第一話 ジェイクの武器屋へようこそ!
すると、猫族の店主は真面目な顔になり、猿族の男に目を合わせた。
「ところでよお、本当に安物でいいのかい?うちには使い捨ての安物も無いことはないが、もっと掘り出し物がいっぱいあるんだぜ?」
猿族の男がショウケースに目を落とすと、最前列・最上段に置かれた使い捨て魔法銃の奥に、気になるエンブレムの拳銃を見つけた。
「こ、このエンブレムは……伝説のTP工房のフリントロック式銃……!こんな年代物まだ売っているのか!おや、その奥のは、これは珍しい。同社が一時期で製造を止めた限定物のフリントロックリボルバーじゃないか!プレミアものだぞ!ど、どうしてこんな小さな武器屋にこんなレアものが落ちているんだ?」
店主はフフフと笑うと胸を張って名乗った。
「そりゃあそうさ!老舗武器屋・マクソン工房の六代目、世界中のマニアックな武器を専門に取り扱う知る人ぞ知る名店・ジェイク様の武器屋なんだからな!」
「へ―そうなのか。初めて聞いた」
猿族の男の薄い反応に、店主の猫族・ジェイクは盛大にくずおれた。あまりにも知名度が低い。
夢中でショウケースに張り付いていた男だったが、最下段の手前に、ヒョウ柄のテクスチャが彫り込まれたマグナムを見つけた。
「む!これは……!このヒョウ柄のテクスチャはベイズ工房の五六式マグナム魔法銃じゃないか!子供の時新聞広告で見て憧れてたんだよな……!」
「お、そいつは銘品中の銘品だぜ。お目が高いねえ」
「ちょっと触ってみていいかな?」
ジェイクがショウケースの鍵を開け、男の手に銃を握らせると、男は恍惚の表情で拳銃を嘗め回すように眺めた。
「う、美しい……。ああ、本物はこんなに大きくてずっしりしているのか……。この手触りもワイルドで一点もの級だな。憧れの銃が、こんなところに……」
「買うかい?」
「買う!」
即答だった。その鼻っぱしにジェイクはプライスカードを突きつけた。
「まいどあり」
「む?!嘘だろ、〇が多すぎないか?」
「限定品だからねえ……」
男は銃をショウケースの上に置き、動物園のチンパンジーのごとくうろうろ歩き回った。両手で頭を抱えたり、口元を押さえたり、腕組みをしたり、せわしなく動く様子から見るに、かなり葛藤しているようだ。
「でもなあ……でもなあ……!……でもなあ。……ああ、でも!でも!」
そしてハッと顔を上げ、意を決して「割賦で払う!」と宣言した。
「頭金は有り金全部だ。どのぐらいある?」
「致し方ない、これで手持ちは全部だ!持って行け!」
「お買い上げありがとうございます。では、割賦契約書と、拳銃所持許可申請書にご記入ください。身分証あります?」
男は「必ず残金は払いに来る」と、目を潤ませながら書類に記入していた。その涙は、有り金全てを失った悲しみなのか、お宝を手に入れた喜びなのか、ジェイクには判別できなかった。
「ところでよお、本当に安物でいいのかい?うちには使い捨ての安物も無いことはないが、もっと掘り出し物がいっぱいあるんだぜ?」
猿族の男がショウケースに目を落とすと、最前列・最上段に置かれた使い捨て魔法銃の奥に、気になるエンブレムの拳銃を見つけた。
「こ、このエンブレムは……伝説のTP工房のフリントロック式銃……!こんな年代物まだ売っているのか!おや、その奥のは、これは珍しい。同社が一時期で製造を止めた限定物のフリントロックリボルバーじゃないか!プレミアものだぞ!ど、どうしてこんな小さな武器屋にこんなレアものが落ちているんだ?」
店主はフフフと笑うと胸を張って名乗った。
「そりゃあそうさ!老舗武器屋・マクソン工房の六代目、世界中のマニアックな武器を専門に取り扱う知る人ぞ知る名店・ジェイク様の武器屋なんだからな!」
「へ―そうなのか。初めて聞いた」
猿族の男の薄い反応に、店主の猫族・ジェイクは盛大にくずおれた。あまりにも知名度が低い。
夢中でショウケースに張り付いていた男だったが、最下段の手前に、ヒョウ柄のテクスチャが彫り込まれたマグナムを見つけた。
「む!これは……!このヒョウ柄のテクスチャはベイズ工房の五六式マグナム魔法銃じゃないか!子供の時新聞広告で見て憧れてたんだよな……!」
「お、そいつは銘品中の銘品だぜ。お目が高いねえ」
「ちょっと触ってみていいかな?」
ジェイクがショウケースの鍵を開け、男の手に銃を握らせると、男は恍惚の表情で拳銃を嘗め回すように眺めた。
「う、美しい……。ああ、本物はこんなに大きくてずっしりしているのか……。この手触りもワイルドで一点もの級だな。憧れの銃が、こんなところに……」
「買うかい?」
「買う!」
即答だった。その鼻っぱしにジェイクはプライスカードを突きつけた。
「まいどあり」
「む?!嘘だろ、〇が多すぎないか?」
「限定品だからねえ……」
男は銃をショウケースの上に置き、動物園のチンパンジーのごとくうろうろ歩き回った。両手で頭を抱えたり、口元を押さえたり、腕組みをしたり、せわしなく動く様子から見るに、かなり葛藤しているようだ。
「でもなあ……でもなあ……!……でもなあ。……ああ、でも!でも!」
そしてハッと顔を上げ、意を決して「割賦で払う!」と宣言した。
「頭金は有り金全部だ。どのぐらいある?」
「致し方ない、これで手持ちは全部だ!持って行け!」
「お買い上げありがとうございます。では、割賦契約書と、拳銃所持許可申請書にご記入ください。身分証あります?」
男は「必ず残金は払いに来る」と、目を潤ませながら書類に記入していた。その涙は、有り金全てを失った悲しみなのか、お宝を手に入れた喜びなのか、ジェイクには判別できなかった。