第二十一話 ロゼッタ危機一髪(後編)

「ロゼッタ、悪かった。お前を危険な目に遭わせちまって……。キッパリ断ればよかった。怖かったろう。ごめんな」
 ジェイクの武器屋に帰ってきた四人は、二階のリビングに集まった。ジェイクはまだ意識がはっきりしないロゼッタに深々と謝罪した。
「謝らないでジェイク。あたしもうっかりしていて、悪かったんだよ。あの人たちわざとあたしが寝るように仕向けて来てさ」
「でも、よく今までこういう事件に巻き込まれずにやってこれましたよね。こうなる懸念は最初からありましたが、油断するほど今まで何もなかったのは幸いでした」
 と、アントン。確かにロゼッタのレンタル回数は両手で数えきれないほど行ってきたが、よく無事で済んだものだ。今回の事件は起こるべくして起こったとも考えられる。
「やっぱり、危ねーよなあ……ロゼッタのレンタルはこれで終わりにしよう。危険すぎる」
ジェイクの判断に、ロゼッタは抗議した。
「そんな!今回だけだよ、危なかったのは!あたし今まではちゃんと働いたもん!またレンタルやらせて!今度はちゃんとする!」
「駄目だ。今度またこんなことがあったらその時は助けられるとは限らねえ。どれだけ心配したと思ってるんだ」
 意思を曲げないジェイクにロゼッタは食い下がる。
「仲良くなった人たちもいたんだよお、仲良しさんとなら行ってもいいことにしない?」
「アリッサさん、どう視ます?」
 アントンがアリッサに助言を乞う。アリッサは首を横に振った。
「危険は今回だけに限りません。このままだと命の危険に晒される可能性もあります」
「だとよ。アリッサが言うんなら間違いねーよ」
「そんなあ……」
 そしてジェイクは「ロゼッタ、お前にはまた別の仕事を振るから、そっちで頑張ってくれねえか?」と提案した。
 ロゼッタはしばらく沈黙して俯いていた。思い返せば、危険なシーンは幾度となくあった。間一髪で助かってきたようなものだ。危険な目に遭わせられないというのなら、守る必要があるというのなら、もう今回のように迷惑をかけるわけにはいかない。
「……解った。レンタルに行くのはやめる」
 大人三人はホッと安堵の溜息をついた。

 その後、ロゼッタはジェイクたちの身の回りの家事に専念するようになった。大活躍に称賛され褒められる毎日は輝かしかったが、美しい思い出として胸に秘めておこう。
「ああ、楽しかったなあ、冒険」
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