第十三話 ロゼッタ貸します(後編)

「へえー、すごいなロゼッタ。お手柄じゃないか」
 ジェイクの武器屋に帰ってきて、アンダースの報告を聞いたジェイクはロゼッタを素直に褒めた。ロゼッタは身をよじって照れている。
「いやあ~、それほどでもお~」
 アンダースはジェイクに打診してみた。
「なあ、あの子、うちのパーティーにくれないか?是非一緒に冒険したい」
 ジェイクはそれを聞いて顔を曇らせた。ロゼッタはあくまで預かっている迷子だ。親が見つかるまで預からなくてはならない。そう、警察に指導されている。
「それは駄目だ。警察にロゼッタの話を通しているんだ。親が見つかるまで特別に預かっている子なんだよ。くれてやるわけにはいかない」
 アンダースは残念そうに笑い、
「そうか……。それじゃ残念だな。じゃあ、また難しいクエストに出かけるときはロゼッタを借りるよ。今度は依頼料も弾むよ」
「本当か?!わりぃな。サンキュ」
 そう話すジェイクとアンダースの横で、鍵屋のヨッケがロゼッタをじっと見つめていた。ロゼッタはヨッケの視線には気づかず、ジェイクに頭を擦り付けベタベタくっついている。ヨッケは苦い顔をして、目を逸らせた。
 アンダース一行が店を立ち去った後、ロゼッタはジェイクに腕を絡ませて訊いた。
「ねえ~ジェイク?あたし役に立ってる?」
 ジェイクはロゼッタの頭を撫で、
「ああ、大手柄だよ。お前のレンタルは商売になりそうだ。すっげー役に立ってる」
と、彼女を褒めた。
 ロゼッタは夢が現実になったと喜び、数日は興奮冷めやらぬ様子だったという。
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