百の声と期限切れ
IDOLiSH7はまだ元気のない子が数人
メッゾの二人は、W主演のドラマが決まり、『恋のかけら』という、メッゾのためにオレが作詞した曲が主題歌になった
そして心境の変化があったのか、大和が『Mission』の出演を快諾した
そんな中、Re:valeが企画したIDOLiSH7とTRIGGERの特別ユニットの合同練習が行われた
紡ちゃんや万理さんの話によれば、TRIGGERと色々話したことで、刺激され、元気をもらえたらしく、前みたいに落ち込む顔を見せることが少なくなった
「…やっぱり、TRIGGERはすごいな。オレじゃ出来ないことだ」
彼らには、きっとTRIGGERの言葉が必要だったんだ
「…三月も、下岡さんにアドバイスもらって、元気になってたし、ほんと良かった」
今日は音楽番組の歌の収録中
前半はRe:valeとTRIGGER
後半にオレとIDOLiSH7の予定だ
「…百、大丈夫かな」
陸「一織、ごめんな。色々、心配させちゃって…」
あ、陸と一織だ
一「別に。いつものことですから」
陸「オレの気遣いが足りなかったよ。一織はしっかりしてるけど、年下で、泣き虫なのに…」
な、泣き虫…!
一「泣き虫は余計です!泣いたのは一回だけですから」
陸「天にぃにも感謝しなきゃな。オレのこと認めないって言ってたけど、アドバイスしてくれた」
一「そうですね」
「二人とも、お疲れ」
陸「ハクヤさん!お疲れ様です!」
一「お疲れ様です」
「合同練習、いい感じだったみたいで、良かったね」
はい!と陸が笑顔で返してくれた
あぁ、陸の笑顔…やっぱり癒される
ほんとに良かった、IDOLiSH7が元気を取り戻してくれて
あとは……
天「待ってください!百さん!」
「……っ!百…!?」
突然、百が走ってきて、百を追いかける天がいた
陸「あれ…天にぃと百さん?」
一「音楽番組の歌の収録、前半はTRIGGERとRe:valeでしたね。まさか、また声が…」
「……百…っ」
陸「…行ってみよう」
オレたちは急いで、二人が入っていったRe:valeの楽屋へ
陸「天にぃ!百さん!」
天「陸…和泉一織…ハクヤさん…」
百「…また。また、歌えなかった…」
「………」
百「あ…あはは、夢かな?すごい嫌な夢だなー!ハク、オレのほっぺたつねってみて」
「百……」
百「分かった。OK。自分でやる。あいたたた…っ!全力で痛かった。全力で現実。どうしよう…」
陸「お医者さんはなんて…」
百「…どこも悪くないって。精神的なものじゃないかって。ふふ、オレのハートってやらかし系」
一「心当たりはないんですか?」
百「ないよ!モモは元気だよ!」
…嘘だよね、百
ほんとは、不安で不安でたまらないことがあるよね
百「だってさ、Re:valeで成功して、あんないい相方がいて、5周年だよ?こけら落としもオオトリなんだよ?オレが幸せじゃなかったら、誰が幸せだっつのってくらい、超ウルトラハッピーキングダムだよ」
天「…じゃあどうして。千さんに、来るなって言ったんです」
百「それは…」
陸「千さんと揉めたの?」
天「付き添おうとした千さんに、百さんが怒鳴って飛び出したんだ。だから、ボクが追いかけて…」
陸「怒鳴るなんて…。あんなに仲良しなのに…」
百「…でしょ。そうでしょ?ユキとはラブラブだから、みんなも心配しないで。ユキには謝っておくから。ユキは超ジェントルメンだから、謝ったら、許してくれるから…。ちょっと、一人にしてください…」
百が、そんなことを言うなんて…
それほど、百の心が不安定なんだ…
陸「嫌です」
一「ちょっと、七瀬さん…」
そんな時、陸はきっぱりそう言った
百「陸、空気読もうー…」
陸「話してください!オレもこの間まで、一人で悩んで、ぐだぐだ色々考えてました。でも、勇気を振り絞って話したら、なんでもないことみたいに、悩みがほどけていったんです。だから、百さんも一人で悩まないで下さい」
「百」
オレは、百の手を握った
百「…!ハク…」
「大丈夫。落ち着いて。皆にも、話そう?オレに話してくれたこと。それと…もう、無理に笑わないで」
百「あ……、あはは…。だって…。だって、笑ってないとさ。笑ってないと、不安で押し潰されそうになる。オレの幸せは、借り物なんだもん…」
陸「…借り物?」
百「オレは…。オレは、本物のRe:valeじゃないんだ」
(…百の手、震えてる)
陸(…ハクヤさんが手を握ったら、モモさん少し落ち着いてきてる。やっぱり二人は…)