やけに月の明るい夜に 第一部

 その世界には月が6つある。
 朝日とともに一日を告げる「かはたれ月」。
 正午を告げる時に昇る「午の月」。
 一日の終わりを告げる「たそかれ月」。
 夕餉の葡萄酒を酌み交わす時に昇る「葡萄酒月」。
 日付の変更を告げる「子の月」。
 草木も眠る深夜に昇る「丑の月」。

 そして、人の肌も6種類の色がある。
 世界で最も美しいとされ、支配階級に位置する、青い色素を持った人種、青色せいしょく人種。通称青人あおひと
 赤い色素、または黒い色素を中程度持ち、黄色い肌をした人種、黄色人種。通称黄人きいひと
 黒い色素を持ち、赤道付近の暑い地域に生活し、陽気な気質を持つ人種、黒色人種。通称黒人こくじん
 赤い色素を持つが、多人種との混血が進み、純血の人口は数少なくなっている、絶滅の危機に瀕する人種、赤色せきしょく人種。通称赤人あかひと
 全ての色素に存在するが、高緯度の寒い地域に生活し、色素が薄いため白い肌を持つ薄色はくしょく人種。通称薄人はくじん
 そして、種の起源が他の人類と違うとされ、緑色の色素を持ち、瞳孔が縦に長く裂けた目を持つ、緑色りょくしょく人種。通称緑人りょくじん

 この世界でもまた人種差別や民族、宗教の対立で争いは絶えなかった。

 ここに、異世界から一人の少女と一人の少年が降り立った。
 神は二人に告げた。世界は今、脅威に晒されている。悪の親玉である堕天使オメガを討伐せよ、と。
 少年と少女はこのやけに月の明るい惑星で、やがて世界の真実に辿り着く。
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