第二十二話 学校と再会とお宝探し

 歩を進めると、思ったより沢山のタンダンライトが光り輝いた。それを片っ端から掘り出す。この中に数万ファルスのお宝が紛れていれば大儲けだ。
「こんなにたくさん宝石が見つかったら大儲けじゃん!」
「実はな、宝石はそんなに珍しいものじゃないんだ。その多くはコレクターの研究材料として数ファルスぐらいで手軽に取引されているんだぜ」
「数ファルス……」
 大金持ちの夢を見たロゼッタの夢を、即座に現実の数字で打ち壊すアンダース。さらにヨッケが追い打ちをかける。
「この前の鉱山では売り上げの総額が五二ファルスだったな」
「五二ファルス……」
「でも!中には百ファルス以上のお宝も紛れているんだ!その一獲千金の夢が、廃坑探しにはあるんだよ!」
 アンダースが握りこぶしをかざして力説すると、なぜだかロゼッタも夢を見れそうな気がしてきた。
「探そう!百ファルス!」
「オー!」

 さらに歩を進めると、坑道の途中に鍵のかかったドアが現れた。ここは鍵屋のヨッケの出番である。
「鍵が錆びついて開かない……開いた!」
 ギギイ~ッと錆びついた音を立ててドアが開く。マリアが先頭に立ってその中を照らす。……と。
「うわあーーー!!虹色のクリスタルクラスターだ!」
 そこは生活の痕跡の残る小部屋で、壁に取り付けたテーブルの上にはそこかしこに虹色に輝くクリスタルのクラスターが鎮座していた。それも、その数は十塊以上。
「待て。罠があるかもしれない」
 慎重に摺り足で歩を進めるが、その部屋には埃をかぶった生活道具とクリスタルクラスターしかないようだった。
「これ、売るといくらになるの?」
「間違いなく百ファルス以上だ!」
 部屋中に歓声が響いた。おそらく今まで腕のいい鍵屋も現れず、錆びついた鍵を開ける指先技を持つ者もいなかったことから、この部屋は忘れられていたのだろう。
「一個貰っていい?」
「もちろん、こんなにいっぱいあるんだ。小さいのは各自お土産にして、大きいのだけ売ろう」
 斯くして、久しぶりの大冒険は大収穫だった。街に帰ってきて宝石商に見せると、総額三二〇ファルスの売り上げだった。
 ロゼッタは「また今度も冒険に連れてって」と約束し、パーティーは一旦解散した。

「嬉しそうだなロゼッタ?」
 食卓で冒険譚を得意げに語るロゼッタに、ジェイクも嬉しそうだ。
「嬉しいに決まってるよ!また冒険に行くんだ!学校も冒険も大好き!」
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