魔族VS悪魔族
来るべき日がやってきた。8月20日。スグリパブリケーション本社ビル別棟、撮影スタジオ前に、魔族たち、そして、帯剣した夕月、リュックに物を詰め込んだ真緋瑠が集った。
魔族たちで角の生えている者たちは、ニットキャップをかぶり、角を隠している。
しかし、驚いたことに、フリフリのピンクのドレスを着た、金髪のかつらをかぶせられたスノードロップまでついてきている。夕月が秋海棠にそのことを尋ねた。
「なんでスノードロップちゃんまでついてきてるんですか?」
「おや?彼はなかなか優秀だぞ。葵があまりに溺愛しているから、葵には秘密にしていてほしいけどね」
「スノードロップちゃんって、戦えるんですか?」
「おやおや、彼も一応魔族のはしくれだ。こいつを見てくれ。この鋭い爪と牙、こいつをどう思う?」
スノードロップの手には、凶悪なカギ爪が生えている。
「すごく…強そうです……」
「だろう?彼は戦力になるよ」
玄関ロビーを通過し、玄関脇の電話に用件を伝えると、ほどなくして編集長と、社長や重役たちがエレベーターで降りてきた。
「これはこれは、倉地さん。葵さんの具合はいかがですか?」
「先日は葵がお世話になったそうで。彼女はあれ以来病気で伏せっております。今日は来てません。代わりといっては何ですが、娘の親友を連れてまいりました。彼女たちも是非Devilteenのモデルになりたいそうで」
夕月も真緋瑠も彼らが今にも映画のように、背中がバリッと割れて、怪物に変身するのかと想像して身構えた。
「そうですか、では立ち話もなんです。さっそくスタジオにどうぞ」
彼らに連れられて行ったところは、天井の高いがらんとした空間だった。
何もないように見えるが…。魔族たちはそこに張り巡らせた魔力障壁の結界を感じていた。
途端。スグリパブリケーション本社ビルが雷のような音を轟かせ振動した。実は、本社内に入ったのは数人の突入部隊のみ。ほかの数名の魔族は本社の外側に張り巡らせた結界の装置を破壊していたのである。その結界装置がすべて破壊され、結界が壊れた衝撃であった。
「やはりそう来たか。想定の範囲内だ」
それが合図だった。スーツ姿に触角と羽を生やした会社員たちが、十数名音もなく現れ、構えた。
ひなげしも右手を掲げ、時空の歪みを掴み、巨大な時空の扉を開く。そこから櫻国の各地に散っていた鬼たちが無数に躍り出てきた。
「お嬢さんたち、構えるんだ!来るぞ!」
そして悪魔族と鬼族たちが激突した。
どちらの勢力も、ある者は魔力障壁を展開し防御し、ある者は攻撃魔力弾を放つ。ある者は武器を構え突撃し、ある者は腕力でねじ伏せる。
爆裂や斬撃で、悪魔族も鬼族も、鮮血が飛び、肉片が飛ぶ。
中でもスグリパブリケーションの重役たちの魔力にはすさまじいものがあった。レッサーデビルたちの魔力弾の比ではない。
だが、こちらも王族が控えている。ひなげし、秋海棠、ギンモクセイたちは鬼族の中でも最上級の魔力を有する。
あたりは大爆発が巻き起こり、鼓膜がおかしくなりそうだった。
魔族たちで角の生えている者たちは、ニットキャップをかぶり、角を隠している。
しかし、驚いたことに、フリフリのピンクのドレスを着た、金髪のかつらをかぶせられたスノードロップまでついてきている。夕月が秋海棠にそのことを尋ねた。
「なんでスノードロップちゃんまでついてきてるんですか?」
「おや?彼はなかなか優秀だぞ。葵があまりに溺愛しているから、葵には秘密にしていてほしいけどね」
「スノードロップちゃんって、戦えるんですか?」
「おやおや、彼も一応魔族のはしくれだ。こいつを見てくれ。この鋭い爪と牙、こいつをどう思う?」
スノードロップの手には、凶悪なカギ爪が生えている。
「すごく…強そうです……」
「だろう?彼は戦力になるよ」
玄関ロビーを通過し、玄関脇の電話に用件を伝えると、ほどなくして編集長と、社長や重役たちがエレベーターで降りてきた。
「これはこれは、倉地さん。葵さんの具合はいかがですか?」
「先日は葵がお世話になったそうで。彼女はあれ以来病気で伏せっております。今日は来てません。代わりといっては何ですが、娘の親友を連れてまいりました。彼女たちも是非Devilteenのモデルになりたいそうで」
夕月も真緋瑠も彼らが今にも映画のように、背中がバリッと割れて、怪物に変身するのかと想像して身構えた。
「そうですか、では立ち話もなんです。さっそくスタジオにどうぞ」
彼らに連れられて行ったところは、天井の高いがらんとした空間だった。
何もないように見えるが…。魔族たちはそこに張り巡らせた魔力障壁の結界を感じていた。
途端。スグリパブリケーション本社ビルが雷のような音を轟かせ振動した。実は、本社内に入ったのは数人の突入部隊のみ。ほかの数名の魔族は本社の外側に張り巡らせた結界の装置を破壊していたのである。その結界装置がすべて破壊され、結界が壊れた衝撃であった。
「やはりそう来たか。想定の範囲内だ」
それが合図だった。スーツ姿に触角と羽を生やした会社員たちが、十数名音もなく現れ、構えた。
ひなげしも右手を掲げ、時空の歪みを掴み、巨大な時空の扉を開く。そこから櫻国の各地に散っていた鬼たちが無数に躍り出てきた。
「お嬢さんたち、構えるんだ!来るぞ!」
そして悪魔族と鬼族たちが激突した。
どちらの勢力も、ある者は魔力障壁を展開し防御し、ある者は攻撃魔力弾を放つ。ある者は武器を構え突撃し、ある者は腕力でねじ伏せる。
爆裂や斬撃で、悪魔族も鬼族も、鮮血が飛び、肉片が飛ぶ。
中でもスグリパブリケーションの重役たちの魔力にはすさまじいものがあった。レッサーデビルたちの魔力弾の比ではない。
だが、こちらも王族が控えている。ひなげし、秋海棠、ギンモクセイたちは鬼族の中でも最上級の魔力を有する。
あたりは大爆発が巻き起こり、鼓膜がおかしくなりそうだった。