【番外】あなたが私に光をくれた

待ち合わせ場所にたどり着くまでに、真緋瑠は道行く人々からの奇異の視線に晒された。
みんなが私を変だと思ってる……。どうしよう。やっぱり地味な格好すればよかった。
しかし、待ち合わせ場所にいた葵は、暗雲を呼ぶような凄みのあるゴシックの装いで、夕月に至っては数人人を殺した後のような凄惨なファッションだった。
この二人と並ぶと、自分はなんて平和的なファッションなんだろう。
「あ、真緋瑠ちゃんだ!可愛いーーー!!似合ってる!」
「真緋瑠さん!とってもお似合いですわ!初めてとは思えない!すごくレベル高い!」
「ありがとう。ありがとう。嬉しいですわ」
そして、三人は全身が撮影できるプリクラ機に入った。友達のいなかった真緋瑠は、実は初めての経験だった。
「きゃー!見切れた!」
「もっと寄って!」
女三人で抱き合うような格好で、おしくらまんじゅうのように撮影した初めてのプリクラ。
そこに写っていたのは、三人のお姫様だった。
「私、こんなに可愛いですか?」
おずおずと自信なさげに真緋瑠が言うと、夕月が、
「何言ってるの真緋瑠ちゃん。とってもかわいいよ!自信持ちなって!」
と、肩を叩いた。
「そうですわ。私がロリータデビューしたときはこんなにレベル高くありませんでしたわよ。凄いですわ!」
憧れの葵が、自分のコーディネートを褒めてくれている。
「あ、ありがとう。私、一生ロリータしますわ!」
その時初めて真緋瑠は、幼いころからあれほど渇望していた、本物の自信を手に入れた気がした。

葵さんが、暗く沈んでいた地味で不細工な私に、光を与えてくれましたの。
葵さんがいなかったら、今の私はいない。
葵さん。ずっとずっと、大好きですわ。

END.
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