めないんだよね、これがまた
そんなある日、蝶屋敷でオレが炭治郎たちの見舞いに来ていると来訪者がやってきた
村田「よう」
炭「村田さん!」
あ、あの青年
柱合会議に呼ばれてた人だ
村田「…て、え!?ど、どうして白夜さんがぁ!?」
「やぁ。柱合会議の時は大変だったね」
那田蜘蛛山のことで色々聞かれていた
村田「い、いえ…!」
「ごめんね、みんなピリピリしててさ。君が悪いわけじゃないんだけど」
村田「白夜さんが助け船を出してくださったので…!」
助け船って言っても、ピリピリしてる空気をなだめるくらいしかできなかったけどね
「柱合会議、どうだった?」
村田「正直地獄でした…最近の隊士はめちゃくちゃ質が落ちてるってピリピリしてて皆。那田蜘蛛山行った時も命令に従わない奴とかいまして…その育手が誰かって言及されてて…」
聞いてる炭治郎がポカンとしていた
まぁ、言うなら愚痴だもんね
村田「って、すいません!白夜さんがいるのに…」
「いいよいいよー。その通りだし」
その時
し「こんにちは」
「あ、しのぶ!」
村田という青年はしのぶを見るや否や、そそくさと帰って行った
し「白夜さんもいらしたんですね」
「うん。炭治郎たちと話すの楽しいから」
し「そうですか」
相変わらずしのぶは笑顔だなぁ
し「どうですか、体のほうは」
炭「かなり良くなってきてます。ありがとうございます」
し「ではそろそろ機能回復訓練に入りましょうか」
炭「…機能回復訓練?」
来たね、機能回復訓練
(オレもお手伝いしよう。というより楽しそう)