第三章 ケフィ対奇跡使いと言霊使い
「ニコ、落ち着いた?」
テンパランスの言葉に、「落ち着いた」と返すニコ。それを聞いて、命の危険を感じながらニコを宥めようとしていたイオナは、緊張の糸が切れたのか、気を失って倒れた。
「イオナ?!」
ニコがイオナを抱き留めると、駆け寄ったテンパランスはイオナをその場に横たわらせた。
テンパランスにはイオナの恐怖の大きさがよくわかる。強大すぎるニコの力を前にして、イオナはよく戦ってくれた。
「イオナ、ありがとう。みんな、大丈夫よ。力が抜けただけよ。ニコ、イオナは怖かったって」
ニコは反省したようだ。
「ごめんなさい、イオナ」
「ともかく、ニコが落ち着いてくれてよかった。ケフィ、ありがとう。そして、ニコが迷惑をかけてごめんよ」
アルシャインがケフィに感謝と謝罪をすると、ケフィは複雑な気持ちになった。
「僕がご迷惑をおかけしなかったらニコはこんなに暴れたりしなかったんでしょうね。こちらこそ、ご迷惑をおかけしてすみません」
「ケフィが謝ることではないわ。今後はニコが暴れたりしないよう、ニコにはきつく指導するわね」
テンパランスもケフィに詫びた。と、大事なことを忘れていることに気付いた。
「ニコ、あの古霊が入っていた本はどこ?」
「本?」
ケフィとアルシャインは本の存在を知らない。ニコに視線を集めると、ニコはきょろきょろと辺りを見回し、何かを見つけると、それを拾ってテンパランスのもとへ持ってきた。
封を切られた、一冊の日記帳。
「これはもう使えないわね。新しく日記帳を買ってきて、それにニコの古霊を封じましょう。ケフィ、私は力が使えないから、あなたにやってもらうわ」
「この本には何が入っていたんですか?」
ケフィが問うと、テンパランスは、
「この中には破壊の古霊エクシティウムが封じられていたの。ニコにはその古霊が取り憑いているのね」
と説明した。
「ニコ、この本、どうしてこんなことしたの?」
テンパランスがなるべくニコを刺激しないように問う。ニコはばつが悪そうに、もじもじと答えた。
「扉を開けて、扉を開けて、本を開けなさいって、本のおじさんが言ってたの。ダメなんだよって言ったけど、命令されたの。ごめんなさい」
「そうね、この中にはとても悪い物が入っていたの。私も内緒にしていて悪かったわ。でも、もうこの本のおじさんとはさようならね。絶対にその言霊を唱えてはいけないわ」
「はい」
「封じるって……そんな強大な古霊を僕が封じることができるんですか?」
テンパランスは本を開いて見せた。
「この本にその方法が書いてあるわ。これを解読して、新しい日記帳に書き写し、言霊を使えば封じることが可能なはずよ」
テンパランスの言葉に、「落ち着いた」と返すニコ。それを聞いて、命の危険を感じながらニコを宥めようとしていたイオナは、緊張の糸が切れたのか、気を失って倒れた。
「イオナ?!」
ニコがイオナを抱き留めると、駆け寄ったテンパランスはイオナをその場に横たわらせた。
テンパランスにはイオナの恐怖の大きさがよくわかる。強大すぎるニコの力を前にして、イオナはよく戦ってくれた。
「イオナ、ありがとう。みんな、大丈夫よ。力が抜けただけよ。ニコ、イオナは怖かったって」
ニコは反省したようだ。
「ごめんなさい、イオナ」
「ともかく、ニコが落ち着いてくれてよかった。ケフィ、ありがとう。そして、ニコが迷惑をかけてごめんよ」
アルシャインがケフィに感謝と謝罪をすると、ケフィは複雑な気持ちになった。
「僕がご迷惑をおかけしなかったらニコはこんなに暴れたりしなかったんでしょうね。こちらこそ、ご迷惑をおかけしてすみません」
「ケフィが謝ることではないわ。今後はニコが暴れたりしないよう、ニコにはきつく指導するわね」
テンパランスもケフィに詫びた。と、大事なことを忘れていることに気付いた。
「ニコ、あの古霊が入っていた本はどこ?」
「本?」
ケフィとアルシャインは本の存在を知らない。ニコに視線を集めると、ニコはきょろきょろと辺りを見回し、何かを見つけると、それを拾ってテンパランスのもとへ持ってきた。
封を切られた、一冊の日記帳。
「これはもう使えないわね。新しく日記帳を買ってきて、それにニコの古霊を封じましょう。ケフィ、私は力が使えないから、あなたにやってもらうわ」
「この本には何が入っていたんですか?」
ケフィが問うと、テンパランスは、
「この中には破壊の古霊エクシティウムが封じられていたの。ニコにはその古霊が取り憑いているのね」
と説明した。
「ニコ、この本、どうしてこんなことしたの?」
テンパランスがなるべくニコを刺激しないように問う。ニコはばつが悪そうに、もじもじと答えた。
「扉を開けて、扉を開けて、本を開けなさいって、本のおじさんが言ってたの。ダメなんだよって言ったけど、命令されたの。ごめんなさい」
「そうね、この中にはとても悪い物が入っていたの。私も内緒にしていて悪かったわ。でも、もうこの本のおじさんとはさようならね。絶対にその言霊を唱えてはいけないわ」
「はい」
「封じるって……そんな強大な古霊を僕が封じることができるんですか?」
テンパランスは本を開いて見せた。
「この本にその方法が書いてあるわ。これを解読して、新しい日記帳に書き写し、言霊を使えば封じることが可能なはずよ」