漫画とはいえ許せないんですの

葵は心を落ち着け、冷静に本を読んでみようと思った。
恐る恐る雑誌を手に取り、まずは表紙の少女が活躍する話を探さなくては……。
いやらしい絵ばかり続くページをめくると、表紙と同じ絵柄のページを見つけた。表紙の少女も出てくる。
顔を真っ赤にして読み進めたが……。
「わ、私……今、見てはいけない物を見ているのかしら」
頭がぐらぐらし、目が回る。だが、少女の話の結末が気になって、ページをめくる手を止められない。
ひたすら吐き気を催すシーンが続くのに、体が火照る。
魔族の少女は酷いいじめを受けているようだった。
最終的に漫画の中の少女は、死んだ魚のような目をして打ち捨てられる結末だった。酷く後味が悪い。
それもそのはずである。その雑誌は一般男性も読むのをためらうマニア向け漫画雑誌である。
読後、葵の心は憎しみに燃えた。
「ひどい……あんまりですわ……」
夕月の言葉が蘇る。
(スケベな男がスケベな理由で読む雑誌だよ)
「人間は……我々魔族を、こんな風に虐めるのが好きなの……?」
葵の心が、闇に染まっていった。
「許せない。人間の男は、私が滅ぼさないと……!いつか絶対王位を勝ち取って、魔王になって、人間どもを、同じ目に遭わせてやりますわ……!!」
葵は漫画雑誌をベッドの下に隠すと、どうやったら王位を勝ち取ることが出来るか、朝まで考え続けていた。
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