第四章 奇跡使いと言霊使いの恋
「できるわけがないわ、貴方は、今まで私に手を出そうとしなかった。むしろそんな弟子たちから私を守ってくれた。貴方を破門なんてできないわ」
「今まではそうでも、いつまでもというわけにはいかないかもしれません。先ほどポールにそのことを指摘されました。貴女にこんな感情を抱くこと自体が禁忌ではないかと。そして彼と戦いました。結果、僕が負けました。こんな体たらくではあなたを守り続けられない。だから、僕はポールにあなたを守ることを託し、僕はこの事務所を去ろうと」
「そんなことは許しません!!」
テンパランスはかつてないほどの大声で恫喝した。
「テンパランス様?」
「私にはあなたが必要です。今までずっと貴方と一緒にこの事務所を守ってきた。貴方はいつだって私を守ってきた。今更貴方無しでどうやってこの事務所を回せると思っているのですか。師匠として言います。貴方をこの道場から破門はしません。破門してくれだなんて、許しません」
テンパランスの顔が次第に紅潮していく。アルシャインは戸惑った。てっきり嫌われてしまって、汚いものを見るような目で見られて、破門されるものとばかり考えていたアルシャインは、テンパランスの必死な命令に、どう反応していいかわからない。
「テンパランス様……、何故です?僕は、禁を犯しているんです。貴女に想いを寄せてしまった。今まで破門してきた弟子たちと同じなんです。どうして僕をお許しになるんですか?」
真っ赤に紅潮したテンパランスの顔。真っ赤に充血した目から、一滴の涙がこぼれた。
「……私も、貴方のことが好きです。この想いだけで禁を犯しているというなら、私にも罰が下ればいいのだわ」
アルシャインは飛び出すほど目を見開いた。テンパランスを泣かせてしまった。いや、それ以前に、今何と言ったのか。テンパランスもアルシャインのことが好きだと?
「いけません、テンパランス様。貴女も奇跡が使えなくなってしまいます。僕と貴女が奇跡を使えなくなったら、仕事が回せません」
「仕事の心配をしているのですか?フフッ、貴方は自分から破門してくれといったのに、まだこの事務所の心配をしているのですか?」
テンパランスは思わず破顔した。
「あっ……。つい……」
テンパランスは涙をぬぐうと、邪な考えに想いを巡らせた。
「やはり貴方はこの事務所に無くてはならない人だわ。ずっとそばにいて。ねえ、アルシャイン。貴方は私のことが好きだと言ったけれど、私は今までの人達とは受け止め方が違うわ。私も貴方のことが好きです。ならば、共に堕ちましょう。私達には、それしか道はない」
「共に、堕ちる……それしか道はない……」
アルシャインは静かに席を立って、テンパランスに歩み寄った。
テンパランスも立ち上がった。椅子を退け、アルシャインを見上げる。
「テンパランス様」
「アルシャイン」
アルシャインは、テンパランスを掻き抱くと、激しく唇を重ねた。お互いの口の中を交互に蹂躙すると、ヒュッと小さな音がし、二人の頬が切り裂かれた。
「あーあ。ついに罰が降りましたね」
アルシャインは頬の血を拭った。チリチリと傷が熱を持つ。
「構わないわ。むしろ好都合よ。罰が下ったのなら、もう怖いものなんかないわ」
「墜ちるところまで堕ちますか?」
「やってみましょう。あなたと一緒なら、行ける」
アルシャインはテンパランスを横に抱き上げると、ベッドの上に横たえた。そして彼女の上に飛び乗ると、貪るように服を脱がせ、2人は、ひとつになることを選んだ。
「今まではそうでも、いつまでもというわけにはいかないかもしれません。先ほどポールにそのことを指摘されました。貴女にこんな感情を抱くこと自体が禁忌ではないかと。そして彼と戦いました。結果、僕が負けました。こんな体たらくではあなたを守り続けられない。だから、僕はポールにあなたを守ることを託し、僕はこの事務所を去ろうと」
「そんなことは許しません!!」
テンパランスはかつてないほどの大声で恫喝した。
「テンパランス様?」
「私にはあなたが必要です。今までずっと貴方と一緒にこの事務所を守ってきた。貴方はいつだって私を守ってきた。今更貴方無しでどうやってこの事務所を回せると思っているのですか。師匠として言います。貴方をこの道場から破門はしません。破門してくれだなんて、許しません」
テンパランスの顔が次第に紅潮していく。アルシャインは戸惑った。てっきり嫌われてしまって、汚いものを見るような目で見られて、破門されるものとばかり考えていたアルシャインは、テンパランスの必死な命令に、どう反応していいかわからない。
「テンパランス様……、何故です?僕は、禁を犯しているんです。貴女に想いを寄せてしまった。今まで破門してきた弟子たちと同じなんです。どうして僕をお許しになるんですか?」
真っ赤に紅潮したテンパランスの顔。真っ赤に充血した目から、一滴の涙がこぼれた。
「……私も、貴方のことが好きです。この想いだけで禁を犯しているというなら、私にも罰が下ればいいのだわ」
アルシャインは飛び出すほど目を見開いた。テンパランスを泣かせてしまった。いや、それ以前に、今何と言ったのか。テンパランスもアルシャインのことが好きだと?
「いけません、テンパランス様。貴女も奇跡が使えなくなってしまいます。僕と貴女が奇跡を使えなくなったら、仕事が回せません」
「仕事の心配をしているのですか?フフッ、貴方は自分から破門してくれといったのに、まだこの事務所の心配をしているのですか?」
テンパランスは思わず破顔した。
「あっ……。つい……」
テンパランスは涙をぬぐうと、邪な考えに想いを巡らせた。
「やはり貴方はこの事務所に無くてはならない人だわ。ずっとそばにいて。ねえ、アルシャイン。貴方は私のことが好きだと言ったけれど、私は今までの人達とは受け止め方が違うわ。私も貴方のことが好きです。ならば、共に堕ちましょう。私達には、それしか道はない」
「共に、堕ちる……それしか道はない……」
アルシャインは静かに席を立って、テンパランスに歩み寄った。
テンパランスも立ち上がった。椅子を退け、アルシャインを見上げる。
「テンパランス様」
「アルシャイン」
アルシャインは、テンパランスを掻き抱くと、激しく唇を重ねた。お互いの口の中を交互に蹂躙すると、ヒュッと小さな音がし、二人の頬が切り裂かれた。
「あーあ。ついに罰が降りましたね」
アルシャインは頬の血を拭った。チリチリと傷が熱を持つ。
「構わないわ。むしろ好都合よ。罰が下ったのなら、もう怖いものなんかないわ」
「墜ちるところまで堕ちますか?」
「やってみましょう。あなたと一緒なら、行ける」
アルシャインはテンパランスを横に抱き上げると、ベッドの上に横たえた。そして彼女の上に飛び乗ると、貪るように服を脱がせ、2人は、ひとつになることを選んだ。