真実と借り
オレは、八乙女プロダクションに来ていた
そして受付嬢に話しかける
「こんにちは。お久しぶりです」
『あ…は、ハクヤさん…!!お久しぶりです…!』
「社長に用があるんだけど、取り次いでもらえますか?」
『え、えっと、アポは…』
オレはニコッと笑う
「取ってるわけないでしょ?オレがアポを取って、ここへ来たことある?」
『い、いえ…!!』
「そういうわけだから、取り次いでもらえる?」
『分かりました…!』
別に脅してないからね?
オレ、終始笑顔だし
『社長、今、受付にハクヤ様がお見えになっているのですが…はい、かしこまりました』
「どうだった?」
『はい…!通せとのことですので、お通りいただいてけっこうです…!』
「そ。ありがと♪」
オレは社長がいる階へと向かった
コンコン
「ハクヤだけどー」
八乙女「…入れ」
「どーも、お久しぶり」
オレは笑顔で言った
八乙女「…何の用だ」
「え、いきなり本題入っちゃうの?」
八乙女「オレは忙しい。世間話をしに来たのなら帰れ」
「はいはい。じゃ、本題だけど。あなたはオレに大きな借りがあるよね?オレの曲を盗もうとしたことと、ケガをさせたこと。あぁ、それからIDOLiSH7の曲を盗んだこと」
八乙女「オレが命令したことではない」
「だけど、やったのは八乙女プロダクションの音楽プロデューサーだ。部下の責任は上の責任。常識だよね」
八乙女「………」
「オレは約一週間も仕事を休むことになった。その損害といったら…。社長なら分かるでしょ?」
八乙女「…何がお望みだ」
ふふ
さすが、わかってるなー
「次のTRIGGERの新曲。オレに作詞させて」
八乙女「なんだと?」
「あれ。別に悪い話じゃないと思うけど。自慢じゃないけど、オレが作詞した曲は必ず売れる。それは事実だ。その証拠に、NATSU☆しようぜも評判いいでしょ。あれ、オレがもとは作詞してたからね」
八乙女「………」
「TRIGGERが売れるなら何も文句はないよね。…宗助さん」
オレは社長の耳元でささやく
八乙女「…名前で呼ぶな」
「えー?前に名前で呼んだ時、嬉しそうにしてたじゃん」
八乙女「していない!」
「まぁいいけど。で、受けるの?受けないの?」
八乙女「…曲ができたら送る」
「ふふ。どうも。それじゃ、忙しい社長さんに免じて、今日は帰るとしますか」
オレが帰ろうとした時
「……もう、そういうことしないんじゃなかった?」
社長が後ろから抱き締めてきた
八乙女「…ケガの具合はどうなんだ」
いやいや、オレの話聞いてた?
それともわざと?
「…別に。2日意識不明だったらしいけど、特に異常はないって。明日から仕事復帰するよ」
八乙女「…そうか」
え、なに
八乙女「…ハクヤ。どうしてTRIGGERの曲の作詞をすると言った?」
「…夢を叶えてあげるのも、先輩の役目だからだよ」
八乙女「…夢だと?」
「そ。ねぇ宗助さん。そろそろ離してくれない?誰かに見られたら大変だよ?」
八乙女「…ハクヤ」
服の中に手を入れて、乳首をクリクリされる
「…あっ、ちょ、ちょっと…胸触らないで…。」
八乙女「…色っぽいお前が悪い」
「はぁ…?なんだそれ」
オレが悪いってか
八乙女「…お前がここに来る時は決まって借りを返せという時だ」
「そうかもね。なに?普通に会いに来てほしいの?それならアポ受け入れてよねー」
八乙女「うるさい」
「あ、言い忘れてたわ。IDOLiSH7のゴシップ記事とか週刊誌の記事。あれ社長の仕業でしょ。うちの社長に何の恨みがあるのか知らないけど、ああいうことするの止めてくれない?気分悪いから」
八乙女「お前がうちに移籍するなら止めてやってもいい」
「まだそんなこと言ってんの?それは五年前からお断りしてるでしょ?」
八乙女「…ふん」
子供か!
「そういうわけだから、もう帰るね。普通に会いに来てほしいなら、これ以上オレに借りを作らないこと。じゃ」
(…まったくあの人は。行くたびに身体触ってくるのどうにかなんないの?)