【番外】奇跡使いと言霊使いの収穫祭
廊下の突き当りの右手のドアを開ければ、言霊使いの皆が待ちかねるダイニングキッチンだ。
「いらっしゃいませ皆さん!お待ちしてました!」
弟子の中で最も年長のエラが皆を出迎え、奥で飾り付けのため脚立に乗っていたベルとケフィが「こんにちはー!」と朗らかに声を張り上げてあいさつした。
「お、今ちょうどムギーを捌いてたんだ。グロいの嫌な奴はキッチン覗くなよ」
カウンターキッチンの奥から顔を上げたのが、噂の家事万能男子・ガイだ。頼りになるナイスガイ。ミルドレッドのスパダリ。一方ケフィも女だらけの言霊使いの中の数少ない男子だが、ガイほど男らしくもなければガイほど女子力もないので、全面的に彼には敵わず、情けない立ち位置にいる。そのうえグロ耐性もないため、ムギーという小型の両生類の内臓を捌いたり、ハーモサンドという四つ足の獣を解体したりという力仕事に参加できない。そのため女子たちには「男のくせに情けないわね」と言われて尻に敷かれているのである。ガイも尻に敷かれて家事を請け負っている立場だが、ケフィの立場はさしずめ潰れた座布団のような、何の役にも立たないポジションだ。潰れた座布団・ケフィは、仕方がないので部屋の飾りつけと掃除を担当することになり、脚立の上で頭をひねっている。
「何かできることはないかしら?飾りと食材は持ってきたけど?」
テンパランスが声をかけると、ガイは、
「あー、じゃあ、とりあえず持ってきた食材こっちで広げてみてくれ。そこから考える!」
と、額の汗をぬぐいながら答えた。
「ケフィ、手伝うよ」
アルシャインが持参した飾りを掲げて見せながら、ケフィとベルの元に歩み寄った。
「助かります!」
「あたしは何すればいいですか?」
テンパランスの事務所のメイド・イオナは腕まくりをしながらガイに話しかける。
「野菜切ったり、サラダ作ったりしてくんねーか?ネビラクツバの下ごしらえして、すぐ鍋にかけてくれ」
「解りました!」
それぞれが掃除班・飾り付け班・料理班に分かれて、お待ちかねのディナーパーティーに向けて一丸となって取り組んでいた。ただ一人、重度自閉症のニコだけはなにも手伝えることがないため、ラジオの歌謡曲に合わせて適当に歌ったり独り言を言ったりしながらふらふら歩きまわっていた。
「さて、飾りつけはこんなもんかな?」
アルシャインが目を細めながら辺りを見回して、デコレーションの仕上がりを確認する。
「ちょっと派手過ぎましたかね?」ケフィがはにかむと、
「いや、こんなもんだろう!」と、アルシャインがOKを出す。すでに掃除を完璧に済ませていた女性陣はデコレーションを見渡して「綺麗!完璧!」と手を叩いて喜ぶ。
「いらっしゃいませ皆さん!お待ちしてました!」
弟子の中で最も年長のエラが皆を出迎え、奥で飾り付けのため脚立に乗っていたベルとケフィが「こんにちはー!」と朗らかに声を張り上げてあいさつした。
「お、今ちょうどムギーを捌いてたんだ。グロいの嫌な奴はキッチン覗くなよ」
カウンターキッチンの奥から顔を上げたのが、噂の家事万能男子・ガイだ。頼りになるナイスガイ。ミルドレッドのスパダリ。一方ケフィも女だらけの言霊使いの中の数少ない男子だが、ガイほど男らしくもなければガイほど女子力もないので、全面的に彼には敵わず、情けない立ち位置にいる。そのうえグロ耐性もないため、ムギーという小型の両生類の内臓を捌いたり、ハーモサンドという四つ足の獣を解体したりという力仕事に参加できない。そのため女子たちには「男のくせに情けないわね」と言われて尻に敷かれているのである。ガイも尻に敷かれて家事を請け負っている立場だが、ケフィの立場はさしずめ潰れた座布団のような、何の役にも立たないポジションだ。潰れた座布団・ケフィは、仕方がないので部屋の飾りつけと掃除を担当することになり、脚立の上で頭をひねっている。
「何かできることはないかしら?飾りと食材は持ってきたけど?」
テンパランスが声をかけると、ガイは、
「あー、じゃあ、とりあえず持ってきた食材こっちで広げてみてくれ。そこから考える!」
と、額の汗をぬぐいながら答えた。
「ケフィ、手伝うよ」
アルシャインが持参した飾りを掲げて見せながら、ケフィとベルの元に歩み寄った。
「助かります!」
「あたしは何すればいいですか?」
テンパランスの事務所のメイド・イオナは腕まくりをしながらガイに話しかける。
「野菜切ったり、サラダ作ったりしてくんねーか?ネビラクツバの下ごしらえして、すぐ鍋にかけてくれ」
「解りました!」
それぞれが掃除班・飾り付け班・料理班に分かれて、お待ちかねのディナーパーティーに向けて一丸となって取り組んでいた。ただ一人、重度自閉症のニコだけはなにも手伝えることがないため、ラジオの歌謡曲に合わせて適当に歌ったり独り言を言ったりしながらふらふら歩きまわっていた。
「さて、飾りつけはこんなもんかな?」
アルシャインが目を細めながら辺りを見回して、デコレーションの仕上がりを確認する。
「ちょっと派手過ぎましたかね?」ケフィがはにかむと、
「いや、こんなもんだろう!」と、アルシャインがOKを出す。すでに掃除を完璧に済ませていた女性陣はデコレーションを見渡して「綺麗!完璧!」と手を叩いて喜ぶ。