第二章 奇跡使い対言霊使い
一方そのころ、イムンドゥスと能力者たち、そして、ベルの呼び出した謎の怪物は……。
「あの怪物やばいわ!無茶苦茶に暴れてくる!」
「あの白い怪物に触れるな!倍返しされるぞ!」
突如現れた巨大な言霊の怪物を敵とみなして攻撃した者たちが、攻撃を倍にして返され、右往左往していた。
ニコもまた白い怪物に攻撃して、倍の熱量でもってやり返されて疲弊していた。
「怖い……」
ニコは茫然と混沌とする戦場を見守り、自分が何をすべきか当惑していた。
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね……ケフィさんのいないこの世なんか、無くなってしまえばいい。そして私も……」
ベルはケフィが生き返ったことも知らず、言霊の怪物に力を送り続けた。呪詛だ。憎しみと悔恨に心を奪われたベルは、今までため込んできた言霊の力を吐き出し続けた。あらん限りの呪詛の言葉を紡ぎ、怪物に力を与え続ける。
「全て壊して、全て殺して。歯向かうもの皆なぎ倒せ。あの怪物は絶対に許さない。塵に帰れ!」
実際のところイムンドゥスに確実なダメージを与えられるのは言霊の怪物のみだった。イムンドゥスが右前足で言霊のリボンを引きちぎると、怪物はイムンドゥスの右前足を吹き飛ばした。イムンドゥスがその胴体に食らいつくと、怪物はイムンドゥスの頭を食いちぎる。
見る見るうちにイムンドゥスは引きちぎられて、その体をなさない肉の塊になっていった。
「すごい……あの怪物、強い。今ならイムンドゥスを倒せるぞ!みんな、力を使え!」
希望を見出した奇跡使いが力を使い始めると、みなそれに倣ってイムンドゥスを攻撃し始めた。抵抗する術のなくなったイムンドゥスは、やがてズシンとその場に斃れた。
すると、イムンドゥスは最後の力で体中から穢れの蟲たちを放出した。ざわざわと夥しい無数の蟲がイムンドゥスから這い出して、能力者たちを襲う。
「ひぃっ!!いやああ!!」
「なんだこれは!くそっ!」
言霊の怪物に力を送り続けたベルにもその蟲は群がり、彼女の集中力が途切れた。
「ひぃっ!嫌!」
力の供給が絶えた怪物は、言霊のリボンがほつれてゆき、やがて霞となって消えていった。
ニコにも蟲たちが群がってゆく。ニコはその性質がただの闇のエネルギーが見せる幻影であることを見抜いた。
「うるさいな!光の神!全部焼いて!!」
ニコはフルパワーで光の神の力を引き出し、あたりを強烈な光で焼いた。蟲たちは影に逃げてゆき、次第に小さくなって消えていった。ニコの強力な光の力は、会場中の闇の力を浄化した。
後に残ったのは、生き延びた能力者たちと、逃げずに見守り続けた僅かな観客と、この試合を見守り続けた運営陣のみだった。
「し、試合終了ですー!!熱い戦いでしたね!結果はしばらくお待ちください!」
場内にアナウンスが流れると、人々はわあっと歓声を上げた。やっと終わったのだ。あの地獄のような戦争が。
「終わった……?本当に?」
「とどめを刺したのはだれだろう?」
「ともかく、控室に戻りましょうか」
能力者たちは、よろめきながら各々控え室へと帰っていった。
「あの怪物やばいわ!無茶苦茶に暴れてくる!」
「あの白い怪物に触れるな!倍返しされるぞ!」
突如現れた巨大な言霊の怪物を敵とみなして攻撃した者たちが、攻撃を倍にして返され、右往左往していた。
ニコもまた白い怪物に攻撃して、倍の熱量でもってやり返されて疲弊していた。
「怖い……」
ニコは茫然と混沌とする戦場を見守り、自分が何をすべきか当惑していた。
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね……ケフィさんのいないこの世なんか、無くなってしまえばいい。そして私も……」
ベルはケフィが生き返ったことも知らず、言霊の怪物に力を送り続けた。呪詛だ。憎しみと悔恨に心を奪われたベルは、今までため込んできた言霊の力を吐き出し続けた。あらん限りの呪詛の言葉を紡ぎ、怪物に力を与え続ける。
「全て壊して、全て殺して。歯向かうもの皆なぎ倒せ。あの怪物は絶対に許さない。塵に帰れ!」
実際のところイムンドゥスに確実なダメージを与えられるのは言霊の怪物のみだった。イムンドゥスが右前足で言霊のリボンを引きちぎると、怪物はイムンドゥスの右前足を吹き飛ばした。イムンドゥスがその胴体に食らいつくと、怪物はイムンドゥスの頭を食いちぎる。
見る見るうちにイムンドゥスは引きちぎられて、その体をなさない肉の塊になっていった。
「すごい……あの怪物、強い。今ならイムンドゥスを倒せるぞ!みんな、力を使え!」
希望を見出した奇跡使いが力を使い始めると、みなそれに倣ってイムンドゥスを攻撃し始めた。抵抗する術のなくなったイムンドゥスは、やがてズシンとその場に斃れた。
すると、イムンドゥスは最後の力で体中から穢れの蟲たちを放出した。ざわざわと夥しい無数の蟲がイムンドゥスから這い出して、能力者たちを襲う。
「ひぃっ!!いやああ!!」
「なんだこれは!くそっ!」
言霊の怪物に力を送り続けたベルにもその蟲は群がり、彼女の集中力が途切れた。
「ひぃっ!嫌!」
力の供給が絶えた怪物は、言霊のリボンがほつれてゆき、やがて霞となって消えていった。
ニコにも蟲たちが群がってゆく。ニコはその性質がただの闇のエネルギーが見せる幻影であることを見抜いた。
「うるさいな!光の神!全部焼いて!!」
ニコはフルパワーで光の神の力を引き出し、あたりを強烈な光で焼いた。蟲たちは影に逃げてゆき、次第に小さくなって消えていった。ニコの強力な光の力は、会場中の闇の力を浄化した。
後に残ったのは、生き延びた能力者たちと、逃げずに見守り続けた僅かな観客と、この試合を見守り続けた運営陣のみだった。
「し、試合終了ですー!!熱い戦いでしたね!結果はしばらくお待ちください!」
場内にアナウンスが流れると、人々はわあっと歓声を上げた。やっと終わったのだ。あの地獄のような戦争が。
「終わった……?本当に?」
「とどめを刺したのはだれだろう?」
「ともかく、控室に戻りましょうか」
能力者たちは、よろめきながら各々控え室へと帰っていった。