第二章 奇跡使い対言霊使い
「第二次予選、第三組のチームは、競技場内にお進みください」
場内アナウンスが流れ、テンパランスたちのチームが競技場内へ案内された。と、そこへ。
「て……テンパランス様」
ゴライアスのチームと通路ではち合わせた。進行方向が同じということは、一緒の組らしい。
「貴方達……」
「これはこれはテンパランス様。貴女と戦えるとは光栄です」
なにも事情を知らないゴライアスの師匠が、テンパランスに挨拶してきた。
「私も光栄ですわ。お互い生き延びましょう」
テンパランスは事務的に返した。
「きょ……協力してくれ、トビー」
「本当にやるのか?反則だってバレたら……」
「ききき、奇跡の力だ。バレるもんか。あの女、ゆゆゆ許さない……復讐してやる……」
第二次予選の敵はまたアディペムンドゥだという。一度倒した敵だ。倒し方が判っているものには手こずらないだろう。
「ニコ!」
「はい!電気の神!」
ニコがありったけの力でアディペムンドゥに電気を叩きこむ!
しかしアディペムンドゥは自分の体を水で包み、電気は水の上を滑った。アディペムンドゥは、ケロッとしている。
「あれ?なぜだ?アディペムンドゥの体が水で覆われて、電気が効かないなんて…」
ポツリと溢したアルシャインの呟きに、ニコが意外な言葉を掛けた。
「あれは水の神だよ。あいつ、奇跡を使ったよ」
「み、水の神だって?なぜ?水は導体のはずでは?」
ますます訳が分からなくなったアルシャイン。
「純水……。純度の高い水は絶縁体になるわ。アディペムンドゥは、かなり高度な水の奇跡を使ったのよ。まずいわ。さすが、古霊の眷属……!」
「そんな……!今度は奇跡を使う魔物が相手だなんて!!」
ニコは前回効いたテンパランスとの合わせ技をやろうとテンパランスに持ちかけた。テンパランスも頷く。
「じゅうりょくのかみ!」
「金属の神!!」
会場の人々はみな地面に這いつくばり、夥しい鋭利な刃がアディペムンドゥに襲い掛かる!
しかし、地面に縛り付けられた人々はふっと体が軽くなったかと思うと、ふわりと舞い上がり、競技場のフェンスに叩き付けられた。動けない人々めがけて、テンパランスの生み出した刃が襲い掛かる!!
「きゃあ~~~!!」
テンパランスは目を瞑り、悲鳴を上げながら、刃が霧のように消えてゆくイメージをした。
「消えて!!」
すると、金属の奇跡は人々を刺し貫く寸前でかき消えた。
やがて、ずるずると、縛り付けられたフェンスから人々がずり落ちてくる。
「不味い……。迂闊な真似をすると跳ね返される……」
共闘していた言霊使いが破れかぶれで言霊を練り上げた。
「こうなったら正攻法よ!!死の古霊モーテムよ!!命の糸を断ち切り給え!!」
すると、アディペムンドゥは言霊を使った言霊使いに向き直り、「ギャオオオオオオ!!!」と一声咆哮した。
「ヒッ!」
言霊使いは短く悲鳴を上げたかと思うと、がくりとくずおれ、そのまま事切れた。
「ま、まずいぞ。これじゃあ打つ手無しだ!敵も奇跡を使うなんて!」
場内アナウンスが流れ、テンパランスたちのチームが競技場内へ案内された。と、そこへ。
「て……テンパランス様」
ゴライアスのチームと通路ではち合わせた。進行方向が同じということは、一緒の組らしい。
「貴方達……」
「これはこれはテンパランス様。貴女と戦えるとは光栄です」
なにも事情を知らないゴライアスの師匠が、テンパランスに挨拶してきた。
「私も光栄ですわ。お互い生き延びましょう」
テンパランスは事務的に返した。
「きょ……協力してくれ、トビー」
「本当にやるのか?反則だってバレたら……」
「ききき、奇跡の力だ。バレるもんか。あの女、ゆゆゆ許さない……復讐してやる……」
第二次予選の敵はまたアディペムンドゥだという。一度倒した敵だ。倒し方が判っているものには手こずらないだろう。
「ニコ!」
「はい!電気の神!」
ニコがありったけの力でアディペムンドゥに電気を叩きこむ!
しかしアディペムンドゥは自分の体を水で包み、電気は水の上を滑った。アディペムンドゥは、ケロッとしている。
「あれ?なぜだ?アディペムンドゥの体が水で覆われて、電気が効かないなんて…」
ポツリと溢したアルシャインの呟きに、ニコが意外な言葉を掛けた。
「あれは水の神だよ。あいつ、奇跡を使ったよ」
「み、水の神だって?なぜ?水は導体のはずでは?」
ますます訳が分からなくなったアルシャイン。
「純水……。純度の高い水は絶縁体になるわ。アディペムンドゥは、かなり高度な水の奇跡を使ったのよ。まずいわ。さすが、古霊の眷属……!」
「そんな……!今度は奇跡を使う魔物が相手だなんて!!」
ニコは前回効いたテンパランスとの合わせ技をやろうとテンパランスに持ちかけた。テンパランスも頷く。
「じゅうりょくのかみ!」
「金属の神!!」
会場の人々はみな地面に這いつくばり、夥しい鋭利な刃がアディペムンドゥに襲い掛かる!
しかし、地面に縛り付けられた人々はふっと体が軽くなったかと思うと、ふわりと舞い上がり、競技場のフェンスに叩き付けられた。動けない人々めがけて、テンパランスの生み出した刃が襲い掛かる!!
「きゃあ~~~!!」
テンパランスは目を瞑り、悲鳴を上げながら、刃が霧のように消えてゆくイメージをした。
「消えて!!」
すると、金属の奇跡は人々を刺し貫く寸前でかき消えた。
やがて、ずるずると、縛り付けられたフェンスから人々がずり落ちてくる。
「不味い……。迂闊な真似をすると跳ね返される……」
共闘していた言霊使いが破れかぶれで言霊を練り上げた。
「こうなったら正攻法よ!!死の古霊モーテムよ!!命の糸を断ち切り給え!!」
すると、アディペムンドゥは言霊を使った言霊使いに向き直り、「ギャオオオオオオ!!!」と一声咆哮した。
「ヒッ!」
言霊使いは短く悲鳴を上げたかと思うと、がくりとくずおれ、そのまま事切れた。
「ま、まずいぞ。これじゃあ打つ手無しだ!敵も奇跡を使うなんて!」