アガサ編
私の話が受け入れられないのか、話を聞きながら、アガサはべそをかきはじめてしまいました。彼女の碧い瞳から大粒の涙が滝のように流れ出し、彼女は慟哭をあげるのを必死に堪えるあまり、大きくしゃくりあげて震えていました。
「お願い、……一人にしないで……。アルヤが、居ないと、あたし、踊れないよ……!」
「踊れます。皆が育っています。私と貴女で育てました。彼らがいれば、踊れます」
アガサの顔が、くしゃくしゃに歪みました。
「やだよ、……アルヤが居なきゃやだああああああああああ!!!!!」
遂にアガサは堰を切ったように泣き出してしまいました。その声を聞いて、踊りや楽器の練習をしていた子供たちが駆け寄ってきました。困りました。どう説明したらいいものか。
「お父さん、お母さんと喧嘩したの?」
「泣かしたらいけないんだよー」
「あー、お父さんは、お母さんとちょっと難しい話をしていたんですよ。ちょっと二人だけにしてもらえませんか?」
私はとりあえず子供たちを遠ざけ、アガサと話しました。
「見ましたか?皆を。アガサは独りじゃありません。今のアガサには仲間がたくさんいます。貴女が集め、貴女が育てたのです。だから、ね、きっと大丈夫。これから素敵な人が、私より素敵な人が、貴女を支えてくれます。私は、信じています」
アガサはまだしゃくりあげていましたが、やっと泣き止んで落ち着いてくれたようです。
「アルヤはこれからどうするの?」
「私は、また旅をします。歌を歌って、今まで通り、各地を放浪して歩きます。アガサが旅を続けるなら、またどこかで会えるでしょう」
「わかった。あたし、みんなを連れて旅をする。アルヤもいつまでも元気でね。変なもの食べないでね。いつかまたどこかで、絶対に会おうね」
アガサの瞳はどこかまだ不安げでしたが、私の決断を理解してくれたようでした。
私は子供たちに別れの挨拶をしました。皆派手に泣きましたが、年長の子たちが小さい子たちをなだめてくれ、皆私の決断を理解してくれました。
私は最後に、長い長い歌を歌いました。皆が路頭に迷った時勇気が出てくるような、そんな冒険譚です。皆静かに耳を傾け、歌が終わると、わあっと手を叩いて喜んでくれました。
「これがお父さんの本当のお仕事なんだね」
「そうですよ。皆と一緒にいた年月はとても楽しいものでした。ですが、私は吟遊詩人。またこうやって歌を歌って街を渡り歩きます」
「僕、お父さんの教えてくれたこと、絶対に忘れないよ。今歌ってくれた歌も、きっと忘れない」
年長の少年が胸を張って言いました。
「アガサお母さんを支えてあげてください」
「はい!」
そして私は道具をまとめると、一人歩き出しました。私はまた、自由な一羽の鳥になりました。街から街を渡り歩く、自由な鳥に。
「お願い、……一人にしないで……。アルヤが、居ないと、あたし、踊れないよ……!」
「踊れます。皆が育っています。私と貴女で育てました。彼らがいれば、踊れます」
アガサの顔が、くしゃくしゃに歪みました。
「やだよ、……アルヤが居なきゃやだああああああああああ!!!!!」
遂にアガサは堰を切ったように泣き出してしまいました。その声を聞いて、踊りや楽器の練習をしていた子供たちが駆け寄ってきました。困りました。どう説明したらいいものか。
「お父さん、お母さんと喧嘩したの?」
「泣かしたらいけないんだよー」
「あー、お父さんは、お母さんとちょっと難しい話をしていたんですよ。ちょっと二人だけにしてもらえませんか?」
私はとりあえず子供たちを遠ざけ、アガサと話しました。
「見ましたか?皆を。アガサは独りじゃありません。今のアガサには仲間がたくさんいます。貴女が集め、貴女が育てたのです。だから、ね、きっと大丈夫。これから素敵な人が、私より素敵な人が、貴女を支えてくれます。私は、信じています」
アガサはまだしゃくりあげていましたが、やっと泣き止んで落ち着いてくれたようです。
「アルヤはこれからどうするの?」
「私は、また旅をします。歌を歌って、今まで通り、各地を放浪して歩きます。アガサが旅を続けるなら、またどこかで会えるでしょう」
「わかった。あたし、みんなを連れて旅をする。アルヤもいつまでも元気でね。変なもの食べないでね。いつかまたどこかで、絶対に会おうね」
アガサの瞳はどこかまだ不安げでしたが、私の決断を理解してくれたようでした。
私は子供たちに別れの挨拶をしました。皆派手に泣きましたが、年長の子たちが小さい子たちをなだめてくれ、皆私の決断を理解してくれました。
私は最後に、長い長い歌を歌いました。皆が路頭に迷った時勇気が出てくるような、そんな冒険譚です。皆静かに耳を傾け、歌が終わると、わあっと手を叩いて喜んでくれました。
「これがお父さんの本当のお仕事なんだね」
「そうですよ。皆と一緒にいた年月はとても楽しいものでした。ですが、私は吟遊詩人。またこうやって歌を歌って街を渡り歩きます」
「僕、お父さんの教えてくれたこと、絶対に忘れないよ。今歌ってくれた歌も、きっと忘れない」
年長の少年が胸を張って言いました。
「アガサお母さんを支えてあげてください」
「はい!」
そして私は道具をまとめると、一人歩き出しました。私はまた、自由な一羽の鳥になりました。街から街を渡り歩く、自由な鳥に。