再会と哀しみ
理「私には無理かもしれない。だけど、ゼロを超えるアイドルを育てることが九条さんの夢なら、私はその気持ちに応えたい…っ」
環「なんだよ、それ…。誰なんだよ、九条って…!」
その時、革靴の音が聞こえてきた
九「遠い昔に、ゼロと同じ夢を見た男だよ」
壮「あなたは…!」
理「九条さん…!」
「……九条…」
オレは誰にも聞こえない声で呟いた
環「九条…!?こいつが…!?」
九「僕と、ゼロと、春樹…」
ナギ「ハルキ…?ハルキの知り合いですか…?」
九「ああ、よく知っているよ。僕はゼロのマネージャーだったんだ」
九条は言った
ゼロは夢半ばだった九条を裏切り、どこかに逃げた
だから九条はゼロを超える伝説を作ろうと決めた
九「とても辛く、悲しい日々だったよ。世界中を巡ってスターの原石を見つけても、誰も僕の期待に応えてくれなかった…。逢坂聡も、Re:valeの千も、そしてハクヤ、君も。僕が差し伸べた手を取らなかった」
「……」
皆が一瞬オレを見る
九「チャンスを無駄にして、二流のまま、終わっていった…」
壮「なっ…」
九「だけどね。やっと僕は見つけたんだ。僕の夢を叶えてくれる子供たちを。ゼロを超える人材を。天、理。この子たちが、最後に残された、僕の希望だよ」
楽「…天が、ゼロを超える?ゼロを超えるために、この九条に育てられたのか?」
天「そうだよ。13歳で養子になった時から、ずっと」
龍「そんな…どうして今まで言わなかったんだ?」
天「…帰りましょう。九条さん、理」
理「はい、お兄ちゃん。ごめんなさい、九条さん。勝手に家を出て…」
九「あはは。いいよ。理はおてんばだね」
環「待ってくれ…。そいつと行くのか…?嘘だろ、理…」
その時だ
テレビ局から出てきたのは
陸「九条!」
天「…陸」
陸…どうしてここに…
陸「久しぶりだな、九条。オレのことなんか、覚えてないだろ」
九「そうだね。君は誰だったかな」
陸「お前が潰した店の息子で、お前が連れ去った七瀬天の、双子の弟だよ…!」
九「あぁ…思い出した。天の手を握って、泣いてることしかできなかった子だ」
陸「っ…、今は違う!天にぃ!そいつと行くな!」
天「……」
天は悲しそうな、困ったような、そんな顔をしていた
陸「あの頃は言えなかったけど、今ははっきり言える!行くな!そいつといちゃだめだ!そいつは千さんを手に入れるために、千さんの相方に怪我をさせたかもしれないんだよ…!」
「……」
証拠は何一つないけど、オレもそうじゃないかと思ってしまう
天「…ただの噂だ」
陸「天にぃ!」
九「ひどいことを言わないでくれ。僕は千に、Re:valeに期待していたんだ。悪巧みなんかしないよ。ただ、残念に思うだけだ。僕の言うことをきいていたら、完全なRe:valeになれたのに」
…なんだよそれ
今のRe:valeが完全じゃないみたいに言って…!
千「…完全?あなたの都合のいいRe:valeでしょう」
「千…!それに…百…」
突然声がしたかと思えば、そこには千と、千の隣には百もいた
九「久しぶりだね、千。君の友達の怪我は治ったかい?」
千「おかげさまで、あの日から一度も会えないままだよ」
九「そうか。気の毒に」
千「…完全なRe:valeはここにある。僕と、モモが、築いてきたRe:valeだ。あんたの理想を押し付けるな」
百「ユキ…」
九「君はともかく、隣にいる子は二流だよ。二流が傍にいるとね。スターの輝きを濁らせてしまうんだ。惜しいね。千はもっと輝けたのに」
百「…っ、オレは…」
……ふざけんなよ。
今の言葉で、オレの中の何かが、切れた
「……ふざけんな。」
陸「…ハクヤ、さん…?」
「いま、なんつった…?百が二流…?ふざけんじゃねぇ!あんた、百のこと何にも知らないだろ!知らないくせに二流だなんだって決めつけんな!あんたの物差しが世の中の基準だと思ってんだったら大間違いなんだよ!」
百「…っ、ハク…っ」
その後、流れを変えたのは、一織だった
一織は九条に、あなたの出る幕はない。そう言って九条をおじさん呼ばわり
そして、ゼロを超えるのは、IDOLiSH7だと、そう宣戦布告したのだ
環が必死に理ちゃんを説得したが、残念なことに、理ちゃんと天は九条とともに帰ってしまった
(…くそっ…腹が立って仕方ない…!百を傷付けるようなこと言いやがって…)
千(僕も、ハクヤと同じく腹が立って仕方ないよ)
百(…ハク、ユキ…)
(百、あんなやつの言うことなんか、聞かなくていいからね)
百(…あはは、分かってる分かってる。ありがと)