第二話 アントンは優秀な銃職人
アントンはジェイクの工房の奥に通され、作業台に添えつけられた椅子を勧められると、恐る恐るそれに腰掛けた。
「履歴書は?」
「真っ白ですが……どうぞ」
アントンから差し出された履歴書はなるほど真っ白だ。一度鉄道会社の技師になったようだが、半年もたたずに辞めて以来、これまで5年間何もしていないようだ。
「なんで鉄道会社辞めたんだ?」
「それが……動力部の火が毛に引火して大やけどを負ってしまい、入院したため解雇になりました」
「ああ……動力部の仕事は小人族 か猿族 しかできないからな」
毛深い種族は毛に引火して炎上・火傷の恐れがあるため火気の近くに行くような仕事には就けない。銃が扱えないのも同じ理由だ。
「それから就活はしていないのか?」
「見た目で門前払いでした。犬族というわけでもないので、犬の特性もない犬族のような猿族では何の役にも立たないんでしょう。特に、その、顔が気持ち悪いと……」
ジェイクは何も言えなかった。同情してしまうが、かといって励ます言葉を彼は持っていなかった。
「……なるほど。人間関係はどうだ?」
「見た目でアウトなので人と仲良くなった試しがないので判りません」
なるほど、これは深刻だ。雇ってやらない限り彼は一生ニートで引きこもりの人生だろう。同情はするが、技術のない人間を雇う余裕はジェイクにもない。
(面接じゃ何も解んねえな……。自信無さすぎ。スキルを見てみるしかねえな)
「おし、解った。じゃあ技能テストだ。今から渡す物を組み立てたり、ありあわせの材料で修理して見ろ。時間は3時間やる」
そしてジェイクは何やらガチャガチャと硬いものがぶつかる音を立てる木箱を運んできた。木箱は机から取り出した引き出しのようにフタがなく、中の様子は一目瞭然だった。箱の中には……ガラクタがおびただしく入っていた。
「何のパーツだと思う?」
「銃ですか」
「ご名答。ちゃんと動くように組み立ててみろ」
アントンは意外と迷うことなく部品を手に取り、手渡された工具でてきぱきと組み立て始めた。箱の中には数セットの銃のパーツがバラバラに入っているにもかかわらず、一切の迷いがなかった。
(こいつ、慣れてるな……?)
そして十数分で一丁完成させ、「他も全部組み立てますか?」と聞いてきた。
「時間は沢山あるから、作れなくなるまでありったけ作って見せてくれよ」
「解りました」
また迷うことなく組み立てる。小一時間の間に四丁の銃が出来上がり、余ったパーツはネジぐらいのものだった。ジェイクはピュウ!と口笛を吹いた。
「履歴書は?」
「真っ白ですが……どうぞ」
アントンから差し出された履歴書はなるほど真っ白だ。一度鉄道会社の技師になったようだが、半年もたたずに辞めて以来、これまで5年間何もしていないようだ。
「なんで鉄道会社辞めたんだ?」
「それが……動力部の火が毛に引火して大やけどを負ってしまい、入院したため解雇になりました」
「ああ……動力部の仕事は
毛深い種族は毛に引火して炎上・火傷の恐れがあるため火気の近くに行くような仕事には就けない。銃が扱えないのも同じ理由だ。
「それから就活はしていないのか?」
「見た目で門前払いでした。犬族というわけでもないので、犬の特性もない犬族のような猿族では何の役にも立たないんでしょう。特に、その、顔が気持ち悪いと……」
ジェイクは何も言えなかった。同情してしまうが、かといって励ます言葉を彼は持っていなかった。
「……なるほど。人間関係はどうだ?」
「見た目でアウトなので人と仲良くなった試しがないので判りません」
なるほど、これは深刻だ。雇ってやらない限り彼は一生ニートで引きこもりの人生だろう。同情はするが、技術のない人間を雇う余裕はジェイクにもない。
(面接じゃ何も解んねえな……。自信無さすぎ。スキルを見てみるしかねえな)
「おし、解った。じゃあ技能テストだ。今から渡す物を組み立てたり、ありあわせの材料で修理して見ろ。時間は3時間やる」
そしてジェイクは何やらガチャガチャと硬いものがぶつかる音を立てる木箱を運んできた。木箱は机から取り出した引き出しのようにフタがなく、中の様子は一目瞭然だった。箱の中には……ガラクタがおびただしく入っていた。
「何のパーツだと思う?」
「銃ですか」
「ご名答。ちゃんと動くように組み立ててみろ」
アントンは意外と迷うことなく部品を手に取り、手渡された工具でてきぱきと組み立て始めた。箱の中には数セットの銃のパーツがバラバラに入っているにもかかわらず、一切の迷いがなかった。
(こいつ、慣れてるな……?)
そして十数分で一丁完成させ、「他も全部組み立てますか?」と聞いてきた。
「時間は沢山あるから、作れなくなるまでありったけ作って見せてくれよ」
「解りました」
また迷うことなく組み立てる。小一時間の間に四丁の銃が出来上がり、余ったパーツはネジぐらいのものだった。ジェイクはピュウ!と口笛を吹いた。