懐かしい話
百「ユキー!ハク連れてきた!」
千「ハク?」
「ちょ、ちょっと待って!まだ心の準備が!」
無情にも楽屋のドアが開かれ、オレはRe:valeの楽屋へ
千「あ…ハクヤだ」
百「そうなんだよ!さっき偶然会って連れてきたんだ!」
「えと……ゆ、千さんはじめまして、ハクヤです!大ファンです!!!」
千「知ってる。例の音楽番組、モモと観てたから」
なんと…!!恥ずかしぬっ!!
千「っていうかモモ、いつの間にハクヤと仲良しになったの?」
百「さっき!ハクってば面白くってさ!すぐ友達になっちゃった」
千「モモと友達なら、僕とも友達になってくれるよね?」
「ええええ、むしろいいんでしょうか!!!」
千「もちろん。これからは敬語もさん付けもなしね」
「わ、分かった!えっと、千!」
千「うん。あ、そうだ。会えたら言おうと思ってたことがあるんだけど」
え、なんだろ……ダメだしとか!?
千「ハクヤの曲って、自分で作ってるの?」
「うん、そうだよ」
まさか曲のダメだし!?
千「…君の曲、最高にいい。メロディもだけど、特に歌詞。ハクヤの作詞力は群を抜いてる。天才級」
「え……」
まさかそんなに褒められるとは
百「分かる!!めちゃめちゃ心にグッとくるんだよね」
千「ふふ、モモ泣いてたもんね。ハクヤの歌聴いて」
「え、百が?」
百「ちょっ、千!それは言わないでよー」
嬉しい……
千「そういうわけでハクヤ、Re:valeの曲の作詞を、君に頼みたいんだけど、どうかな」
「え??」
今、なんと?
オレがRe:valeの曲の作詞…?
「ええええ!!!?」
千「まだ誰も君にオファーしてないよね?」
「それはないけど」
千「これから先、ハクヤは作詞家として引っ張りだこになるよ。まだ誰もハクヤの作詞力に気付いてないだけで。だからそうなる前にRe:valeが君を押さえるってわけ」
百「なるほど!ユキ天才!!」
千「でしょ?」
なんかすごいこと言われた気がするけど……
「…オレが、Re:valeの曲の作詞、してもいいの…?」
千「もちろん。というか、こっちから頼んでるんだよ?」
「…分かった!事務所に確認してからになるけど、オレはやりたい!」
大好きなRe:valeの曲を作詞できるなんて、夢みたいだ
百「やった!楽しみだね、ユキ!」
千「そうね。あ、じゃあ連絡先、交換してくれる?」
百「あ、オレも!!」
「う、うん!!」
こうして、オレとRe:valeは仲を深めていった
その日を境に、オレの生活は一変したんだ
Re:valeの曲の作詞を担当するようになってから、二人の部屋で意見を聞きながら作詞したり
あ、当時二人は一緒の部屋に住んでたんだよね
休みの日には、百と色んなところに出掛けたり、遊んだり
-現在-
「ほんと、懐かしいね。あの時百とぶつからなかったら、どうなってたんだろ」
百「たとえぶつからなくても、楽屋挨拶の時に同じようになってたよ!」
「そうかな?」
百「そうだよ!だから、オレたちが仲良しになるのは必然!」
「そうだね」
百「あ…一つ、打ち明け話をしてもいい?」
「うん、なに?」
百「実はさ…オレ、例の音楽番組観た時からハクのこと好きで…。会ったら絶対仲良くなるって決めてたんだよね…」
「………ええ!?そうだったの!?」
百「うん。だから、その…ぶつかったのは偶然だけど、あの日初共演できるのは知ってたから、一人でこっそりハクの楽屋に行こうとしてた」
「百…そうだったんだ。でも、嬉しい。オレも同じようなものだし。会ったことはなくてもテレビで観て大ファンになった。オレも、初めて会う前から百が好きだったから」
百「ハク…。えへへ、オレたち似てるね」
「うん」
本当に幸せだ…
大好きな百といる時間が
百「あ、それと…今日別れ際ユキが言ってたことは気にしないでいいからね…!オレ、今日はその…する気ないし。ハクの心と身体が癒えてからで大丈夫だから」
「…どうして百は、そんなに優しいの?たとえ心と身体の傷が癒えてなくたって、百ならオレは平気なのに」
百「そんなの、大大大好きだからに決まってるでしょ。ハクは無意識に無理しちゃう子だから、オレが止めないと」
…確かに、いつの間にか無理してたことはあるな
ダンスの時とか…
「…そっか、ありがとう、百」
百(そろそろ寝よっか)
(うん。百、くっついて寝ていい?)
百(いいよ!おいで)
(あったかい…)