第二章 奇跡使い対言霊使い
この形勢に、しめたと顔をほころばせたのがゴライアスだ。敵も奇跡を使うなら、彼が奇跡の使い道をどうしようと、審判にバレる事はないだろう。彼はアディペムンドゥが火の神を呼ぶと、風の神を呼び、テンパランスたちに向けて炎を煽った。アディペムンドゥが能力者たちを踏みつぶそうと暴れまわると、テンパランスたちの足を掬うよう奇跡を使い、テンパランスたちは間一髪のところを生き延びた。
さすがにおかしいと感じ始めたテンパランスたちは、神の力がどの方向からきているのかに神経を研ぎ澄ませた。アディペムンドゥだけではないはずだ。誰か邪魔する者がいる。
しかしアディペムンドゥの攻撃も避けなければならない。テンパランスたちは苦戦を強いられた。
アディペムンドゥが風の神を呼び、能力者たちを切り刻もうとすると、何者かの呼んだ風の神の力で、その奇跡は竜巻となり、場内を暴れまわった。
「くっ、誰だこんな馬鹿な力の使い方をしたやつは!」
能力者たちが混乱に陥るのを安全圏で見守っていたゴライアスは愉快でたまらなかった。
「もっと苦しめ……。俺が味わった屈辱はこんなものじゃない……」
「火の神!」
ニコが巨大な火の玉をアディペムンドゥにぶつけようとすると、ゴライアスは水の神の力をそれにぶつけた。途端、大爆発が巻き起こる。
「まただ!あーもう!!誰だよー!本気で怒ったぞ!」
ニコは癇癪を起して周囲に火球を盲滅法 に飛ばした。すると、審判員がそれを制止し、注意勧告をした。それを理不尽に思ったニコは抗議した。
「僕じゃない!誰かが先に僕に攻撃してきたの!僕は悪くないもん!」
「しかし、能力者同士の攻撃は反則です。退場になりますよ!」
「じゃあ僕たちを攻撃してきた奴に言ってよ!僕悪くない!」
審判員ともみ合うニコ達を見て、周囲の能力者たちも異変に気づいたようだ。確かにおかしい。明らかに反則をしている者がいる。戦いながら、能力者たちは犯人探しをし始めた。
しかし調子づいたゴライアスは次第に大胆になってゆき、馬脚を現した。
アディペムンドゥが様子を窺がって何も行動を起こさなかったタイミングで、ゴライアスは堂々と金属の神で刃物を作り、テンパランスを狙ったのだ。
「危ないテンパランス様!大地の神!」
アルシャインがいち早く危険に気付き、土の壁を築き攻撃を防ぐ。神の力の流れを読んだニコが、犯人を特定した。
「テンパランス様!あいつだ!あいつが反則してるんだ!」
「みみみ水の神!喰らえ!」
ゴライアスが堂々と水の神で土の壁を押し流し、攻撃しようとした時、審判員が笛を鳴らし、ゴライアスに近づき、退場を命じた。
「お、おおお俺は何もしてない!」
無実を訴えたゴライアスだったが、複数の能力者たちが彼の不正を訴えたため、彼の訴えは退けられた。
また、ゴライアスとともに不正を働いたトビ―という男もまた退場を命じられた。
「やれやれ、これでようやく試合が始められるわね」
「あの男……本当に地に落ちましたね。この機会にテンパランス様に復讐など……」
「反則じゃなかったら僕あいつぶっ殺してるよ」
「こら、ニコ、そういう感情はよくないわ」
テンパランスたちの組は、ここで仕切り直しとなった。
さすがにおかしいと感じ始めたテンパランスたちは、神の力がどの方向からきているのかに神経を研ぎ澄ませた。アディペムンドゥだけではないはずだ。誰か邪魔する者がいる。
しかしアディペムンドゥの攻撃も避けなければならない。テンパランスたちは苦戦を強いられた。
アディペムンドゥが風の神を呼び、能力者たちを切り刻もうとすると、何者かの呼んだ風の神の力で、その奇跡は竜巻となり、場内を暴れまわった。
「くっ、誰だこんな馬鹿な力の使い方をしたやつは!」
能力者たちが混乱に陥るのを安全圏で見守っていたゴライアスは愉快でたまらなかった。
「もっと苦しめ……。俺が味わった屈辱はこんなものじゃない……」
「火の神!」
ニコが巨大な火の玉をアディペムンドゥにぶつけようとすると、ゴライアスは水の神の力をそれにぶつけた。途端、大爆発が巻き起こる。
「まただ!あーもう!!誰だよー!本気で怒ったぞ!」
ニコは癇癪を起して周囲に火球を
「僕じゃない!誰かが先に僕に攻撃してきたの!僕は悪くないもん!」
「しかし、能力者同士の攻撃は反則です。退場になりますよ!」
「じゃあ僕たちを攻撃してきた奴に言ってよ!僕悪くない!」
審判員ともみ合うニコ達を見て、周囲の能力者たちも異変に気づいたようだ。確かにおかしい。明らかに反則をしている者がいる。戦いながら、能力者たちは犯人探しをし始めた。
しかし調子づいたゴライアスは次第に大胆になってゆき、馬脚を現した。
アディペムンドゥが様子を窺がって何も行動を起こさなかったタイミングで、ゴライアスは堂々と金属の神で刃物を作り、テンパランスを狙ったのだ。
「危ないテンパランス様!大地の神!」
アルシャインがいち早く危険に気付き、土の壁を築き攻撃を防ぐ。神の力の流れを読んだニコが、犯人を特定した。
「テンパランス様!あいつだ!あいつが反則してるんだ!」
「みみみ水の神!喰らえ!」
ゴライアスが堂々と水の神で土の壁を押し流し、攻撃しようとした時、審判員が笛を鳴らし、ゴライアスに近づき、退場を命じた。
「お、おおお俺は何もしてない!」
無実を訴えたゴライアスだったが、複数の能力者たちが彼の不正を訴えたため、彼の訴えは退けられた。
また、ゴライアスとともに不正を働いたトビ―という男もまた退場を命じられた。
「やれやれ、これでようやく試合が始められるわね」
「あの男……本当に地に落ちましたね。この機会にテンパランス様に復讐など……」
「反則じゃなかったら僕あいつぶっ殺してるよ」
「こら、ニコ、そういう感情はよくないわ」
テンパランスたちの組は、ここで仕切り直しとなった。