漫画とはいえ許せないんですの
「私は、大人の女性。理由があって、買いに来ましたの」
葵は自分に向かって言い訳をし、意を決してコンビニへと入った。
「いらっしゃいませー」
コンビニの男性店員が、けだるそうにあいさつをした。このコンビニの夜勤の男性店員は、客の少ない夜のコンビニを舐めていた。
しかし、店内に入ってきたのは黒魔術でもやっていそうな危ない雰囲気の怪しい女性である。
(ついに、来たか……。俺、殺されないよな?)
青年にとって、コンビニの夜勤で唯一の不安は、コンビニ強盗か万引きである。そのどちらもやらかしそうな、ただならぬ出で立ちの女性に、青年は注意深く動向を監視した。もし怪しい動きがあったら、警察に通報できるよう、首にかけた防犯ブザーに手をかけた。
女性は雑誌コーナへ向かうと、真っ直ぐにレジに向かってきた。
(神様……!俺を今だけ救ってくれ……!)
しかし、女性がレジに置いた商品は、……青年も読むのをためらう、マニアックで鬼畜で上級者向けの成人向け雑誌だった。その雑誌を見た瞬間、青年の心に、暖かい感情が芽生えた。
(そっか……。この人、こういうのが趣味だったのか……。それが恥ずかしくて、こんな怪しい変装を……)
女性は俯き、一言も発しない。顔も暗くてよく見えないが、まだ若いようだった。
(わかるぜ、俺も、厨房の頃は、そんな気持ちだったからな)
店員は商品のバーコードを読み取り、レジの会計ボタンを押すと、
「630円でございます」
いつもより優しい接客を心がけた。
「一千三十円お預かりします。……四百円お返しします」
(まあ、あんたも、そのうち慣れて、平気で買えるようになるぜ。……頑張れよ)
青年はいつもは使用しない雑誌用の紙袋を使用し、さらにレジ袋に入れて差し出した。
女性は何も言わずに去っていった。
(俺……あんたみたいな女の子、好きだぜ……)
閉まる自動ドアに向かって、男性店員は親指を立ててみせた。
「買ってしまいましたわ……」
この雑誌の中に、どんな世界が広がっているというのか。
青いビニールテープをカッターで切り開き、ページを捲った。そこに描かれていたのは……
「きゃーーー!!!」
葵は思わず悲鳴を上げて雑誌を放り投げた。何か、気持ち悪い絵を見たような気がする。
葵の叫び声を聞き、侍女が部屋のドアを叩いた。
「姫、何事ですか?」
こんな気持ちの悪い雑誌を買ったと知られたら、何と誤解されるかわかった物ではない。
「だ、大丈夫ですわ!何でもありませんの!」
侍女がドアを開けようとしたので、葵はドアに飛びつき、ドアに鍵をかけた。
「今入ってこないで!お化けが、うん、お化けが出ましたの!」
「姫、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですわ!戦うので、ここを開けてはなりません!!」
侍女がいる気配が消えたので、葵はドアにもたれてへたり込んだ。
「危なかった……」
葵は自分に向かって言い訳をし、意を決してコンビニへと入った。
「いらっしゃいませー」
コンビニの男性店員が、けだるそうにあいさつをした。このコンビニの夜勤の男性店員は、客の少ない夜のコンビニを舐めていた。
しかし、店内に入ってきたのは黒魔術でもやっていそうな危ない雰囲気の怪しい女性である。
(ついに、来たか……。俺、殺されないよな?)
青年にとって、コンビニの夜勤で唯一の不安は、コンビニ強盗か万引きである。そのどちらもやらかしそうな、ただならぬ出で立ちの女性に、青年は注意深く動向を監視した。もし怪しい動きがあったら、警察に通報できるよう、首にかけた防犯ブザーに手をかけた。
女性は雑誌コーナへ向かうと、真っ直ぐにレジに向かってきた。
(神様……!俺を今だけ救ってくれ……!)
しかし、女性がレジに置いた商品は、……青年も読むのをためらう、マニアックで鬼畜で上級者向けの成人向け雑誌だった。その雑誌を見た瞬間、青年の心に、暖かい感情が芽生えた。
(そっか……。この人、こういうのが趣味だったのか……。それが恥ずかしくて、こんな怪しい変装を……)
女性は俯き、一言も発しない。顔も暗くてよく見えないが、まだ若いようだった。
(わかるぜ、俺も、厨房の頃は、そんな気持ちだったからな)
店員は商品のバーコードを読み取り、レジの会計ボタンを押すと、
「630円でございます」
いつもより優しい接客を心がけた。
「一千三十円お預かりします。……四百円お返しします」
(まあ、あんたも、そのうち慣れて、平気で買えるようになるぜ。……頑張れよ)
青年はいつもは使用しない雑誌用の紙袋を使用し、さらにレジ袋に入れて差し出した。
女性は何も言わずに去っていった。
(俺……あんたみたいな女の子、好きだぜ……)
閉まる自動ドアに向かって、男性店員は親指を立ててみせた。
「買ってしまいましたわ……」
この雑誌の中に、どんな世界が広がっているというのか。
青いビニールテープをカッターで切り開き、ページを捲った。そこに描かれていたのは……
「きゃーーー!!!」
葵は思わず悲鳴を上げて雑誌を放り投げた。何か、気持ち悪い絵を見たような気がする。
葵の叫び声を聞き、侍女が部屋のドアを叩いた。
「姫、何事ですか?」
こんな気持ちの悪い雑誌を買ったと知られたら、何と誤解されるかわかった物ではない。
「だ、大丈夫ですわ!何でもありませんの!」
侍女がドアを開けようとしたので、葵はドアに飛びつき、ドアに鍵をかけた。
「今入ってこないで!お化けが、うん、お化けが出ましたの!」
「姫、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですわ!戦うので、ここを開けてはなりません!!」
侍女がいる気配が消えたので、葵はドアにもたれてへたり込んだ。
「危なかった……」