【番外】ベル改造計画
「完璧ね」
「素材はいいのよ、ベル」
エラの部屋で三人で集まって、トータルコーディネートの練習をした。濃い化粧がことごとく似合わなかったベルは、ベージュピンクの口紅と、オークル系のファンデーションと、オレンジブラウンのアイシャドウと、コーラルピンクのチークをそろえた。
ベル自身の手でメイクを練習させ、5回目のメイク落としののち、やっと完璧なメイクが出来るようになった。ベルの肌は洗いすぎてヒリヒリする。
「じゃあ、次の休みにデートしてきなさいよ。ケフィにけしかけておくから何もしないでケフィの誘いに『はい』って言ってついていきなさい」
「は、はい……」
斯くしてエラとニナにそそのかされ、ケフィから誘った体でベルはケフィとデートに出かけることになった。
次の休日。玄関で二人は待ち合わせた。
「うわあ……。ベルさん、可愛いね」
「あ、ありがとう」
ケフィは完璧に仕上がったベルの姿を素直に称賛する。ベルは照れのあまり、玄関の姿見も見れずにいた。
「今日はどこに行きます?」
「どこでもお任せします……」
「分かった。ではとりあえず街中歩こうか」
ケフィは普段通りの話し方を心がけるが、未だに敬語が抜けずにいた。敬語と話し言葉をまぜながら、ぎこちない会話を続ける。
「あそこの喫茶店のパフェが美味しいんです……。行ってみよう?」
「はい……」
二人は喫茶店に入り、ケフィはチョコバナナパフェを、ベルはイチゴヨーグルトパフェを頼んだ。
「ほんとだ。美味しい」
「なんか、良いですね、こういうの」
ケフィははにかんだ。生まれて初めて彼女とデートらしいデートをする。こんなに可愛く生まれ変わったベルを連れて歩くのは鼻が高い。
喫茶店を後にして、映画館で話題の恋愛映画を見る。ケフィはボロボロ泣いてしまったが、ベルは冷めた目で映画を見ていた。映画が詰まらないというより、号泣するケフィを観察する方が面白かったのだ。
映画に感化されたのか、夕暮れの街を歩くケフィは、ベルの手を握った。ハッと顔を上げるベル。ケフィは「えへへ」とはにかんだ。
「今日は楽しかったです。ベルさんってお洒落するとこんなに可愛くなるんですね」
「あら、普段は可愛くないの?」
「普段も可愛いけど、もう慣れちゃったから。修業しなくちゃって気分になるから、気にしたことがなかったです」
「まあ、そうね」
そこまで話したところで、ケフィは「あっ!」と素っ頓狂な声を上げた。
「もう一軒、行きたいところがあるんですけど、良いかな?」
「……?いいけど……」
ケフィはベルの手を引き、ショッピングモールから細道に逸れた一軒の雑貨屋に入った。
「素材はいいのよ、ベル」
エラの部屋で三人で集まって、トータルコーディネートの練習をした。濃い化粧がことごとく似合わなかったベルは、ベージュピンクの口紅と、オークル系のファンデーションと、オレンジブラウンのアイシャドウと、コーラルピンクのチークをそろえた。
ベル自身の手でメイクを練習させ、5回目のメイク落としののち、やっと完璧なメイクが出来るようになった。ベルの肌は洗いすぎてヒリヒリする。
「じゃあ、次の休みにデートしてきなさいよ。ケフィにけしかけておくから何もしないでケフィの誘いに『はい』って言ってついていきなさい」
「は、はい……」
斯くしてエラとニナにそそのかされ、ケフィから誘った体でベルはケフィとデートに出かけることになった。
次の休日。玄関で二人は待ち合わせた。
「うわあ……。ベルさん、可愛いね」
「あ、ありがとう」
ケフィは完璧に仕上がったベルの姿を素直に称賛する。ベルは照れのあまり、玄関の姿見も見れずにいた。
「今日はどこに行きます?」
「どこでもお任せします……」
「分かった。ではとりあえず街中歩こうか」
ケフィは普段通りの話し方を心がけるが、未だに敬語が抜けずにいた。敬語と話し言葉をまぜながら、ぎこちない会話を続ける。
「あそこの喫茶店のパフェが美味しいんです……。行ってみよう?」
「はい……」
二人は喫茶店に入り、ケフィはチョコバナナパフェを、ベルはイチゴヨーグルトパフェを頼んだ。
「ほんとだ。美味しい」
「なんか、良いですね、こういうの」
ケフィははにかんだ。生まれて初めて彼女とデートらしいデートをする。こんなに可愛く生まれ変わったベルを連れて歩くのは鼻が高い。
喫茶店を後にして、映画館で話題の恋愛映画を見る。ケフィはボロボロ泣いてしまったが、ベルは冷めた目で映画を見ていた。映画が詰まらないというより、号泣するケフィを観察する方が面白かったのだ。
映画に感化されたのか、夕暮れの街を歩くケフィは、ベルの手を握った。ハッと顔を上げるベル。ケフィは「えへへ」とはにかんだ。
「今日は楽しかったです。ベルさんってお洒落するとこんなに可愛くなるんですね」
「あら、普段は可愛くないの?」
「普段も可愛いけど、もう慣れちゃったから。修業しなくちゃって気分になるから、気にしたことがなかったです」
「まあ、そうね」
そこまで話したところで、ケフィは「あっ!」と素っ頓狂な声を上げた。
「もう一軒、行きたいところがあるんですけど、良いかな?」
「……?いいけど……」
ケフィはベルの手を引き、ショッピングモールから細道に逸れた一軒の雑貨屋に入った。