第二十六話 行くな、アントン!
その日の夜、アントンは夢を見た。TP工房と思われる巨大な工場を見学する夢だ。工場内ではベルトコンベアに銃のパーツが流れていき。大量の銃が作られていた。
「その銃にあなたの魔法をかけてくれないか」
と、工場の職員に声を掛けられ、アントンがベルトコンベアに手をかざすと、銃が勝手に組み立てられていった。工場の職員はそのうちの一丁を手に取ると、銃を連射して工場の職人たちを皆殺しにしてしまった。
「これであなたの邪魔をする者はいなくなりました。この工場はあなたのものですよ」
職員はにっこり微笑み、アントンはなぜだか嬉しかった。
「じゃあTP工房はこれからマクソン工房に改めて、ジェイクが社長になれるんですね!」
アントンが目を覚ますと、そこはTP工房ではなくマクソン工房の自室だった。不思議と先ほどの夢に嫌な印象はなかった。むしろビックチャンスを掴んだ高揚感すらあった。
「チャンス……なのかな」
アントンは枕元に置いていたTP工房からの手紙をもう一度まっさらな気持ちで読んでみた。内容はただの工場見学と研修の案内だ。他に引き抜きたいだの、よくもうちの銃を魔改造したなだの、余計なことは一切書かれていない。もしかしたら本当にただの卸業者を対象とした勉強会かもしれない。
アントンはTP工房に参加の意を手紙で表明した。
「TP工房ほどの大企業なら、得るものも大きいかもしれない。何か吸収してこれたら」
すると数日後、アントンの元にスケジュールを知らせる手紙が届いた。
「ジェイク、TP工房の工場見学、行ってみようと思います」
アントンの言葉に、ジェイクは仰天した。
「え?!行かねえんじゃなかったのかよ!」
アントンはジェイクを手で制しながら、落ち着いて話をしようと宥めた。
「改めてTP工房の手紙を読んだら、別になんてことはない工場見学の案内でした。だから、卸売業者を相手にした研修会なのではないかと」
「馬鹿!そんなわけねえだろ!何年もこの仕事してるが研修会の手紙なんか一回も来たことねえぞ!罠だ!」
「落ち着いてくださいジェイク。もし何か含みがあっても、僕にはカスタム銃と魔法弾があります。銃職人を取って食おうとしたら自分の身が危ないことぐらい向こうも解りますよ」
「工場の奴らによってたかって撃たれたら死ぬぞ!」
「落ち着いてくださいジェイク。なんで殺される前提なんですか」
「だって、お前……!」
「その銃にあなたの魔法をかけてくれないか」
と、工場の職員に声を掛けられ、アントンがベルトコンベアに手をかざすと、銃が勝手に組み立てられていった。工場の職員はそのうちの一丁を手に取ると、銃を連射して工場の職人たちを皆殺しにしてしまった。
「これであなたの邪魔をする者はいなくなりました。この工場はあなたのものですよ」
職員はにっこり微笑み、アントンはなぜだか嬉しかった。
「じゃあTP工房はこれからマクソン工房に改めて、ジェイクが社長になれるんですね!」
アントンが目を覚ますと、そこはTP工房ではなくマクソン工房の自室だった。不思議と先ほどの夢に嫌な印象はなかった。むしろビックチャンスを掴んだ高揚感すらあった。
「チャンス……なのかな」
アントンは枕元に置いていたTP工房からの手紙をもう一度まっさらな気持ちで読んでみた。内容はただの工場見学と研修の案内だ。他に引き抜きたいだの、よくもうちの銃を魔改造したなだの、余計なことは一切書かれていない。もしかしたら本当にただの卸業者を対象とした勉強会かもしれない。
アントンはTP工房に参加の意を手紙で表明した。
「TP工房ほどの大企業なら、得るものも大きいかもしれない。何か吸収してこれたら」
すると数日後、アントンの元にスケジュールを知らせる手紙が届いた。
「ジェイク、TP工房の工場見学、行ってみようと思います」
アントンの言葉に、ジェイクは仰天した。
「え?!行かねえんじゃなかったのかよ!」
アントンはジェイクを手で制しながら、落ち着いて話をしようと宥めた。
「改めてTP工房の手紙を読んだら、別になんてことはない工場見学の案内でした。だから、卸売業者を相手にした研修会なのではないかと」
「馬鹿!そんなわけねえだろ!何年もこの仕事してるが研修会の手紙なんか一回も来たことねえぞ!罠だ!」
「落ち着いてくださいジェイク。もし何か含みがあっても、僕にはカスタム銃と魔法弾があります。銃職人を取って食おうとしたら自分の身が危ないことぐらい向こうも解りますよ」
「工場の奴らによってたかって撃たれたら死ぬぞ!」
「落ち着いてくださいジェイク。なんで殺される前提なんですか」
「だって、お前……!」