第十一幕
混乱する廃墟前で、クレマチスは魔王に無実を訴えました。
「確かにここは誰も使っていないという情報だったのです。信じてください!俺はただ、スミレ様とお子様にここで休んでいただこうと!」
魔王は厳しい顔を解きません。
「黙れ。貴様が図っているだろうことは判っていた。驚きはせんが、我らを嵌めようとしたことは万死に値する」
スミレはクレマチスを擁護しました。
「彼は嘘を言っていない!彼は最初からわたしをここに匿おうとしてくれていたんだ!ここに罠を張っていたとしたらわたしをここに連れてこようなんてしない!」
「さあどうかな。スミレをここに匿って、人質に取り、何か要求してやろうという考えもあったんじゃないのかな。そのための戦力をここに集めていたのかもしれん」
「ご、誤解です!」
魔王の推察を聞くと、スミレは裏切られたような目でクレマチスを見ました。そんな……違う……!クレマチスは疑いを晴らそうと、そばに転がっていた剣を取り、マロニエ兵に立ち向かってゆきました。
「信じてください!俺はスミレ様の味方です!」
クレマチスはさすがの剣捌きでマロニエ兵を退けましたが、彼は処刑台から逃げてきたままの姿でした。むき出しの肌は敵の剣の前にはあまりにも脆いものでした。彼は敵の剣に無残にも切り裂かれ、地に伏しました。
「クレマチス―――――!!!!」
スミレは魔王に赤子を預けて馬から降り、クレマチスに駆け寄りました。周囲では激しい戦闘が繰り広げられていましたので、スミレは彼を安全なところに引きずり、必死に声を掛けました。
「クレマチス、死ぬな、クレマチス!」
クレマチスは薄く目を開け、「信じて……ください……」と呟きました。
「信じるさ、お前を疑ってなんかいない!わたしを助けてくれたんだ、信じてる!」
待ってろ、というと、スミレは精神を集中させました。赤子の蘇生の時のように、魔法でクレマチスを直してやろうとしたのです。しかし。
「あ、あれ?なんでだ?魔法が使えない!」
スミレの掌からは淡い光が出るものの、彼を癒すほどの力はありませんでした。仕方ないのでスミレは回復役を呼びました。
「誰か!彼を癒してやってくれ!」
「スミレ様……いいんです、俺は助からない」
クレマチスは諦めていました。スミレはそんな彼を叱咤しました。
「そんなこと無い!大丈夫だ、魔族には魔法で怪我を直してくれる奴がいる!」
気を揉むスミレの手を、クレマチスは掴み、彼女に問いました。
「確かにここは誰も使っていないという情報だったのです。信じてください!俺はただ、スミレ様とお子様にここで休んでいただこうと!」
魔王は厳しい顔を解きません。
「黙れ。貴様が図っているだろうことは判っていた。驚きはせんが、我らを嵌めようとしたことは万死に値する」
スミレはクレマチスを擁護しました。
「彼は嘘を言っていない!彼は最初からわたしをここに匿おうとしてくれていたんだ!ここに罠を張っていたとしたらわたしをここに連れてこようなんてしない!」
「さあどうかな。スミレをここに匿って、人質に取り、何か要求してやろうという考えもあったんじゃないのかな。そのための戦力をここに集めていたのかもしれん」
「ご、誤解です!」
魔王の推察を聞くと、スミレは裏切られたような目でクレマチスを見ました。そんな……違う……!クレマチスは疑いを晴らそうと、そばに転がっていた剣を取り、マロニエ兵に立ち向かってゆきました。
「信じてください!俺はスミレ様の味方です!」
クレマチスはさすがの剣捌きでマロニエ兵を退けましたが、彼は処刑台から逃げてきたままの姿でした。むき出しの肌は敵の剣の前にはあまりにも脆いものでした。彼は敵の剣に無残にも切り裂かれ、地に伏しました。
「クレマチス―――――!!!!」
スミレは魔王に赤子を預けて馬から降り、クレマチスに駆け寄りました。周囲では激しい戦闘が繰り広げられていましたので、スミレは彼を安全なところに引きずり、必死に声を掛けました。
「クレマチス、死ぬな、クレマチス!」
クレマチスは薄く目を開け、「信じて……ください……」と呟きました。
「信じるさ、お前を疑ってなんかいない!わたしを助けてくれたんだ、信じてる!」
待ってろ、というと、スミレは精神を集中させました。赤子の蘇生の時のように、魔法でクレマチスを直してやろうとしたのです。しかし。
「あ、あれ?なんでだ?魔法が使えない!」
スミレの掌からは淡い光が出るものの、彼を癒すほどの力はありませんでした。仕方ないのでスミレは回復役を呼びました。
「誰か!彼を癒してやってくれ!」
「スミレ様……いいんです、俺は助からない」
クレマチスは諦めていました。スミレはそんな彼を叱咤しました。
「そんなこと無い!大丈夫だ、魔族には魔法で怪我を直してくれる奴がいる!」
気を揉むスミレの手を、クレマチスは掴み、彼女に問いました。