真実と借り
陸「盗まれたんだ」
楽「なに?」
陸「あんたのところの音楽プロデューサーに、あの曲のデモが盗まれたんだ!あの曲は元々、オレたちのデビュー曲だった。ハクヤさんがオレたちのために作詞してくれて。沖縄でPVまで撮影してたんだ!」
紡「陸さん…!」
楽「…本当なのか」
陸「こんな嘘、ついたりしない」
楽「…おまえたちから盗んだ曲を、俺たちは歌ってたのか」
楽…辛いだろうな…
楽「…盗んだ曲を、歌ってたなんて…」
陸「それだけじゃない。音楽プロデューサーがハクヤさんの曲を盗もうとした挙げ句、ハクヤさんに大怪我させたんだ。2日も意識不明で、大変だったんだ…!」
「陸…!それは言わなくてもいいよ…!」
楽「…なん、だって……?じゃあ、ハクヤさんが休んでたのは、怪我してたから…なのか……。しかも、次はハクヤさんから盗んだ曲を…危うく歌うところだったのか…」
「楽、おまえは悪くない。何の責任もない。気にするな」
楽「ハクヤさんは、優しいですね…」
「…楽」
楽「突然押し掛けて悪かった。…話してくれて、ありがとな。おやすみ」
「楽…!」
楽「……ハクヤさん。俺たちは、あなたの作詞した曲を歌いたいと、そう三人で言っていました。もちろん、親父にも、ハクヤさんにオファーしてくれと何度も頼んだ。でも断られた。それでもいつかはって…。なのに、こんな形でハクヤさんの作詞した曲を歌うことになるなんて…悔しい…!」
「……」
そう、だったのか…
楽「…俺たちの、夢の一つだった。すいません、突然こんな話…」
「いいや。嬉しかったよ、そう言ってくれて」
楽「…それじゃ俺、帰ります。おやすみなさい」
「…おやすみ、楽」
…久しぶりに、あの人のところへ行くか
そう考えていた時に、突然通行人の人が陸に言った
九条天が陸の兄貴なんだろうと
二人の親が天を売って成功したから、今度は陸を芸能界に売ったとか
どうやらまた、週刊誌にあることないこと書いてあるようだ
だけどそれは、陸だけじゃなかった
壮五の家のことや、大和が大物俳優の隠し子だとか
ナギがどこかの王子様だとか環が妹を探してることが売名のための嘘だとか
「……これは、さすがに悪質だ」
やりそうな人なんて、1人しかいない
万「ハクヤくん!?どこ行くの!?」
「…どこかのサイテーなクソ社長のところに」
万「…え?」
「心配はいらないから。ちょっと話してくるだけ」
(何の恨みがあるのか知らないけど、IDOLiSH7まで巻き込むなんて許せない…)