絶体絶命のピンチですの
みんなが戦っている隙を見て、葵は逃げ出そうとまた次元の扉を開こうとした。しかし編集長も下僕の小悪魔たちに守られて余裕ができた。目ざとくその動きを見て、高根に向かって叫んだ。
「撫子!その子を止めて!」
その瞬間、葵は無意識に反応してしまった。そう、<自分が呼ばれた>と反応してしまったのだ。
たちまち葵は直立の姿勢のままバタンとその場に勢いよく倒れた。
皆がその音に驚き、葵に注目した。
「あら?あらあら?まさか、あなたの名前って……?」
葵の本当の名――フルネームを≪マーガレット・マロウ・ナデシコ・グラジオラス≫という。三番目の<力ある真名>は、奇しくも、高根編集者と同じ、≪ナデシコ≫であった。
にわかに編集長の口元が笑みの形に吊り上がってゆく。
「あら?あら?あら?あなた、≪ナデシコ≫ちゃんだったの?」
編集長はたまらず高笑いをした。図らずも、力ある真名が判ってしまった。面白くて仕方がない。
高根は、急に倒れた葵に驚いて動けなかった。が、はっと我に返り、葵に駆け寄り抱きかかえた。
「どうしたの、葵ちゃん?大丈夫?」
ギンモクセイがすばやく葵に駆け寄り、高根を突き飛ばした。
「姫に寄るな、悪魔め!姫!姫!お気を確かに!」
ベゴニアとサフランも、まずいことになった、と唇を噛んだ。
「≪ナデシコ≫ちゃん、おいで、≪ナデシコ≫ちゃん。こっちに来てお写真撮りましょうね!」
編集長が真名を呼ぶたびに葵の体がびくんと跳ねる。そしてゆっくりと体を起こすと、ふらふらと編集長に向かって歩き出した。
「姫!行ってはなりません!」
ギンモクセイが葵を引き留めようと抱きしめたが、葵は無表情に目を見開いたまま、すごい力でギンモクセイを突き飛ばし、編集長のもとへと向かう。
「姫!」
「いい子ね≪ナデシコ≫ちゃん。そうよ、あなたはもう私だけのものよ」
葵の力ある真名が≪ナデシコ≫であることはギンモクセイたちも知らなかった事実だ。
「ええい、その名を呼ぶな!無礼者!」
ベゴニアの恫喝とともに放たれた魔力弾を合図に、葵が倒れたことで中断していた戦いが再開された。小悪魔たちも再び戦いを開始する。
「くっ、姫、≪葵≫姫ーーーーー!!!」
「撫子!その子を止めて!」
その瞬間、葵は無意識に反応してしまった。そう、<自分が呼ばれた>と反応してしまったのだ。
たちまち葵は直立の姿勢のままバタンとその場に勢いよく倒れた。
皆がその音に驚き、葵に注目した。
「あら?あらあら?まさか、あなたの名前って……?」
葵の本当の名――フルネームを≪マーガレット・マロウ・ナデシコ・グラジオラス≫という。三番目の<力ある真名>は、奇しくも、高根編集者と同じ、≪ナデシコ≫であった。
にわかに編集長の口元が笑みの形に吊り上がってゆく。
「あら?あら?あら?あなた、≪ナデシコ≫ちゃんだったの?」
編集長はたまらず高笑いをした。図らずも、力ある真名が判ってしまった。面白くて仕方がない。
高根は、急に倒れた葵に驚いて動けなかった。が、はっと我に返り、葵に駆け寄り抱きかかえた。
「どうしたの、葵ちゃん?大丈夫?」
ギンモクセイがすばやく葵に駆け寄り、高根を突き飛ばした。
「姫に寄るな、悪魔め!姫!姫!お気を確かに!」
ベゴニアとサフランも、まずいことになった、と唇を噛んだ。
「≪ナデシコ≫ちゃん、おいで、≪ナデシコ≫ちゃん。こっちに来てお写真撮りましょうね!」
編集長が真名を呼ぶたびに葵の体がびくんと跳ねる。そしてゆっくりと体を起こすと、ふらふらと編集長に向かって歩き出した。
「姫!行ってはなりません!」
ギンモクセイが葵を引き留めようと抱きしめたが、葵は無表情に目を見開いたまま、すごい力でギンモクセイを突き飛ばし、編集長のもとへと向かう。
「姫!」
「いい子ね≪ナデシコ≫ちゃん。そうよ、あなたはもう私だけのものよ」
葵の力ある真名が≪ナデシコ≫であることはギンモクセイたちも知らなかった事実だ。
「ええい、その名を呼ぶな!無礼者!」
ベゴニアの恫喝とともに放たれた魔力弾を合図に、葵が倒れたことで中断していた戦いが再開された。小悪魔たちも再び戦いを開始する。
「くっ、姫、≪葵≫姫ーーーーー!!!」