第十一幕
マロニエ王国の某所、もう何十年も昔に戦争によって破壊された砦跡の廃墟に、30人ほどのマロニエ兵が退屈を持て余して過ごしていました。
兵士たちがそんな廃墟に配属されたのは、半年前の秋口。冬が来て、春が来て、初夏ももうすぐやってきそうなこの時期、何の変化もない生活にいい加減飽き飽きしていた兵士たちは、惰眠を貪っていました。
「ねー隊長……そろそろ帰っちゃダメなんすかねえ?いつになったら戦争終わるんすか?」
平和ボケした兵士の一人が、隊長に愚痴をこぼすのもいつものことです。
「何を言ってるんだ、ここにいれば死ぬことはない。戦争が終わるまでここでのんびりしてれば、無傷で帰れる。一番いい配属先じゃないか。何の不満があるんだ」
「そのうち終戦の知らせが来る」と、隊長が欠伸を噛み殺していると、見張り役の兵士が何かを地平線に認めました。
「な、なんだあれは……。こっちに向かってくる?た、大変だ!」
「敵襲、敵襲!」と、見張り役の兵士は鐘をやかましく打ち鳴らしました。
ごろごろしていた兵士たちは慌てて起き上がりました。
「て、敵襲?馬鹿な、どうせ素通りだろ?こんなところに来るわけない!」
「いや、確かにこっちに向かってくる!すごい大軍だ!一体何で?!」
兵士は慌てて武器を取り、右往左往しながらもう忘れかけていた配置に就きました。
魔王と馬を並べて先導するクレマチスは、小さい点のように見えてきた目的の廃墟を認めると、指をさしました。
「あれが件の廃墟です。元は砦だったので、雨風をしのげますよ」
魔王は何も言いませんでした。罠に備えて、神経を研ぎ澄ましていました。
魔王軍が砦の前に馬を停めると、クレマチスは馬から降り、「さあ、一休みしましょう」と、彼らを導きました。
魔王達は警戒して馬から降りませんでした。
「魔王様、人間の臭いがします」
「うむ。何人かいるな」
ジギタリスと魔王は耳打ちしました。それを魔王に抱かれて聞いていたスミレは驚きました。
「まさか?!クレマチス、危ない、下がれ!」
クレマチスが、砦の敷地に一歩足を踏み入れると、中から数十人の兵士がわっと躍り出てきました。
「クレマチス、貴様やはり罠だったな!」
魔王が怒鳴ると、クレマチスは面食らって引き返してきました。
「まさか、こんなところに兵がいるわけが!」
魔王は愛用の魔剣を掲げました。
「者共、かかれー!!」
兵士たちがそんな廃墟に配属されたのは、半年前の秋口。冬が来て、春が来て、初夏ももうすぐやってきそうなこの時期、何の変化もない生活にいい加減飽き飽きしていた兵士たちは、惰眠を貪っていました。
「ねー隊長……そろそろ帰っちゃダメなんすかねえ?いつになったら戦争終わるんすか?」
平和ボケした兵士の一人が、隊長に愚痴をこぼすのもいつものことです。
「何を言ってるんだ、ここにいれば死ぬことはない。戦争が終わるまでここでのんびりしてれば、無傷で帰れる。一番いい配属先じゃないか。何の不満があるんだ」
「そのうち終戦の知らせが来る」と、隊長が欠伸を噛み殺していると、見張り役の兵士が何かを地平線に認めました。
「な、なんだあれは……。こっちに向かってくる?た、大変だ!」
「敵襲、敵襲!」と、見張り役の兵士は鐘をやかましく打ち鳴らしました。
ごろごろしていた兵士たちは慌てて起き上がりました。
「て、敵襲?馬鹿な、どうせ素通りだろ?こんなところに来るわけない!」
「いや、確かにこっちに向かってくる!すごい大軍だ!一体何で?!」
兵士は慌てて武器を取り、右往左往しながらもう忘れかけていた配置に就きました。
魔王と馬を並べて先導するクレマチスは、小さい点のように見えてきた目的の廃墟を認めると、指をさしました。
「あれが件の廃墟です。元は砦だったので、雨風をしのげますよ」
魔王は何も言いませんでした。罠に備えて、神経を研ぎ澄ましていました。
魔王軍が砦の前に馬を停めると、クレマチスは馬から降り、「さあ、一休みしましょう」と、彼らを導きました。
魔王達は警戒して馬から降りませんでした。
「魔王様、人間の臭いがします」
「うむ。何人かいるな」
ジギタリスと魔王は耳打ちしました。それを魔王に抱かれて聞いていたスミレは驚きました。
「まさか?!クレマチス、危ない、下がれ!」
クレマチスが、砦の敷地に一歩足を踏み入れると、中から数十人の兵士がわっと躍り出てきました。
「クレマチス、貴様やはり罠だったな!」
魔王が怒鳴ると、クレマチスは面食らって引き返してきました。
「まさか、こんなところに兵がいるわけが!」
魔王は愛用の魔剣を掲げました。
「者共、かかれー!!」