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第肆話


隠「ここが蝶屋敷。何なら中まで案内しようか?」

?「いいんですか!?」

隠「ここまで来たついでだしな」

?「ありがとうございます!」



そして隠はベッドがたくさん置いてある部屋へ


隠「えっと…白夜様は…あ、いらっしゃるな。良かった。すいません、白夜様」

「ん?」

隠「白夜様に会いたいと言う者を連れて来ました」


「オレに…?」


すると、隠の後ろに隠れていた子が、すっと出てきた


「………」


オレと同じ、銀髪…
その姿はあまりにも似ている
かつて鬼に殺された『妹』に



?「…あ、あの…」

「!」


?「…白夜、お兄ちゃん?」



全「え!?」



女の子の発言に、その場にいた全員が驚く


「…君、名前を言ってみて」


琥珀「…琥珀、です」


「…本当に、本当に琥珀なの…?だって、鬼に殺されて…っ」


目から涙が溢れていた


琥珀「…うん、死にかけてたんだ。でも、私を育ててくれた人が助けてくれたの。私がまだ生きてるって気付いてくれて」

「…まだ、生きてた…そうだったのか…」


確かあの時、オレはまだ幼くて、体温を確かめずに埋葬を頼んでいた

オレが埋葬してやれれば、気付いてやれたのかもしれないけど、あの後オレはすぐに売られてしまったためにその後を見届けられなかった


「琥珀っ…!良かった…!生きてて良かった…!!」


オレはぎゅっと琥珀を抱き締めた


琥珀「お兄ちゃんっ…!会いたかったよぉ…っ!」


静かに聞いていた炭治郎と善逸も泣いていた


「琥珀、どうしてオレが鬼殺隊にいるって分かったんだ…?」

琥珀「私を助けてくれた人ね、鬼殺隊員の育手だったの。それで風の噂でお兄ちゃんらしき人が柱にいるって聞いて。鬼殺隊に入ればお兄ちゃんに会えるんじゃないかと思って」

「それで琥珀も鬼殺隊に…」

琥珀「…これでもけっこう強くなったんだよ!」

「…そっか。偉いな、琥珀」


頭を撫でてやる


炭「良かったですね…白夜さん。妹さん、生きてて」

「うん…ありがとう、炭治郎」

炭「白夜さんが言ってた通り、白夜さんに似て、とても美人さんです」

「でしょ?」


自慢の妹だからね


「琥珀。その、琥珀を助けてくれた育手の人にお礼をしに行きたい。いつでもいいから場所を教えてくれる?」

琥珀「うん!」


「あと、琥珀に紹介したい人がいるんだ。着いてきてくれるか?」

琥珀「う、うん…!」


というわけで、オレは蝶屋敷を後にする


「あ、隠の君」

隠「は、はい!」

「妹をここまで案内してくれてありがとう。炭治郎を拘束したこと、許す!」

隠「あ、ありがとうございます!(ていうかやっぱり怒ってたんですね…!!)」


そしてオレは琥珀とともに歩き出す



琥珀「お兄ちゃんすごいね。柱だなんて」

「そうかな?ただひたすら頑張ってただけだよ」

琥珀「お兄ちゃんはどんな呼吸を使うの?」

「オレは光の呼吸。普段は水の呼吸だけど」


琥珀が目をキラキラさせている


琥珀「すごい…!二つも使えるんだ!私は水の呼吸だけだ…」

「いや、普通は一つだけだから。そっか、琥珀も水の呼吸か」

琥珀「うん!でも、光の呼吸かぁ。私も使えたらお兄ちゃんみたいになれるのかなぁ」

「……琥珀、光の呼吸、使ってみたいの?」

琥珀「使ってみたい!だってお兄ちゃんが考えた呼吸なんでしょ?」

「…あぁ。なら、琥珀…オレの継子に、なるか?」


気付いたら、そう口に出していた
今まで継子にしようと思えた子がいなくて苦労していたのに


琥珀「いいの!?お兄ちゃんがいいなら継子になりたい!」


琥珀なら、きっとちゃんと継いでくれる
なぜかそう思った
妹だからという理由も、あるかもしれないけど
気の知れた相手というのは、オレにとってもやりやすいことに変わりはない


「そっか。ならよろしくね、琥珀」

琥珀「はい!よろしくお願いします!」


こうして、オレに継子ができた


琥珀「どうやったら光の呼吸使えるの?」

「さっそくそれ聞くんだね。でも、教える前に琥珀にはもう少し強くなってもらわないと教えられないな」

琥珀「そうなの!?」

「光の呼吸はそう簡単には扱えないんだ。体力もかなり使うから、オレもあまり使わない。だからまず、琥珀には2つ頑張ってほしいことがある」

琥珀「2つ?」

「まずは任務をこなして強くなること。そうすれば自ずと階級も上がってくる。そしてもう1つは全集中の呼吸を常中できるようになること」

琥珀「なるほど…任務をこなす。え?全集中の呼吸を常中!?そんなの無理だよ!」

「できるようになれば格段に強くなれる。体力も上がる。いいことずくめだ。光の呼吸を覚えるには最低限その2つは必須だ。嫌ならやめる?」

琥珀「や、やめない!!」

「なら頑張れ」


頭を撫でてあげる


琥珀「頑張る!そういえば、会わせたい人って誰なの?」

「…着いた。ここだよ」

琥珀「…誰かのお屋敷?」




「水柱の屋敷だ」



それを聞いた瞬間、琥珀が驚きの声をあげた


琥珀「ちょ、ちょっと待って!!いきなり柱!?お兄ちゃん分かってる!?柱は尊敬される人たちなんだよ!?すごい人なんだよ!?恐れ多いよ!」


「え…ほら、でもオレも柱だし一緒一緒」


琥珀「お兄ちゃんは別だもん!私の育手の人が言ってた。柱はすごい人たちなんだって。昔、柱の人に助けてもらったことがあったらしくて、それからはずっと柱を尊敬してるんだって」

「へぇ。だから琥珀も感化されて柱を尊敬するようになったのか」

琥珀「そうだよ!しかも水柱様でしょ!?同じ水の呼吸を使う者として私なんか足元にも及ばないのに…!私なんかが会っていい人じゃないよ!」


え、そこまで…?


「いや、でも…」



その時だ



義「…人の屋敷の前で何を騒いでいる」



「あ…」

琥珀「へっ…!?」


少し不機嫌そうに出てきた義勇だが、オレと目が合った途端に機嫌が戻った


義「白夜…?なぜここに…」


琥珀は驚きのあまり、硬直している


「あー…えっと、義勇に会わせたい人を連れてきたんだけど…」

義「…会わせたい人」

「うん。この子、実はオレの妹なんだ」

義「…妹?だが、確か白夜の話では幼い頃に殺されたと」

「それが、ほんとは生きてたんだ。オレは死んだと思ってたんだけど。妹のことを助けてくれた人がいたみたい」

義「…そうか。良かったな、白夜」

「…うん!って、琥珀!いつまで固まってるの?」


琥珀の頬を軽くつつく


琥珀「はっ…!あ、あの…!白夜の妹の琥珀です…!いつも兄がお世話になってますっ」

義「…冨岡義勇だ。こちらこそ、白夜にはいつも世話になっている」

琥珀「…えっと……」

義「………」


沈黙が続く


「あー!えっと、義勇は口下手であまり喋るのは得意じゃないんだ」

琥珀「そ、そうなんだ…!すいません!気づかなくて…」

義「いや…」



「琥珀、どうして義勇に会わせたかったのか言ってなかったね」

琥珀「う、うん」


「実は、オレと義勇は恋仲なんだ」



琥珀「………え?ちょっと待って?恋仲…?」


「琥珀には知っててほしくて。オレのたった一人の家族だから」


琥珀「…あ、あの水柱様。兄はこんな見た目で女の人みたいだけど、男ですよ!?」


義「?知っているが」


琥珀「じゃあホントに二人は…」


義「俺が白夜のことを好いていることに間違いはない」

「義勇…」


嬉しい…


琥珀「…私は小さいころの兄しか知りません。きっと水柱様のほうがずっと兄のことを知ってるんですよね?」

義「それはどうか分からないが、ずっと白夜を見ていたのは事実だ」

琥珀「…水柱様、兄のこと、どうかよろしくお願いします」


琥珀…


義「あぁ。承知した」







カァカァ


琥珀「あ、私の鎹烏!」

『南西二向カエ!』


「任務みたいだね。頑張れ、琥珀」

琥珀「うん!あ、もし私の育手の人に会いに行くなら場所教えておくね!」

琥珀は住所を紙に書いてくれた


「ありがとう。時間が出来たら挨拶に行かせてもらうよ」

琥珀「うん!それじゃあお兄ちゃん、行ってきます!」

「いってらっしゃい。全集中の常中、忘れるなよ」

琥珀「そ、そうだった…!がんばります…!」



そう言って琥珀は任務に向かった



義「…いい妹だな」

「でしょ?実は琥珀をオレの継子にしたんだ」

義「…そうか。いいと思う」

「ありがと」






義(白夜はこれから任務か?)
(ううん。まだ指令来てないし、炭治郎の様子でも見てようかな)
義(そうか)
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