第三章 ケフィ対奇跡使いと言霊使い

「本のおじさん、どうすれば開く?」
 禁域の書庫から本を持ち出したニコは、屋敷の裏で本を開こうとあれこれ試した。
 ナイフで封を切ろうとしたが傷一つつかず、燃やそうとすると本そのものが『燃やすな』と言う。
「簡単なことよ。金属の神で切ればいい」
「神で切れるの?」
「おそらくな」
 ニコは気を研ぎ澄ませて、小さなナイフを作り出した。それで慎重に封を切る。
 すると、赤黒い光が本から飛び出し、力の奔流となってニコの中に流れ込んだ。
「うわあばばばばば!!!!!」
 猛烈な力が無理矢理その無垢な体の中を蹂躙する。弾け飛んでしまいそうなほど大きな何かが、ニコの体に流れ込んでくる!
「少年よ、よくやった。我は破壊の古霊エクシティウム。そなたに世界を破壊する力を授けよう」
「意味わかんない」
「嫌いなものを、壊す力だ」
 ニコの脳裏にケフィの顔が真っ先に浮かんだ。
「悪いことじゃないの?」
「悪いことなもんか」
「×の神様が来るよ」
「古霊の力には及ばんな」
「じゃあ……じゃあ、僕……!」
 ニコの意識の中で、ニコはエクシティウムの手を取った。
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