第二章 奇跡使い対言霊使い

 テンパランス達のグループも、その怪物に驚きが隠せなかった。
 すでに二組がこの怪物を始末したなどとは、にわかには信じられない。
「ニコ、やれそう?」
 テンパランスがニコに声をかけた。
「神様は倒せるって言ってる」
「そう、じゃあアルシャイン!援護をお願い!」
「解りました!」
 怯んでばかりもいられない。他の能力者たちは一斉に術を浴びせかけた。
「火の神!!」
「毒の神!!」
「フランマよ、燃やし尽くせ!!」
「ペトラムよ、石飛礫を!!」
 しかし他の能力者たちの術では大したダメージを与えられなかった。
「火、石、毒、氷はダメか……」
 その時、他の奇跡使いが雷の神を呼んだ。
 バリバリっと、会場の照明や電線から電撃が飛んでいき、アディペムンドゥは怯んだようだった。
「は!電撃は効くのね!!行くわよ、水の神!!」
 テンパランスは水の神を呼び、アディペムンドゥに浴びせかけた。
「ニコ、電気の神を呼んで!」
「はい!電気の神!」
 すると、競技場周囲に張り巡らされている電線や電気器具がアディペムンドゥめがけて放電し、ズドンという轟音と共に光が弾けた。
 こんな強烈な電撃を食らったらひとたまりもないだろう。しかしアディペムンドゥはまだ生きていた。
「しめた!まだ我々にも勝機はあるぞ!!」
 他の能力者たちが一斉に術を浴びせかけた。アディペムンドゥはしばらく食らったままだったが、一瞬こちらの手が止まった隙に、猛烈に怒り狂って大暴れしだした。
 何名かの能力者たちが跳ね飛ばされ、致命傷を負って戦闘不能となった。
「あれを止めなければ…ニコ!重力の神よ!!」
「じゅうりょくのかみ!!」
 ニコの強烈な奇跡は、会場中の重力を操作した。あまりの重力に、誰もが地面に縛り付けられた。
「くっ……!き、金属の神!!」
 地面に這いつくばったまま、テンパランスがアディペムンドゥに金属の飛礫を浴びせかけると、アディペムンドゥは細切れに切り刻まれた。
「ニコ、ニコ、もういいわ」
 ニコが術を解くと、アディペムンドゥは煙のように消えた。
 勝負は生き残った能力者チームだった。勿論テンパランス達がポイントとしてはリードしていた。
 第二試合、第三試合と試合が進み、上位入賞チームが絞られていった。
 こうして上位入賞チーム五組が、二次予選に進出した。
 二次予選は一週間後。今度は全国から上位チームが集まってくる。
 一同は冷や汗を流しながら気を引き締めるのであった。
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