第五章 奇跡使いと言霊使いの能力開発
「まあ、私どもの理論では説明がつかないのが奇跡というもの。実際に奇跡の力というものを見せて戴けませんか?」
クラークソンならば奇跡の力を保存する方法が分かるかもしれない。アルシャインが立ち上がり、先ほどクラークソンが名前を挙げなかった奇跡を披露してみせる。解明できるならやって見せればいい。
「金属の神!重力の神!光の神!生命の神!水の神!毒の神!さあ、何か解りますか?」
クラークソンは実際に目の前で披露される奇跡に手を叩いて喜んだ。
「素晴らしい。重力の神は解明できませんが、他は科学的に解明できそうです。重力まで操るとはさすが奇跡だ。いや、素晴らしい」
ネツァクは「物質化の奇跡なら魔術で制御できそうだ」と独り言ちた。
「癒しの奇跡はどうすれば発現するんだ?」
ネツァクの疑問に、アルシャインが答える。
「光の神と水の神と生命の神を呼び出し、組み合わせます」
「複合技か。生命の神だけでは足りないのか?」
「生命の神の力だけでは気分的なものしか治りません。水を操り、光を当てたほうが治癒力が早まります」
ネツァクとクラークソンは顔を見合わせた。現在の魔術と科学のレベルではやはり奇跡は奇跡の力としか言いようがない。
「時間をかけて解明していきましょう。ここでは話にならない。研究所に場所を移しましょう」
そして一同は施設内の研究所に場所を移した。奇跡から物質を取り出し、奇跡に奇跡をぶつけ、魔術で力を一つ所にとどめる。あらゆる方法を試し、出来上がったのは”災厄の弾頭”であった。
「ありったけの奇跡を詰めた奇跡の玉だ。これを爆発させたら何が起こるのか。安全な場所で実験しましょう」
一同は国の担当者も連れてブルギス国中央の広大な荒野にやってきた。砲台に災厄の弾頭を設置し、できるだけ遠くに発射した。
奇跡使い達はクリスタルの神を呼び、周囲に透明な防壁を作り、それを観測する。
災厄の弾頭は2km先に着弾すると、網膜を焼くような激しい光を放ち、爆発した。嵐のような猛烈な風、クリスタルが溶けそうなほど灼熱の熱風、おそらく周囲には毒ガスが充満している。
「恐ろしい……。私たちはなんて恐ろしいものを生み出してしまったの」
テンパランスはその威力の凄さに震えあがった。その時初めて一同は上手く騙されていたことに気づいた。破壊兵器は作らないと決め込んでいたのに、結果作らされたのは破壊兵器だ。しかも、史上最悪の。
「これは、危険すぎる。研究は中止だ。この研究結果は研究所に厳重に保管し、封印しよう」
国の担当者も、一瞬で死の大地と化した大地を見渡し、手にした力の過ちに震えあがった。これは戦争に使えない。敵味方だけでなく、民間人も巻き添えになる。
国の担当者は首相に報告すると、そのレシピを厳重に研究機関の地下に封印した。そして、奇跡使い達の研究は巨大な治療施設の研究に方向転換することとなる。奇跡の力を定期的に補充し、治療室に満たして患者を治癒する方法。点滴パック方式や、カプセル室など、あらゆる方法が試された。その研究は次第に末期がん患者や事故で意識不明になった重傷者などに、家族の了解を経て研究されることとなった。カプセル室には風の神、光の神、生命の神の力で満たし、定期的に奇跡の小瓶の内容物を補充するという方法がとられた。点滴パックは奇跡の小瓶の力を精製水に溶かし、微量の化学物質を加えることで安定するという研究結果が得られた。
これにより世界の医療技術は飛躍的に向上することとなった。
クラークソンならば奇跡の力を保存する方法が分かるかもしれない。アルシャインが立ち上がり、先ほどクラークソンが名前を挙げなかった奇跡を披露してみせる。解明できるならやって見せればいい。
「金属の神!重力の神!光の神!生命の神!水の神!毒の神!さあ、何か解りますか?」
クラークソンは実際に目の前で披露される奇跡に手を叩いて喜んだ。
「素晴らしい。重力の神は解明できませんが、他は科学的に解明できそうです。重力まで操るとはさすが奇跡だ。いや、素晴らしい」
ネツァクは「物質化の奇跡なら魔術で制御できそうだ」と独り言ちた。
「癒しの奇跡はどうすれば発現するんだ?」
ネツァクの疑問に、アルシャインが答える。
「光の神と水の神と生命の神を呼び出し、組み合わせます」
「複合技か。生命の神だけでは足りないのか?」
「生命の神の力だけでは気分的なものしか治りません。水を操り、光を当てたほうが治癒力が早まります」
ネツァクとクラークソンは顔を見合わせた。現在の魔術と科学のレベルではやはり奇跡は奇跡の力としか言いようがない。
「時間をかけて解明していきましょう。ここでは話にならない。研究所に場所を移しましょう」
そして一同は施設内の研究所に場所を移した。奇跡から物質を取り出し、奇跡に奇跡をぶつけ、魔術で力を一つ所にとどめる。あらゆる方法を試し、出来上がったのは”災厄の弾頭”であった。
「ありったけの奇跡を詰めた奇跡の玉だ。これを爆発させたら何が起こるのか。安全な場所で実験しましょう」
一同は国の担当者も連れてブルギス国中央の広大な荒野にやってきた。砲台に災厄の弾頭を設置し、できるだけ遠くに発射した。
奇跡使い達はクリスタルの神を呼び、周囲に透明な防壁を作り、それを観測する。
災厄の弾頭は2km先に着弾すると、網膜を焼くような激しい光を放ち、爆発した。嵐のような猛烈な風、クリスタルが溶けそうなほど灼熱の熱風、おそらく周囲には毒ガスが充満している。
「恐ろしい……。私たちはなんて恐ろしいものを生み出してしまったの」
テンパランスはその威力の凄さに震えあがった。その時初めて一同は上手く騙されていたことに気づいた。破壊兵器は作らないと決め込んでいたのに、結果作らされたのは破壊兵器だ。しかも、史上最悪の。
「これは、危険すぎる。研究は中止だ。この研究結果は研究所に厳重に保管し、封印しよう」
国の担当者も、一瞬で死の大地と化した大地を見渡し、手にした力の過ちに震えあがった。これは戦争に使えない。敵味方だけでなく、民間人も巻き添えになる。
国の担当者は首相に報告すると、そのレシピを厳重に研究機関の地下に封印した。そして、奇跡使い達の研究は巨大な治療施設の研究に方向転換することとなる。奇跡の力を定期的に補充し、治療室に満たして患者を治癒する方法。点滴パック方式や、カプセル室など、あらゆる方法が試された。その研究は次第に末期がん患者や事故で意識不明になった重傷者などに、家族の了解を経て研究されることとなった。カプセル室には風の神、光の神、生命の神の力で満たし、定期的に奇跡の小瓶の内容物を補充するという方法がとられた。点滴パックは奇跡の小瓶の力を精製水に溶かし、微量の化学物質を加えることで安定するという研究結果が得られた。
これにより世界の医療技術は飛躍的に向上することとなった。