第九話 睡眠薬
「とはいっても、もう痛いのや苦しいのはこりごりなんだ。苦しまずに今すぐ死ねる方法は無いかな?」
デライラはある提案をした。
「それならODはどう?エルディ精神科の薬飲んでる?」
「OD?」
OD 。大量服薬のことである。自殺志願者はしばしば医師の処方薬を溜め込み、ODをして死のうとすることがあり、問題となっている。デライラもしばしばODをして病院に運ばれ入院することがあったが、相変わらず懲りずにODを繰り返していた。
「薬か……。抗鬱剤と睡眠薬があったかな……」
「睡眠薬あるの?ラッキーじゃん!眠るように死ねるよ!一カ月ぐらい薬溜め込んで一気にODすれば確実に死ねるよ。苦しまずにね。私は警戒されてて、睡眠薬出されてないんだぁ……」
エルディは驚いた。医師が危険を感じてデライラに処方しない薬が、自分の手元にあるというならば、うまくすればデライラと確実に心中できるかもしれない。エルディは次の自殺方法をODに決めた。
「じゃあ、一か月後、また連絡するよ」
「絶対薬飲まないで溜めててね!あたしも今日から断薬して薬溜める!」
そしてデライラは一カ月間薬の服用とエルディへのストーキングを我慢し、一か月後、エルディから電話をかけて彼の部屋で落ち合った。
「薬溜めたよ。一日2錠飲むから、72錠ある。これだけあればいいかな?」
「二人で分けたら36錠ずつか…。心配だから鬱の薬とか安定剤とか全部集めて飲もうよ」
「そんなことして大丈夫なの?」
「死にたいんでしょ?死ぬほど飲まなくちゃ」
「そ、そうか……」
二人は薬を飲みやすくするためにヨーグルトを用意し、そこに薬を半分に分け合ってすべて投入し、一気に掻き込んで完食した。
「ついでにお酒も飲んじゃおう?お酒飲むと死ねるよ」
「じゃあお酒も用意しよう。どうせ死ぬから家にあるもの全部飲もう!」
二人で胃にビールやテキーラを飲めるだけ流し込んだ。酔うというレベルではないほど二人はたちまち泥酔する。
ベッドに二人で体を横たえ、手を繋いで時を待った。
「結構苦しいね。さすがに多いな……」
「でもこれで死ねるよ。おやすみ、エルディ。出会えてよかった」
潤んだ瞳でそう呟くデライラの横顔が、なぜだか愛おしくなり、エルディも初めてデライラに愛を囁いた。
「僕もデライラに出会えてよかった。色々教えてくれてありがとう。おやすみ。愛してるよ」
そして二人は猛烈なめまいとともに意識を失い、夢も見ないほどの深い深い眠りについた。
デライラはある提案をした。
「それならODはどう?エルディ精神科の薬飲んでる?」
「OD?」
「薬か……。抗鬱剤と睡眠薬があったかな……」
「睡眠薬あるの?ラッキーじゃん!眠るように死ねるよ!一カ月ぐらい薬溜め込んで一気にODすれば確実に死ねるよ。苦しまずにね。私は警戒されてて、睡眠薬出されてないんだぁ……」
エルディは驚いた。医師が危険を感じてデライラに処方しない薬が、自分の手元にあるというならば、うまくすればデライラと確実に心中できるかもしれない。エルディは次の自殺方法をODに決めた。
「じゃあ、一か月後、また連絡するよ」
「絶対薬飲まないで溜めててね!あたしも今日から断薬して薬溜める!」
そしてデライラは一カ月間薬の服用とエルディへのストーキングを我慢し、一か月後、エルディから電話をかけて彼の部屋で落ち合った。
「薬溜めたよ。一日2錠飲むから、72錠ある。これだけあればいいかな?」
「二人で分けたら36錠ずつか…。心配だから鬱の薬とか安定剤とか全部集めて飲もうよ」
「そんなことして大丈夫なの?」
「死にたいんでしょ?死ぬほど飲まなくちゃ」
「そ、そうか……」
二人は薬を飲みやすくするためにヨーグルトを用意し、そこに薬を半分に分け合ってすべて投入し、一気に掻き込んで完食した。
「ついでにお酒も飲んじゃおう?お酒飲むと死ねるよ」
「じゃあお酒も用意しよう。どうせ死ぬから家にあるもの全部飲もう!」
二人で胃にビールやテキーラを飲めるだけ流し込んだ。酔うというレベルではないほど二人はたちまち泥酔する。
ベッドに二人で体を横たえ、手を繋いで時を待った。
「結構苦しいね。さすがに多いな……」
「でもこれで死ねるよ。おやすみ、エルディ。出会えてよかった」
潤んだ瞳でそう呟くデライラの横顔が、なぜだか愛おしくなり、エルディも初めてデライラに愛を囁いた。
「僕もデライラに出会えてよかった。色々教えてくれてありがとう。おやすみ。愛してるよ」
そして二人は猛烈なめまいとともに意識を失い、夢も見ないほどの深い深い眠りについた。