懐かしい話
百「今日はハクんちに泊まるから、一緒に帰るよ」
お「分かりました。お気を付けて」
千「百、ほどほどにしときなよ?」
百「……!」
「ちょ、ちょっと千、それどういう…」
千「ふふ…何でもないよ」
千の謎の笑みが怖い
おかりんと千の二人にさよならして、オレと百は歩き出す
百「はぁ…それにしても、一難去ってまた一難って感じだよね」
「…あはは、確かに。何事もなければ良いんだけど…」
百「ハクのことは絶対オレが守るから!」
「…ありがと。でも、百は千のことも守らなきゃいけないのに大丈夫?」
百「大丈夫!どっちも守る!」
なんか申し訳なくなるなぁ
百「そうだ。もしものためにこれ、渡そうと思ってたんだ」
「ん?って、これ…」
百「にゃはは。うん、オレの部屋の合鍵」
「…いいの?」
百「もちろん!オレがいなくてもいつでも入っていいから!逃げ場所に使ってくれてもいいよ!」
…オレは誰から逃げる予定なのだろうか
「うん、ありがとう。すごく嬉しい。じゃあオレも」
百「え?」
「実は用意してたんだけど、タイミングなくて」
オレは自分の部屋の合鍵を百に渡した
百「…嬉しい!!」
「ふふ。オレの部屋も、いつでも入っていいから」
百「分かった!」
嬉しそうに鍵を見つめる百がいた
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家に帰り、ご飯を食べたあとシャワーを浴びた
そしてソファに二人で座り、手を繋ぐ
もちろん体はぴったりくっついていて、お互いに体重を掛け合う
百「はー、ハクとこうするの、ほんと幸せ…」
「家でしかできないもんね」
百「そうそう。だから家にいる時だけはくっついてたい」
「うん、オレも」
そして自然と目が合い、キスをする
百「…ハク、可愛い」
「…百こそ。いや、カッコいい…かな」
百「やった、嬉しい!」
百の笑った顔も好きだなぁ
百「そろそろ寝よっか。明日もお仕事だし」
「う、うん」
…なんだ、しないんだ
いやいや何期待してんの!
もう…!千が変なこと言うからぁ!
百は優しいから、事件のこと気にしてくれてるんだ
あれからそんなに日も経ってないし
そして二人並んでベッドに寝転んだ
百「それにしても、いつも思うけど…ハクの部屋ってRe:valeのグッズで埋め尽くされてるよね。特にオレの…」
部屋はほぼ百カラーのピンク色で埋められている
「そりゃあ、Re:valeがデビューした時からのファンだからね、百推しの。もちろん千も好きだけど」
百「そう考えると長いよね!あー、初めてハクと会った時のことがもう懐かしいや」
「あはは、確かに。百と初めて会ったのって…」
-約5年前-
はぁ…緊張するなぁ
オレはデビューしたての新人アーティスト
運が良かったのか、デビューしてすぐに色んなところからオファーが来て忙しい毎日を過ごしている
そんな時、大ファンであるRe:valeとの初共演が決まったのだ
おそらく初めて出た音楽番組で、Re:valeのファンだと言ったのがきっかけだろう
「あああ、もう心臓バクバクだよ…。あの二人に何て声かけたら…」
テレビ局の廊下を歩いている時だ
角を曲がった瞬間
「わっ!!?」
?「うおっ…!!」
誰かとぶつかり、オレは後ろにしりもちをつきそうになった
が、ぶつかった相手がオレの手を引いてくれたおかげでなんとか大丈夫だった
?「とっ、大丈夫!?」
「あ、はい…、大丈……、!!!!?」
ぶつかった相手はなんと、オレの大好きなRe:valeの百だった
百「あれ、君って……!」
「あああ…、すみません!!!あの、お怪我はなかったですか!!」
百「うん、っていうかむしろそっちが大丈夫?って感じだけど」
「オレは大丈夫ですっ…!!」
百「そっか、なら良かった!ねぇ、君、ハクヤさんだよね?」
「え、オレのことご存知なんですか!?」
そう言うと、百は笑って言った
百「当たり前じゃん!デビューしてすぐ人気出てるし。それに、オレたちのファンだって言ってRe:valeの知名度上げてくれた張本人だしね」
「…もしかして、あの音楽番組観てたんですか!?」
百「うん!すっごく嬉しかった!」
あああ…恥ずかしい…!!!
百「ねぇ!オレたち同期だし、タメで話そ!オレのことも百って呼んでいいから」
「ええええ、いいんですか!?」
百「うん!オレも…そうだなぁ、ハクって呼ぼうかな!」
「…っ!!!!幸せすぎて死にそう…」
百「死なないでよー!ハクって面白いね!あ、そうだ!オレたちの楽屋に寄ってって。ユキもハクに会いたがってたからさ」
「ゆ、千さんが!!!?恐れ多いよぉ…」
百「いいからいいから!ほらおいで!」
ああああっ、百がオレの手を掴んでる…!!
…今日は洗わないでおこう
百(ハク?顔真っ赤だけど大丈夫?)
(…もうすでに息絶え絶えだよ)