奇跡使いと言霊使い
この世界は、神と呼ばれる精霊と、古霊と呼ばれる高次の霊体によって流転している。
そう説いた先人たちは、それぞれ精霊神教、古霊道という宗教を開いた。
精霊神教を開いた者たちは神々の力を借りて「奇跡」と呼ばれる魔法を起こし、病める人々を救い、暗闇を明るく照らした。
古霊道を開いた者たちは、言霊の力に依って古霊の力を引き出し、人々の欲を満たし、争いを制した。
世界には目に見えない力が満ちている。人も動物も、その力無くしては生きてゆくことができない。生きるも、死ぬも、精霊神や古霊の力を御した者が制するのだ。
精霊神教で奇跡を使う者・「奇跡使い」は、男しか就くことが許されない。厳しい戒律を神々に監視され、禁欲生活を守ることができたものにしかもたらされない力だ。だから、ごく限られた者しか奇跡使いとして独立できなかった。
一方、古霊道で言霊を操る者・「言霊使い」は女の仕事だった。言霊の力を手にした女は如何に貧しい出自の者でも、会社経営や政治に大きく関与でき、それなりの地位が与えられた。女達は挙って言霊使いを夢見た。しかし、古霊の力を操れる者は、これまた限られた者だけだった。
何の力も持たぬ者たちは、奇跡や言霊の力に頼って生きるしかなかった。しかし、ただ指をくわえて見ているだけではいられない。力無き人間たちは、神や古霊の力の源を科学し、科学技術を発展させた。
この世界は、神々と古霊達と科学技術が共存する、そんな世界であった。
ここに一人の例外がいた。女の身でありながら奇跡の力を操れる女だ。
名を「ララ・ファンテ」。奇跡使い名を、「テンパランス(節制)」と名付けられた、世界で唯一、そして、世界最強の奇跡使いである。
この女奇跡使いの元へ、運命に導かれるように、一人の少年がその門を叩いた。この少年もまた、やがて世界の常識を覆す存在になることは、今はまだ、少年自身も知らない。
そう説いた先人たちは、それぞれ精霊神教、古霊道という宗教を開いた。
精霊神教を開いた者たちは神々の力を借りて「奇跡」と呼ばれる魔法を起こし、病める人々を救い、暗闇を明るく照らした。
古霊道を開いた者たちは、言霊の力に依って古霊の力を引き出し、人々の欲を満たし、争いを制した。
世界には目に見えない力が満ちている。人も動物も、その力無くしては生きてゆくことができない。生きるも、死ぬも、精霊神や古霊の力を御した者が制するのだ。
精霊神教で奇跡を使う者・「奇跡使い」は、男しか就くことが許されない。厳しい戒律を神々に監視され、禁欲生活を守ることができたものにしかもたらされない力だ。だから、ごく限られた者しか奇跡使いとして独立できなかった。
一方、古霊道で言霊を操る者・「言霊使い」は女の仕事だった。言霊の力を手にした女は如何に貧しい出自の者でも、会社経営や政治に大きく関与でき、それなりの地位が与えられた。女達は挙って言霊使いを夢見た。しかし、古霊の力を操れる者は、これまた限られた者だけだった。
何の力も持たぬ者たちは、奇跡や言霊の力に頼って生きるしかなかった。しかし、ただ指をくわえて見ているだけではいられない。力無き人間たちは、神や古霊の力の源を科学し、科学技術を発展させた。
この世界は、神々と古霊達と科学技術が共存する、そんな世界であった。
ここに一人の例外がいた。女の身でありながら奇跡の力を操れる女だ。
名を「ララ・ファンテ」。奇跡使い名を、「テンパランス(節制)」と名付けられた、世界で唯一、そして、世界最強の奇跡使いである。
この女奇跡使いの元へ、運命に導かれるように、一人の少年がその門を叩いた。この少年もまた、やがて世界の常識を覆す存在になることは、今はまだ、少年自身も知らない。
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