第二十三話 見つけたよ、ファティマ

 カスパールはファティマの手を引いて、ベッドに誘導しようとした。その手を振り払うファティマ。
 「誰が粗チンインポ野郎のあんたなんかに抱かれるものですか。あたしを汚さないで。あたし今超身体綺麗だから。汚らわしい」
 あの大人しかったファティマの言葉が汚くなっていることにカスパールは驚いた。きっと悪党と一緒にいて毒されたのだろう。
 「そんな汚い言葉を使うもんじゃないよ、ファティマ。僕たちは婚約してるんだ。何も汚いことはない」
 ファティマは苛立った。
 「汚いわよ!気持ち悪い!!親同士が勝手に決めたって言ってるでしょ?!あたしは婚約したつもりはないわ!好きでもない男に汚されたくないって言ってんのよこのチンポ野郎!!」
 その言葉にカスパールの堪忍袋の緒が切れた。こうなったらたとえ乱暴な手段に出てもファティマに思い知らせてやらなければ。
 「ファティマ!いいから僕に抱かれるんだ!一回抱かれたら君もきっと解ってくれる!」
 「何も解りたくないわね!触らないで!汚いって言ってんのよ!」
 カスパールはファティマを横抱きにしてベッドに押し倒し、ブラウスを引き裂いた。ファティマの小ぶりな胸があらわになる。
 「嫌――!!やめて!!このチンポ野郎!!きーたーなーい!!」
 「大人しくしろ!」
 カスパールはベッドの枕元にあった万年筆でファティマを脅した。だがファティマはその手を払いのけ、カスパールの目に突き刺す!
 「うぐっ!何を……!」
 カスパールの力が緩んだ隙にファティマはカスパールの下から逃げ出し、そばにあったワインの瓶で盲滅法めくらめっぽうにカスパールの頭を殴った。
 「ファティマ、ごめん、やめ、痛い」
 そしてカスパールが動かなくなるまで殴り続け、死んだのを確認すると、ファティマはスマートフォンに手を伸ばした。
 「警察ですか?あたし、人を殺しました。逮捕しに来てください……」
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