第二話 ビルからの飛び降り
「ちょっと待ってください!!」
「え?」
エルディは今にも飛び降りようと足を踏み出そうとして呼び止められ、たたらを踏んだ。
「なんでそこであなたが死のうとするんですか!言ってることとやってることめちゃくちゃじゃないですか?!」
エルディはきょとんとする。間違ったことを言った覚えはなかった。なぜ引き止められるのかわからない。これに死女神も加わる。
「お前は自殺の愚かさを思い知ったのではなかったのか?なぜそこでお前が死ぬことになるんだ!言っておくが、お前もこんなところでは死ねないぞ?!」
死女神の説得にエルディはがっかりした。自分だけは思い切って殺してくれるかもしれないと考えていたのに、彼も殺さないと死女神は言う。こんな低いビルでは死ねないのか。エルディはしらけてしまった。
「ええ~?僕も死ねないんですか、死女神さん。僕のために待っていてくれたんじゃないんですか?」
「貴様は自殺未遂の予定にも組み込まれていない!私も貴様が来ることは知らなかった!」
「ひどっ!じゃあ今から予定に組み込んでください!僕は今から無事に死にますって!」
「却下だ!」
エルディは死女神と会話できたことを喜んでいた。構ってもらえるとなんだか嬉しい。少女と死女神がいちゃいちゃ喧嘩するのは気分がよろしくなかったからだ。死女神の真紅の瞳を独占するのは自分だけでいい。他の人間が死女神の心を奪おうなど許せない。
だが、少女は別の意味で嫉妬心を抱いていた。
(カフィンとイチャイチャしないでよ……。何よ、カフィンなんかより私の方が可愛いでしょ?!)
「二人ともやめて!カフィンが言うにはどうもここじゃ死ねないみたいだわ。じゃあ、私死ぬのやめる。あなたも死のうとしないでください。ところであなた、お名前は?」
「え、エルディ、だけど……」
「初めまして、エルディさん。私はデライラ。私に生きろと言った責任、取ってくださいね。私、あなたが死ぬまで生きるから」
「せ、責任……?責任って?」
デライラはエルディの胸に抱きついて、瞳を伏せた。
「私と付き合ってください。私の彼氏になって。アドレス教えるから」
「ええーーー?!」
エルディは急に積極的になったデライラの行動に驚いた。初対面なのに、付き合えとはなんとも強引だ。
「ちなみに拒否権はないから。私、カフィンとは友達だし、あなたの事をカフィンから教えてもらって、家にもついていくからね。私から逃げられると思わないでね」
「は、はあーーー?!!」
エルディは驚愕した。これは逃げられる気がしない。エルディは天を仰いだ。
(め、めんどくさい人につかまってしまった……。放っておけばよかった……)
デライラはエルディを抱きしめる腕に力をこめ、彼の匂いを胸いっぱい吸い込んだ。
(新しい依存先 見つけた……。絶対放さない。私の王子様……)
斯くして、エルディは齢17歳の可愛い彼女が出来た。彼女はこの後、エルディと様々な形で大きく関わることになる。手始めにエルディに襲い掛かったのは、ひっきりなしにスマートフォンを震わせるメールの嵐と電話の着信履歴だった。
「え?」
エルディは今にも飛び降りようと足を踏み出そうとして呼び止められ、たたらを踏んだ。
「なんでそこであなたが死のうとするんですか!言ってることとやってることめちゃくちゃじゃないですか?!」
エルディはきょとんとする。間違ったことを言った覚えはなかった。なぜ引き止められるのかわからない。これに死女神も加わる。
「お前は自殺の愚かさを思い知ったのではなかったのか?なぜそこでお前が死ぬことになるんだ!言っておくが、お前もこんなところでは死ねないぞ?!」
死女神の説得にエルディはがっかりした。自分だけは思い切って殺してくれるかもしれないと考えていたのに、彼も殺さないと死女神は言う。こんな低いビルでは死ねないのか。エルディはしらけてしまった。
「ええ~?僕も死ねないんですか、死女神さん。僕のために待っていてくれたんじゃないんですか?」
「貴様は自殺未遂の予定にも組み込まれていない!私も貴様が来ることは知らなかった!」
「ひどっ!じゃあ今から予定に組み込んでください!僕は今から無事に死にますって!」
「却下だ!」
エルディは死女神と会話できたことを喜んでいた。構ってもらえるとなんだか嬉しい。少女と死女神がいちゃいちゃ喧嘩するのは気分がよろしくなかったからだ。死女神の真紅の瞳を独占するのは自分だけでいい。他の人間が死女神の心を奪おうなど許せない。
だが、少女は別の意味で嫉妬心を抱いていた。
(カフィンとイチャイチャしないでよ……。何よ、カフィンなんかより私の方が可愛いでしょ?!)
「二人ともやめて!カフィンが言うにはどうもここじゃ死ねないみたいだわ。じゃあ、私死ぬのやめる。あなたも死のうとしないでください。ところであなた、お名前は?」
「え、エルディ、だけど……」
「初めまして、エルディさん。私はデライラ。私に生きろと言った責任、取ってくださいね。私、あなたが死ぬまで生きるから」
「せ、責任……?責任って?」
デライラはエルディの胸に抱きついて、瞳を伏せた。
「私と付き合ってください。私の彼氏になって。アドレス教えるから」
「ええーーー?!」
エルディは急に積極的になったデライラの行動に驚いた。初対面なのに、付き合えとはなんとも強引だ。
「ちなみに拒否権はないから。私、カフィンとは友達だし、あなたの事をカフィンから教えてもらって、家にもついていくからね。私から逃げられると思わないでね」
「は、はあーーー?!!」
エルディは驚愕した。これは逃げられる気がしない。エルディは天を仰いだ。
(め、めんどくさい人につかまってしまった……。放っておけばよかった……)
デライラはエルディを抱きしめる腕に力をこめ、彼の匂いを胸いっぱい吸い込んだ。
(新しい
斯くして、エルディは齢17歳の可愛い彼女が出来た。彼女はこの後、エルディと様々な形で大きく関わることになる。手始めにエルディに襲い掛かったのは、ひっきりなしにスマートフォンを震わせるメールの嵐と電話の着信履歴だった。