合同ライブ
結局何もないまま、朝を迎えた
もしかしたら百は、オレの身体を気遣って何もしなかったのかな
百は優しいから、きっとそうなのだろう
それなのにオレは自分のことしか考えてなかった
ごめんね、百
百「…ん、ハク…」
「…おはよう、百」
そう言って百にキスを落とすと、百は嬉しそうに笑った
百「ふふ…ハクからキスしてくれるなんて嬉しい。今日は1日ハッピーな日になりそう」
「それは良かった」
百は仕事があるとのことで、行ってしまった
昨日のお礼も兼ねて、百にお弁当を渡したらすごく喜んでた
「…よし、昨日は半日休んじゃったし、今日は頑張ろう。っと、それがダメなんだった…頑張りすぎないようにしないと」
また、みんなに迷惑をかけてしまう
「今日は歌番組の収録だったよね。共演はTRIGGERって万理さん言ってたな」
昨日のこと、ちゃんと謝らないとな
そして、収録現場に到着
楽屋で準備を済ませ、オレはすぐにTRIGGERの楽屋へと向かった
「ハクヤだけど、入ってもいい?」
楽「どうぞ!」
楽の声が聞こえて、オレはドアを開ける
「どうも。昨日はごめんね。レッスン来られなくて」
天「大丈夫ですよ。気にしないでください」
龍「そうですよ!ハクヤさん忙しそうだし、きっと疲れが溜まってたんですよ」
「ありがとう」
楽「もう体調は大丈夫なんですか?」
「うん。半日休んだし、大丈夫。それで、皆にお願いがあるんだけど」
楽「お願い?」
そう
昨日百が提案してくれたことだ
「ダンスの難易度を、下げたいんだ」
「「「………」」」
「ストイックな君たちには甘えだと言われてしまうのも仕方ないことだと思う。だけど今のダンスは、オレには難しすぎると百が言ってて…」
天「甘えだなんて、思いません。むしろ、そうするべきだと思います」
「え…?」
楽「実は昨日、話してたんです。このダンスは、ダンスが苦手なハクヤさんには難しすぎるって」
龍「だから、オレたちから提案しようと思ってたんです」
天「ハクヤさんはプロ意識が高いから、もしかしたらこのまま頑張ると言うかもしれない。そう思ってました。だけど、このまま続けてもハクヤさんが苦しいだけ。それに、自分の許容範囲を超えて頑張ることは良くないことです。それこそ、身体を壊してしまう」
楽「今ハクヤさんができる最大限のことをやればいいんです」
「天、楽、龍…」
あまりの嬉しさに、涙が溢れた
「…ありがとうっ」
オレの後輩は、最高な子たちしかいないな、ほんと
天「ハクヤさん、一緒にライブするグループにTRIGGERを選んでくださってありがとうございます」
「…当然でしょ。オレの大好きなグループだもん」
その頃、Re:vale楽屋では
百「ふふ♪ハクの手作り弁当♪」
とてもご機嫌な百がいた
千「ハクヤに作ってもらったの?すごいな、普通に美味しそうなんだけど」
百「でしょでしょ!!食べる前に写真撮っとこっと!」
千「それでハクヤ、もう大丈夫そうなの?」
百「うん、体調は良さそうだった。あ、それでユキ、相談があるんだけど」
千「なに?」
百「ハクと踊るダンス、もう少し簡単にできないかな?」
千「…それ、モモなら言うと思ってたよ。ハクヤが倒れたって聞いた時から」
百「ハク、すごく頑張ってるんだ。頑張ってるんだけど、それでも出来ないことってあると思う。それに、これ以上踊れなくて苦しむハクは見たくないから。ハクは、ただオレたちと一緒に踊りたいだけなんだ。だから…」
千「そうね。いいんじゃない?モモがそう言うなら」
百「ユキ…!」
千「ハクヤとは楽しく踊りたいもんね」
百「えへへ、うん!ありがとう、ユキ!」
百(ハクのお弁当美味しい♪)
千(そんなに美味しいなら、今度僕も作ってもらおうかな)
百(だ、ダメだよ!ハクの手作り弁当はモモちゃんだけの特権なんだからね!)
千(ふふ、冗談だよ。モモがあまりにも美味しそうに食べるからつい)
百(もう、ユキー!)