【番外】凍り付いた感情が溶けた日
「あっはっはっは!おっかしい!!何言ってるのこれ、あはは」
居間のテレビではふざけたバラエティ番組が放映されていた。それを見て、大笑いをするテンパランス。アルシャインと結婚して以降、テンパランスは人が変わったようによく笑い、よく泣き、よく怒るようになった。今までテンパランスが表情筋を使ったところを見たことがなかったイオナは、とても不思議そうな顔をする。
「テンパランス様、最近よく笑うようになりましたね」
笑いすぎて涙が滲んだテンパランスは、涙をぬぐいながらイオナに顔を向けた。
「え?そう?ちょっとイオナ、これ面白くない?ダメ私これ笑い死にそう」
「ええ、面白いですよね」
テンパランスが楽しそうならいいか、と、イオナは一緒にテレビを見ることにした。
テンパランスがこんなに表情を表出するようになったのには、ある理由があった。それは、テンパランスの想いとアルシャインの想いが通じて、二人が恋人同士になったある日のこと。テンパランスの元に、とある依頼が舞い込んだのである。
「殺しをやってくれないか。金は出す」
とある建築会社の社長からの依頼だった。下請けの建築会社のプロジェクトリーダーを殺害してほしいという。
「そんな……できません。うちは奇跡使いです。神職です。殺しはしていません」
「そうなのか?使えないな。最近ミルドレッドも殺しをやりたがらなくてな。依頼したら断られた。貴女はミルドレッドと営業成績競ってるんじゃなかったか?どうしても消してほしいやつがいるんだ」
「営業成績なんて競っていません。彼女は私の親友です。殺しの依頼でしたら他の言霊使いに依頼されては?」
「金は弾む。バレないように突然死に見立ててくれれば、誰もあんたたちが殺したなんて気づかないよ」
そう押し通されて、テンパランスとアルシャインは、ある夜、酒に酔ったターゲットを奇跡で殺害した。
依頼とはいえ、殺しに手を染めてしまった罪悪感で、二人は眠れない夜を過ごした。
居間のテレビではふざけたバラエティ番組が放映されていた。それを見て、大笑いをするテンパランス。アルシャインと結婚して以降、テンパランスは人が変わったようによく笑い、よく泣き、よく怒るようになった。今までテンパランスが表情筋を使ったところを見たことがなかったイオナは、とても不思議そうな顔をする。
「テンパランス様、最近よく笑うようになりましたね」
笑いすぎて涙が滲んだテンパランスは、涙をぬぐいながらイオナに顔を向けた。
「え?そう?ちょっとイオナ、これ面白くない?ダメ私これ笑い死にそう」
「ええ、面白いですよね」
テンパランスが楽しそうならいいか、と、イオナは一緒にテレビを見ることにした。
テンパランスがこんなに表情を表出するようになったのには、ある理由があった。それは、テンパランスの想いとアルシャインの想いが通じて、二人が恋人同士になったある日のこと。テンパランスの元に、とある依頼が舞い込んだのである。
「殺しをやってくれないか。金は出す」
とある建築会社の社長からの依頼だった。下請けの建築会社のプロジェクトリーダーを殺害してほしいという。
「そんな……できません。うちは奇跡使いです。神職です。殺しはしていません」
「そうなのか?使えないな。最近ミルドレッドも殺しをやりたがらなくてな。依頼したら断られた。貴女はミルドレッドと営業成績競ってるんじゃなかったか?どうしても消してほしいやつがいるんだ」
「営業成績なんて競っていません。彼女は私の親友です。殺しの依頼でしたら他の言霊使いに依頼されては?」
「金は弾む。バレないように突然死に見立ててくれれば、誰もあんたたちが殺したなんて気づかないよ」
そう押し通されて、テンパランスとアルシャインは、ある夜、酒に酔ったターゲットを奇跡で殺害した。
依頼とはいえ、殺しに手を染めてしまった罪悪感で、二人は眠れない夜を過ごした。