私の可愛いスノードロップちゃん
「さあ、上がってくださいまし。靴はそのままで結構よ」
櫻国人の夕月と真緋瑠には、土足で屋敷に上がるのは気が引けたが、遠慮しながら恐る恐る土足で屋敷に上がった。
屋敷と呼ぶよりは城のような豪華な造りに、ここが墓場の下であることを忘れてしまう。二人はキョロキョロとあたりを見回した。真緋瑠も結構なお嬢様なのだが、さすがにここまでの屋敷はお目にかかったことがない。
「さあ、こちらへ」
葵に促されて入った部屋には、ソファーと豪華な椅子が何脚か、そして大きなテーブルが鎮座していた。三人が適当なところに座ると、数人の侍従たちが現れた。
「お二人はコーヒー?紅茶?豆の種類も茶葉もいくつか選べますわ。何がよろしくて?」
「え…っと、じゃあ、ダージリンで」
「あ、…アールグレイをお願いしますわ」
二人がおどおどしながら注文すると、
「じゃあ私はディンブラ・クォリティを」
と葵が言いつけた傍から侍従たちがさっと姿を消した。
「何からお話したらいいかしら…」
葵が迷っていると、真緋瑠が思い切って問うた。
「その…っ、葵さん、体の具合はよろしいの?最近葵さん元気がなかったから、私心配で…!」
「安心して、真緋瑠ちゃん。私、別に病気ではないのよ」
「じゃあ、どうして休学なんて…」
夕月の問いに、葵は一瞬ためらったが、思い切って前髪を掻き上げ、おでこを全開にした。そこには、ねじれた小さな角が二本生えていた。
「私、実は、人間ではないの。これはアクセじゃなくて、本物の角なんですの!」
これに真緋瑠と夕月は仰天した。今までに何度か、ちらちら見えたことがある。が、今までヘアピンだといわれてごまかされてきたので、そう信じていたのだ。
「人間じゃないって…それじゃ、一体何なの?」
「……魔族、ですわ。もっとわかりやすく言うと、鬼の国の一族。王族なんですの。…………私は、魔界の鬼の国の王族の末裔。お姫様なんですの」
「じゃ、じゃあ、葵さんのお父様は魔王なんですの?!」
そこが少しややこしいところである。どう説明しようか迷っていると、のっしのっしと小躍りしながら、ピンクのロリータ服を着た怪物が部屋に侵入してきた。
「ぎゃああああ!!!も、モンスターーー!!!」
真緋瑠と夕月が悲鳴を上げると、葵は、「ああ、大丈夫ですわ」と二人を落ち着かせ、ドレスを着たモンスターを手招いた。
「この子はスノードロップちゃん。私の可愛いかわいいペットですのよ。ご安心なさって。人を襲ったりはいたしませんわ」
そういって、葵は自分の座っているソファーの横に、スノードロップと呼ばれた怪物を座らせた。
「ね?おとなしいでしょう?」
「ゲヘ!」
しかし、怪物の鳴き声は汚らしい。
櫻国人の夕月と真緋瑠には、土足で屋敷に上がるのは気が引けたが、遠慮しながら恐る恐る土足で屋敷に上がった。
屋敷と呼ぶよりは城のような豪華な造りに、ここが墓場の下であることを忘れてしまう。二人はキョロキョロとあたりを見回した。真緋瑠も結構なお嬢様なのだが、さすがにここまでの屋敷はお目にかかったことがない。
「さあ、こちらへ」
葵に促されて入った部屋には、ソファーと豪華な椅子が何脚か、そして大きなテーブルが鎮座していた。三人が適当なところに座ると、数人の侍従たちが現れた。
「お二人はコーヒー?紅茶?豆の種類も茶葉もいくつか選べますわ。何がよろしくて?」
「え…っと、じゃあ、ダージリンで」
「あ、…アールグレイをお願いしますわ」
二人がおどおどしながら注文すると、
「じゃあ私はディンブラ・クォリティを」
と葵が言いつけた傍から侍従たちがさっと姿を消した。
「何からお話したらいいかしら…」
葵が迷っていると、真緋瑠が思い切って問うた。
「その…っ、葵さん、体の具合はよろしいの?最近葵さん元気がなかったから、私心配で…!」
「安心して、真緋瑠ちゃん。私、別に病気ではないのよ」
「じゃあ、どうして休学なんて…」
夕月の問いに、葵は一瞬ためらったが、思い切って前髪を掻き上げ、おでこを全開にした。そこには、ねじれた小さな角が二本生えていた。
「私、実は、人間ではないの。これはアクセじゃなくて、本物の角なんですの!」
これに真緋瑠と夕月は仰天した。今までに何度か、ちらちら見えたことがある。が、今までヘアピンだといわれてごまかされてきたので、そう信じていたのだ。
「人間じゃないって…それじゃ、一体何なの?」
「……魔族、ですわ。もっとわかりやすく言うと、鬼の国の一族。王族なんですの。…………私は、魔界の鬼の国の王族の末裔。お姫様なんですの」
「じゃ、じゃあ、葵さんのお父様は魔王なんですの?!」
そこが少しややこしいところである。どう説明しようか迷っていると、のっしのっしと小躍りしながら、ピンクのロリータ服を着た怪物が部屋に侵入してきた。
「ぎゃああああ!!!も、モンスターーー!!!」
真緋瑠と夕月が悲鳴を上げると、葵は、「ああ、大丈夫ですわ」と二人を落ち着かせ、ドレスを着たモンスターを手招いた。
「この子はスノードロップちゃん。私の可愛いかわいいペットですのよ。ご安心なさって。人を襲ったりはいたしませんわ」
そういって、葵は自分の座っているソファーの横に、スノードロップと呼ばれた怪物を座らせた。
「ね?おとなしいでしょう?」
「ゲヘ!」
しかし、怪物の鳴き声は汚らしい。