私の可愛いスノードロップちゃん
真緋瑠と夕月はまじまじとその怪物を観察した。
頭には四本、鋭い角が生えている。ベージュ色の肌をした、その顔は醜く太っており、口は、ダックスフントのように垂れ下がった耳元まで裂け、サメのような牙が並んでいる。
その首には三段フリルの涎掛けが掛けられ、口からだらしなくこぼれる涎でべとついている。
でっぷりと太った体に似つかわしくない、ピンクのロリータ服が一番異様であり、その豪華な姫袖から覗く四本指の先には、殺傷能力の高そうな鋭い爪が生えている。しかし、足にはロリータ服からはおよそ縁のないピンクのクロックスサンダルを履かされている。何もかもがちぐはぐだ。
「可愛いでしょう?私のお人形さんよ」
「ゲヘ!」
「あ、あはは……よ、よく見ると可愛いね」
二人は笑みの形に口をひきつらせた。
「一番可愛いのはいい匂いですの。嗅いでみて」
見た目どうにも生ごみ臭そうな怪物なので、二人はためらったが、恐る恐る匂いを嗅いでみると……なんと、馨しい薔薇の香りがするではないか。
『いいにおいがする!』
「でしょう?この子には薔薇のサプリメントを飲ませて、薔薇のマウスウォッシュで口をすすいでもらってるから、全身から薔薇のいい匂いがしますの。ここまで育てるには苦労しましたわ」
そういわれてみると、なんだろう。心なしか可愛く見えてくる気がする。妙な中毒性を感じる。
そうこうしているうちに三人のもとに紅茶が運ばれてきた。三人が紅茶に口をつけると、三人の前に葵の両親も現れた。
「皆さんお揃いかな」
「ええ。紹介しますわ。夕月ちゃん、真緋瑠ちゃん、こちらが私の父。こちらが私の母。お父様、お母様、こちらが夕月ちゃんで、こちらが真緋瑠ちゃん」
葵が簡単に紹介すると、葵の両親は二人と握手をしながら挨拶した。
「葵といつも仲良くしてくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ、いつもお世話になってます」
しかし、やはりよく見れば葵の両親にも二本の角が生えている。いかつい顔つきの、絵本に出てくるような鬼の形相をした葵の父の額には、ドリルのようにねじくれた角が生えており、雪女のような青白い顔をした黒髪の葵の母の額には、鰹節のように滑らかな角が生えている。やはりここは、魔界なのだろうか。
「葵、どこまで説明したかな?」
「私たちが魔族だと説明したところですわ。あと、スノードロップちゃんも」
「そうか」というと、全員、ゆっくりと席に着いた。
頭には四本、鋭い角が生えている。ベージュ色の肌をした、その顔は醜く太っており、口は、ダックスフントのように垂れ下がった耳元まで裂け、サメのような牙が並んでいる。
その首には三段フリルの涎掛けが掛けられ、口からだらしなくこぼれる涎でべとついている。
でっぷりと太った体に似つかわしくない、ピンクのロリータ服が一番異様であり、その豪華な姫袖から覗く四本指の先には、殺傷能力の高そうな鋭い爪が生えている。しかし、足にはロリータ服からはおよそ縁のないピンクのクロックスサンダルを履かされている。何もかもがちぐはぐだ。
「可愛いでしょう?私のお人形さんよ」
「ゲヘ!」
「あ、あはは……よ、よく見ると可愛いね」
二人は笑みの形に口をひきつらせた。
「一番可愛いのはいい匂いですの。嗅いでみて」
見た目どうにも生ごみ臭そうな怪物なので、二人はためらったが、恐る恐る匂いを嗅いでみると……なんと、馨しい薔薇の香りがするではないか。
『いいにおいがする!』
「でしょう?この子には薔薇のサプリメントを飲ませて、薔薇のマウスウォッシュで口をすすいでもらってるから、全身から薔薇のいい匂いがしますの。ここまで育てるには苦労しましたわ」
そういわれてみると、なんだろう。心なしか可愛く見えてくる気がする。妙な中毒性を感じる。
そうこうしているうちに三人のもとに紅茶が運ばれてきた。三人が紅茶に口をつけると、三人の前に葵の両親も現れた。
「皆さんお揃いかな」
「ええ。紹介しますわ。夕月ちゃん、真緋瑠ちゃん、こちらが私の父。こちらが私の母。お父様、お母様、こちらが夕月ちゃんで、こちらが真緋瑠ちゃん」
葵が簡単に紹介すると、葵の両親は二人と握手をしながら挨拶した。
「葵といつも仲良くしてくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ、いつもお世話になってます」
しかし、やはりよく見れば葵の両親にも二本の角が生えている。いかつい顔つきの、絵本に出てくるような鬼の形相をした葵の父の額には、ドリルのようにねじくれた角が生えており、雪女のような青白い顔をした黒髪の葵の母の額には、鰹節のように滑らかな角が生えている。やはりここは、魔界なのだろうか。
「葵、どこまで説明したかな?」
「私たちが魔族だと説明したところですわ。あと、スノードロップちゃんも」
「そうか」というと、全員、ゆっくりと席に着いた。