第十二幕
「貴様がヘンルーダとやらか。想像通りの下卑た面構えだな」
魔王はヘンルーダを後ろ手に縛り、魔王の前に跪かせました。
「ふーん、いい物を持ってるじゃないか。いかにも王様らしいな。私もこういうものが欲しかったんだ」
魔王はヘンルーダの宝石の笏を弄びながら言いました。
ヘンルーダは命乞いをしました。
「頼む。命ばかりは助けてくれ」
魔王はその命乞いに、にんまりと笑みました。
「おう、おう、死にたくないか。そうだな、死にたくはあるまい。いいぞ、貴様の命は保障しよう」
「ほ……本当に?」
「約束しよう。魔族は人間と違って嘘や約束違反は絶対にしない。絶対にだ。それに、貴様を簡単に死なせたら私が面白くないでな」
「……?」
魔王はヘンルーダの反応を心から楽しんでいるようでした。
「ときに、ヘンルーダよ。なぜ何の関係も無いはずの我が国に攻め入り、私の可愛いスミレに手を出したのだ?」
魔王はずっと気になっていた質問をぶつけました。
「そ、それは……貴様らの国から、怪物がやってきて……。スミレをくれてやると言ってきたのだ」
魔王は宝石の笏をヘンルーダの頬に押し当て、ぐりぐりと捻じ込みました。
「口の利き方がなってないなあ。貴様は負けたのだ。敗者はそれ相応の口の利き方をせねば、罪がどんどん重くなるぞ?ん?ん?」
「あ、貴方様の国から、貴方様の国民がやってこられて……。スミレ様を私にくださると……」
魔王は思案を巡らせました。確かにスミレをよく思わない勢力がいることは把握していましたが、そこから動いたものが思い当りませんでした。
「そいつはどこにいる?」
「はい、地下牢に捕らえております……」
魔王は部下に「地下牢に繋がれている魔族を連れて来い」と命じました。
「貴様、私の記憶にない男だな。どこからの差し金で余計な真似をしてくれた?」
地下牢に繋がれていた魔族は、手枷を嵌められたまま魔王の前に跪かせられました。
「それだけは、如何に魔王様といえど、お答えすることはできません」
魔族が口を割ろうとしないので、魔王は魔族の角に手をかけました。
「喋りたくなければ喋りたくなるようにするだけだ」
魔王は手に力を込めると、魔族の角を折りました。魔族にとって、角は急所でした。魔族はもんどりうちました。
「ぎゃああああああああああ!!!!」
「まずは一本。さて、大人しくしろ、もう一本……!」
「オーキッド陛下です!!オーキッド王太后様の仰せです!!」
魔族はたまらず白状しました。魔王はその名前に仰天しました。
「母上……だと?」
魔王はヘンルーダを後ろ手に縛り、魔王の前に跪かせました。
「ふーん、いい物を持ってるじゃないか。いかにも王様らしいな。私もこういうものが欲しかったんだ」
魔王はヘンルーダの宝石の笏を弄びながら言いました。
ヘンルーダは命乞いをしました。
「頼む。命ばかりは助けてくれ」
魔王はその命乞いに、にんまりと笑みました。
「おう、おう、死にたくないか。そうだな、死にたくはあるまい。いいぞ、貴様の命は保障しよう」
「ほ……本当に?」
「約束しよう。魔族は人間と違って嘘や約束違反は絶対にしない。絶対にだ。それに、貴様を簡単に死なせたら私が面白くないでな」
「……?」
魔王はヘンルーダの反応を心から楽しんでいるようでした。
「ときに、ヘンルーダよ。なぜ何の関係も無いはずの我が国に攻め入り、私の可愛いスミレに手を出したのだ?」
魔王はずっと気になっていた質問をぶつけました。
「そ、それは……貴様らの国から、怪物がやってきて……。スミレをくれてやると言ってきたのだ」
魔王は宝石の笏をヘンルーダの頬に押し当て、ぐりぐりと捻じ込みました。
「口の利き方がなってないなあ。貴様は負けたのだ。敗者はそれ相応の口の利き方をせねば、罪がどんどん重くなるぞ?ん?ん?」
「あ、貴方様の国から、貴方様の国民がやってこられて……。スミレ様を私にくださると……」
魔王は思案を巡らせました。確かにスミレをよく思わない勢力がいることは把握していましたが、そこから動いたものが思い当りませんでした。
「そいつはどこにいる?」
「はい、地下牢に捕らえております……」
魔王は部下に「地下牢に繋がれている魔族を連れて来い」と命じました。
「貴様、私の記憶にない男だな。どこからの差し金で余計な真似をしてくれた?」
地下牢に繋がれていた魔族は、手枷を嵌められたまま魔王の前に跪かせられました。
「それだけは、如何に魔王様といえど、お答えすることはできません」
魔族が口を割ろうとしないので、魔王は魔族の角に手をかけました。
「喋りたくなければ喋りたくなるようにするだけだ」
魔王は手に力を込めると、魔族の角を折りました。魔族にとって、角は急所でした。魔族はもんどりうちました。
「ぎゃああああああああああ!!!!」
「まずは一本。さて、大人しくしろ、もう一本……!」
「オーキッド陛下です!!オーキッド王太后様の仰せです!!」
魔族はたまらず白状しました。魔王はその名前に仰天しました。
「母上……だと?」