絶体絶命のピンチですの
「アラ、勘がいいのね。どうして私が悪魔だと分かったのかしら?」
編集長はすんなりと自分の正体を明かしたが、その場の誰もが、物の喩えだと思って失笑した。
「お嬢さん、お嬢さん。この人は確かに悪魔みたいな人だけど、編集長なんだよ。フフフフ…」
「ククク、見抜かれてる、編集長」
クスクスと笑いが漏れたが、葵と編集長の顔は真剣そのものだ。
「まさか、悪魔の匂いがわかる……なんて……?」
葵は内心舌打ちした。うっかり洩らした本音の呟きが、葵の正体も人外だと言い現わしてしまったからだ。葵は質問には答えず、問い返した。
「ここは、綺羅編集部じゃございませんわね?私を誘拐してどうするおつもり?」
「誘拐じゃないわ。あなたはここに履歴書を送ってくれたじゃないの。雑誌の撮影をするに決まってるじゃない」
「嘘おっしゃい!」
高根は緊迫する二人に割って入った。編集部が葵を読モにしたがっていることは、紛れもない事実なのだ。
「本当なのよ、葵ちゃん。確かにここは綺羅編集部じゃなくて、Devilteen編集部だわ。でも、雑誌の撮影なのは本当なの」
村主編集長は一歩踏み出して名乗った。
「ご挨拶が遅れたわね、葵ちゃん。私はDevilteen編集長、村主林檎よ。あなたを連れてきてくれたのは編集者の高根さん。あなたの担当編集者になってくれるからよろしくね」
さてと、と、村主編集長は一番訊きたかった質問を切り出した。
「じゃあ、あなたの本当のお名前、教えてくれる?」
「本当の名前?」
柳編集者は首を傾げた。
「倉地 葵です」
「違うでしょう?それは仮名でしょう?本当の名前があるはずよ。そう、誰にも言っちゃいけない本当の名前が」
「そんな名前ありません」
「強情ねえ……」
名前一つの話にただならぬ緊迫感を放つ二人に、スタッフ一同は顔を見合わせて首を傾げた。どうも、違う次元の話らしい空気を感じる。
「何て名前か、当ててみようか?スミレちゃん?ユリちゃん?ヒマワリちゃん?」
「やめてください!」
その瞬間、葵の手から魔力弾が放たれた。
編集長はすんなりと自分の正体を明かしたが、その場の誰もが、物の喩えだと思って失笑した。
「お嬢さん、お嬢さん。この人は確かに悪魔みたいな人だけど、編集長なんだよ。フフフフ…」
「ククク、見抜かれてる、編集長」
クスクスと笑いが漏れたが、葵と編集長の顔は真剣そのものだ。
「まさか、悪魔の匂いがわかる……なんて……?」
葵は内心舌打ちした。うっかり洩らした本音の呟きが、葵の正体も人外だと言い現わしてしまったからだ。葵は質問には答えず、問い返した。
「ここは、綺羅編集部じゃございませんわね?私を誘拐してどうするおつもり?」
「誘拐じゃないわ。あなたはここに履歴書を送ってくれたじゃないの。雑誌の撮影をするに決まってるじゃない」
「嘘おっしゃい!」
高根は緊迫する二人に割って入った。編集部が葵を読モにしたがっていることは、紛れもない事実なのだ。
「本当なのよ、葵ちゃん。確かにここは綺羅編集部じゃなくて、Devilteen編集部だわ。でも、雑誌の撮影なのは本当なの」
村主編集長は一歩踏み出して名乗った。
「ご挨拶が遅れたわね、葵ちゃん。私はDevilteen編集長、村主林檎よ。あなたを連れてきてくれたのは編集者の高根さん。あなたの担当編集者になってくれるからよろしくね」
さてと、と、村主編集長は一番訊きたかった質問を切り出した。
「じゃあ、あなたの本当のお名前、教えてくれる?」
「本当の名前?」
柳編集者は首を傾げた。
「倉地 葵です」
「違うでしょう?それは仮名でしょう?本当の名前があるはずよ。そう、誰にも言っちゃいけない本当の名前が」
「そんな名前ありません」
「強情ねえ……」
名前一つの話にただならぬ緊迫感を放つ二人に、スタッフ一同は顔を見合わせて首を傾げた。どうも、違う次元の話らしい空気を感じる。
「何て名前か、当ててみようか?スミレちゃん?ユリちゃん?ヒマワリちゃん?」
「やめてください!」
その瞬間、葵の手から魔力弾が放たれた。