変なお兄さんに捕まって逃げました
その日は夕月が現れると、電車で隣の区まで場所を移し、喫茶店巡りをすることにした。
事情を聞いた夕月も、葵の怯えように心配を隠せない。
「その編集者も怖いけど、テロリストも怖いよな……。しばらく333には近づかない方がいいかも」
「葵さん、今日の葵さんもとても素敵だから、目をつけられたのですわね……。無礼な、私の葵さんに手を触れるなど……!」
そういったどさくさに紛れ、真緋瑠は葵を抱きしめた。
(葵さんのシャンプー、椿油の香り……すはー、すはー)
夕月は元気づけようと、話題を今日のコーディネートの話にした。
「今日の葵、マジカッコいいよね!オールセルフィドコーデ!もうこのままステージに立てるよね!」
すると真緋瑠も食いついてきた。
「実は!私もオールセルフィドですの!セルフィドのホワイトゴスロリコーデ!葵さんのセルフィドコーデに憧れて、私も白を買いましたのよ!」
「それセルフィドだったんだー?!すげえ!セルフィドが白を出すって珍しいね!」
葵も、俯いた顔をゆるゆると上げ、真緋瑠のコーディネートを讃えた。
「真緋瑠さんもセルフィド買ったんですの?素敵ですわね。とてもお似合いですわ」
(白じゃなければよかったのに……)
カッコ書きの心の声は口が裂けてもいえないが。葵は、白があまり好きではない。白い服ばかり着る真緋瑠は、本当は少し苦手である。
「う、嬉しいですわ!葵さん!!いつか双子コーデ出来るといいですわね!」
「うん、そうね……(白じゃなければ考えるわ)」
葵は夕月のコーディネートに目を向けた。
「夕月ちゃんはジェノサイドのコーデですの?素敵ですわ!血まみれのガイコツ!」
「あ、あたしは色んなブランドごちゃ混ぜだよ。ジェノサイドだけで固めると危ないやつになっちゃうからね」
夕月のファッションは、ジェノサイドというパンクブランドのTシャツに、安物のガウチョパンツ、黒いブーツである。すらりとした高めの身長、小さな胸、ツンツンに尖らせたショートヘアのせいで、一見するとロック男子に見える。
「私、夕月ちゃんのセンスが凄く大好きですわ!ガイコツ、血飛沫、蜘蛛とかコウモリとか、ゴシックでブラックなのが堪らなく大好きですの!」
葵は両手を握りしめて信条を力説した。
「葵はホントにゴスだなあー」
葵の元気が出てきたようなので、夕月は嬉しそうに目を細め、ドリンクを一口啜った。
「わ、わたしは……?」
真緋瑠は葵のテンションの違いに、少しだけ心を痛めた。
自宅に帰ると、ギンモクセイが心配そうに駆け寄ってきた。
「姫、近くで爆発騒ぎがあったとか。お怪我は?」
「まさか、もうニュースになってますの?」
葵は顔を青ざめた。
「午後のニュースで取り上げられています。容疑者は捕まったそうですが…」
「そ、そう……ですの……」
真犯人は葵である。葵は叱られるのを覚悟したが、黙っているのも苦しいので、夕食の時間に正直に話さなければならない、と覚悟した。
事情を聞いた夕月も、葵の怯えように心配を隠せない。
「その編集者も怖いけど、テロリストも怖いよな……。しばらく333には近づかない方がいいかも」
「葵さん、今日の葵さんもとても素敵だから、目をつけられたのですわね……。無礼な、私の葵さんに手を触れるなど……!」
そういったどさくさに紛れ、真緋瑠は葵を抱きしめた。
(葵さんのシャンプー、椿油の香り……すはー、すはー)
夕月は元気づけようと、話題を今日のコーディネートの話にした。
「今日の葵、マジカッコいいよね!オールセルフィドコーデ!もうこのままステージに立てるよね!」
すると真緋瑠も食いついてきた。
「実は!私もオールセルフィドですの!セルフィドのホワイトゴスロリコーデ!葵さんのセルフィドコーデに憧れて、私も白を買いましたのよ!」
「それセルフィドだったんだー?!すげえ!セルフィドが白を出すって珍しいね!」
葵も、俯いた顔をゆるゆると上げ、真緋瑠のコーディネートを讃えた。
「真緋瑠さんもセルフィド買ったんですの?素敵ですわね。とてもお似合いですわ」
(白じゃなければよかったのに……)
カッコ書きの心の声は口が裂けてもいえないが。葵は、白があまり好きではない。白い服ばかり着る真緋瑠は、本当は少し苦手である。
「う、嬉しいですわ!葵さん!!いつか双子コーデ出来るといいですわね!」
「うん、そうね……(白じゃなければ考えるわ)」
葵は夕月のコーディネートに目を向けた。
「夕月ちゃんはジェノサイドのコーデですの?素敵ですわ!血まみれのガイコツ!」
「あ、あたしは色んなブランドごちゃ混ぜだよ。ジェノサイドだけで固めると危ないやつになっちゃうからね」
夕月のファッションは、ジェノサイドというパンクブランドのTシャツに、安物のガウチョパンツ、黒いブーツである。すらりとした高めの身長、小さな胸、ツンツンに尖らせたショートヘアのせいで、一見するとロック男子に見える。
「私、夕月ちゃんのセンスが凄く大好きですわ!ガイコツ、血飛沫、蜘蛛とかコウモリとか、ゴシックでブラックなのが堪らなく大好きですの!」
葵は両手を握りしめて信条を力説した。
「葵はホントにゴスだなあー」
葵の元気が出てきたようなので、夕月は嬉しそうに目を細め、ドリンクを一口啜った。
「わ、わたしは……?」
真緋瑠は葵のテンションの違いに、少しだけ心を痛めた。
自宅に帰ると、ギンモクセイが心配そうに駆け寄ってきた。
「姫、近くで爆発騒ぎがあったとか。お怪我は?」
「まさか、もうニュースになってますの?」
葵は顔を青ざめた。
「午後のニュースで取り上げられています。容疑者は捕まったそうですが…」
「そ、そう……ですの……」
真犯人は葵である。葵は叱られるのを覚悟したが、黙っているのも苦しいので、夕食の時間に正直に話さなければならない、と覚悟した。