告白と報告
千「…モモにハクヤ?どうしたの」
千の家にやってきました
「良かった。起きてた」
百「寝起きの顔だけどね」
千「それで?僕に何か用事なんでしょ?」
オレと百は顔を見合わせ
百「ユキに、大事な話があるんだ」
千「…分かった。とりあえず中入りなよ。こんなところで立ち話もあれだし」
千の家に入れてもらった
千「それで?大事な話って?」
椅子に座り、千がオレと百を見る
百「…ユキ、あの、実はね」
千「うん」
百「…オレとハク、付き合うことになりました…」
千「………」
千は目を瞬きするだけで、全く表情を変えない
一体どういう感情なんだろうか
「…千?」
すると千は軽く笑って言った
千「やっとくっついたんだ。良かったね、おめでとう」
「「…え?」」
千はあろうことか、さして驚きもせず、涼しい顔で言ったのだ
百「驚かないの!?」
千「だって、モモがハクヤのこと好きなのは知ってたし、ハクヤもモモのこと好きなんだろうなーって何となく分かってたから」
マジか。
百「そうだったの!?オレ、そんな分かりやすかった!?」
千「うん、おかりんも気付いてるんじゃない?」
百「……」
百は顔を赤くして、両手で頬を挟んでいる
「…えっと、千はいいの?百がオレと付き合っても」
千「いいよ。モモがそうしたいなら応援する。モモにはたくさん苦労をかけたからね」
百「ユキ…」
千「でもさ、ちょっと急展開すぎない?昨日こけら落としだったんだけど。もうちょっと思考を休ませてほしいよね」
「ご、ごめん…」
百「ごめんねユキ!一番にユキに報告したくて…!」
千「…僕が一番なの?」
二人でぶんぶん頷く
千「…なら、まぁ、いいけど」
良かった…
千「分かってると思うけど、マスコミとかパパラッチだけには気を付けてね。普段から仲良いから、よほどのことがない限り大丈夫だとは思うけど、恋人同士じゃなきゃしないようなことは外ではしないこと」
「「はい…」」
うん、気を付けよう…
千「…モモ、良かったね」
百「ユキ…うん!ありがとう!!」
千の公認をもらった二人は、小鳥遊事務所へと足を向けたのだった
百「あー…次はバンさんかぁ。ドキドキするなー」
「でも良かったよね。千に公認もらえて」
百「うん!ユキはジェントルだからね」
そうこうしている間に事務所に到着
「行くよ、百」
百「う、うん」
頷き合って、足を進めた
「万理さん、おはよう」
百「お、おはようございます、バンさん」
万「おはようハクヤくん。と、百くん?」
「えっと…万理さんに大事な話があるんだけど、時間あるかな?」
万「うん、大丈夫だけど、大事な話っていい話?悪い話?」
「…オレにとってはいい話だけど、事務所にとっては悪い話、かな」
万「…分かった。別室に行こうか」
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「…万理さん、オレ、百と付き合うことになった」
万「……!」
やっぱり驚くよね
これが普通の反応だよ
百「バンさん!オレ、ほんとにハクのこと…!」
万「…大丈夫だよ、百くん。百くんがハクヤくんのことを大事に思ってくれていることは分かってるから」
百「えっ…?」
万「まだ、あの時のお礼が言えてなかったね。百くん、ハクヤくんを助けてくれてありがとう」
それは、オレが誘拐された事件の時のことだ
百「お礼なんて!ハクがオレに連絡くれたから、だから助けるのは当たり前のことです!」
「百…」
万「それでも、ずっと言いたかったんだ。あの事件は、ハクヤくんにとって今でも深い傷が残り続けてる。百くんがすぐに助けに行ってくれてなかったから、どうなってたか」
百「それは…」
そして万理さんは困ったように笑った
万「事務所の人間としては喜べないことだけど、大神万理個人としては、嬉しいし応援したいと思ってるよ。辛い思いをしたハクヤくんが、やっと幸せになれるんだと思うとね」
「万理さん…。ありがとうっ…」
万「良かったね、ハクヤくん。でも、分かってると思うけど…」
「分かってる。マスコミに抜かれないようにするよ」
万「うん。このことは、オレだけじゃ抱えきれないから、社長にも伝えるからね」
「うん、オレも一緒に行くよ」
このあと、社長にも報告した
とりあえず許してくれたみたいだけど、社長にもこっぴどくマスコミには気を付けるように言われた
「はぁ…これでとりあえず公認はもらえたかな」
百「まだうちの事務所があるよ」
「…うっ」
百「あはは!大丈夫だよ。うちの社長とおかりんにはオレから言っておくから」
「…いいの?」
百「うん!ユキもいるから、大丈夫!きっと着いてきてくれると思う」
「…そっか。分かった。任せるね」
百(ハク…手繋ぎたい)
(…まだダメ。…家に着いてからね。ケーキもあるし)
百(ケーキ!あ、途中でももりん買っていこうよ!)
(そうだね)